2017/03/25 02:56 午前

ゆかいなさかなさんとのコラボ第2弾。エスカレーション日本語版をゲームマーケットで発売します、その3。

  • 2016/04/23 07:10 午後
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2015年のリリースを目指して、長谷川さんがお手すきになったら着手しましょう、とお話したのですが、
ここからお互いの多忙でなかなかタイミングが合いませんでした。、4月着手の予定が5月になり、6月になり、私たちの都合で9月になり…、
15年秋のゲームマーケットに間に合わないことがはっきりとし、「2016年こそは…!」という態勢になりました。

新たなエスカレーションが今回の姿で実像を結ぶことになるまでには、本当に様々な検討があり、周辺の状況の変化があり、
考えたこと感じたこと、様々な要素が時前後してあったのですが、主だったところを、発生順でないですがお話したいと思います。


まず、SPIELEのアートワークでエスカレーションを作ろう、という発想をしたのは私です。
SPIELEのステッカーやiphoneケースや、そういったものを目にした時に自分が率直に感じたのは、
「これはまだボードゲームに触れたことの無い新しい方々にも通じる魅力を備えたビジュアルなのではないだろうか」ということでした。
これが、より多くの方の目に触れるどこかに当てはまったら、別のことが起こるのではないかと。

正式に長谷川さんに依頼する時には既に「SPIELEビジュアルで…」という条件を申し上げていました。

実はのことを言ってしまいますが、自分の腹案は2つあって、今回の案ともう1つせめぎ合っていた案が
(当ては全く無かったですが…)漫☆画太郎先生への依頼を試みる、というものでした。
元の絵を踏襲しながらさらに皆さんに面白く受け取っていただき、センセーショナルなものにするには…、
ということから自分としては大真面目に考えていたのですが、
そもそも難しい以前に自分たちの仕事を考えると発想の方向がずれてるかもしれん、と結果その路線には向かいませんでした。
(こう書くと「そっち挑戦してほしかった!」という感想もいただくかもしれませんが…)


このエスカレーションを預かった者として、これをどうしようと試みるか、というのが、立ち返るべきことなのかなと思ったのです。
自分たちは今、このゲームはどういう物です、という定義をできてしまう立場にあるし、またしなければいけない立場にありますので。
この2016年日本で、エスカレーションをどういうものとするか。


エスカレーションと言うゲームは、「短時間でできる良いゲーム」という認識と「ライナー・クニツィア作品としては取り立てる程のこともない凡作」
という評価が併存するゲームだと思います。造詣の深い、歴の長いゲーマーの中でも「あれは良いゲームだよね!」という認識と、
「あれはなんでもない、子供だましっぽい運ゲーでは…」という認識に分かれているのではないでしょうか。
お互い他のゲームのことでは話があったり敬意があったりする同士ですから、直接互いの不見識を罵り合ったりすることは無いわけですが。
またエスカレーションがそういう向きのタイトルでも無いというのもあると思います。まあカードゲームは好みあるから…と。

自分は立場としては前者に属するわけですが、後者の皆様がそう仰る気持ちもわからないことはありません。
特に、プレイ人数6人までと表示されていますが、5~6人でやると相当引き運任せになり、純然と対戦ゲームとしては3~4人までの方が良いと思っています。
「酔いどれ猫のブルース」あたりでもあった問題で、こっちで勝手に「4人まで」と表示してしまいたい気持ちもあるのですが、
それこそ「それをお前が決めんなや」というところで。ライナー・クニツィアが6人までだと言っている物をこちらの一存で4人までにして(良かれと思ってだとしても)、
「6人で楽しんでるんですけど…」という方々の思いを切り取る権利は無い、のではないかなという判断を今はしています。

そして、5~6人で、という前提に立たなくとも、エスカレーションは、引き運の要素が小さくないゲームであることは確かです。
引き運の良し悪しが、よりしっかりと考えて導いた建設的な選択を上回ることはしばしばあります。
(近年長時間のボードゲームの売り文句で「No luck」という文句が書いてあることが時折ありますね)

そこだと思います。「だからイヤなんだ」という認識と「だから良いんだ」という認識が生まれるのは。自分は「だから良いんだ」と思っています。
ここが本当に難しい。きっとボードゲームに詳しい多くの方が考えているより難しい線引きがあり、その線がどこで引かれるべきなのか、というところでまた別れる。

直接私と話したことがある方ならご存知と思いますが、私自身、エスカレーションと一見似たようなポジションにあるゲームを、しばしば否定します。
エスカレーションの近くに、いかんなあと思う物はよくあります。
これは私個人の意見ではありますが(といってもニューゲームズオーダーの顔役ですからニューゲームズオーダーの意見ということになるでしょうが)
違いはどこにあるのか、というと、「それでも意思決定があるのか」ということです。
言い換えれば「今こうしよう、という選択が、人によって(単純な優劣としてではない)バリエーションを持つのか」ということでしょうか。
「自分ならここでこうするよ」という主体がそのゲームに必要なのかと。
運でしばしばご破算になるとしても、人によって出す正解が変わり得て、それが時に報われたり、罰されたり、運でうやむやにされたりするならば。
「ああいう時、次あったらこうしてみよう」というものならば。
エスカレーションは最善手の解答用紙が作れるような、わかっている人なら誰しも、初めから終わりまで同じ選択を取るようなものではない。
それでいて、「一番わかってる奴」がいつも勝つものでもない。
今はちょっとよくわかってないけど、少し歩みは遅いけど、でもゲームを遊んでみたいという人が、息をつける余地がある。「だから良いんだ」と。
エスカレーションからゆっくり始まるボードゲームが、どこかであるだろうと。


エスカレーションというゲームにどういう役割を与えたいと思ったのか、何故長谷川さんに「SPIELE」ビジュアルでお願いしたかったのか、
自身の心情に気付いたのは後からのことでした。お願いするにあたってまず、長谷川さんに
「SPIELEのイメージをエスカレーションに使う、というのは、長谷川さんにとってどういうご心境なんですか?問題ないでしょうか」
と尋ねた所、「SPIELEバージョンのエスカレーション、単純に夢です。嬉しいです」という有難いご返答をいただきました。
それから、「長谷川さんはどういう着想でSPIELEのステッカーを作られたんですか?」という質問をし、その答えには正直驚きましたし、
「お願いしてよかったな」と感じました。
「ボードゲームがあまりにも好きすぎて、全部欲しいんだけどそれは無理なので、コマの絵を描いて我慢することにしたんです」
と笑いながら仰ったのです。

自分としては長谷川さんに穏やかで、どこか淡々とした方なのかなという印象を持っていたので、あっさりされた、その激しいカミングアウトは衝撃でした。
でも驚いた一方で、「だからお願いしたくなったんだろうなあ…」と、納得もしました。
長谷川さんは「人が作った駒の絵を描いているだけですから」と謙遜されていましたが、普通まずその発想に至らないですよ、と申し上げました。
また描いた駒がどのように選ばれたか、と言うお話で、ステッカーを作る時に周囲のボードゲーマーの皆さんからの「描いてほしい駒」のリクエストを受け付けた、
という話を聞いて、そうだったのかーと。
今回のエスカレーションで作ったものは、確認が取れたものの他、使用が難しいと判断しニューゲームズオーダーのゲームの駒等を新たに書きおろしてもらい、
再構成している部分もあるのですが、いかに元のイメージを大事にしながら作れるか、というのは一つのポイントでした。

自分が長谷川さんの「SPIELE」のお力を借りたかったのは、そのボードゲームへの気持ち、その姿を借りて、
新たな方々にゲームの面白さを届けたい、という願いだったのだな、というのが自分の心持ちでした。
また同時に、これは私自身の矛盾した気持ちの現れかもしれないなとも思います。
新しい方に、外の世界にボードゲームを届けたい。
勿論全員とは思いませんが、まだボードゲームを知らないけれど、こちらから打って出て知らせに行くことで、
喜んでくれる方もいると、それはそう思っています。

しかし一方で、自分は外では無く、中の方を見続けているのだなと。ボードゲームを外に向ける為に、中から目を逸らして、外に目を向けるということは、
自分にはできないってことかもしれないなと。外に打って出るものにする為に、今中にある、テーブルに載っているものを譲ることはできないと。

入稿データが完成して、今回のエスカレーションのデザインを前もって目にしている方々には、「このビジュアルは新しい人たちにも歓迎されるんじゃないですかね!」
と言ってもらえることも多いのですが、私としては、そこへの確信は持っていません。
長谷川さんの描いたSPIELEは、ボードゲームを既に大事に思っている同好の皆さんに向けられたもので、そして好評を博しているものです。
その中に向けたものが、外の方々にとってどうなのかは、正直申し上げてわかりません。
ただ、できる限りで作ったらこうなりました。わからんけど、私たちの全力の結論がこれです。今は晴れ晴れしています。

私はこのエスカレーションで「ウノと勝負したい」と思ってるんですけどね(笑)。このエスカレーションから、ボードゲームを遊んでおくれよと、そう思っております。
中の方みたまんまだけど、このまま後ずさりして、中を大きくしてやるよと。そうエル・カバレロの要領で!(←再版予定の無い昔のゲームで例えるのは良くない)

いつもこんなことを書いてますなあ。
そういうことなんですが、最終的なデザインを検討する中で、エスカレーションを遊びながら考えていて、痛感した所があります。
「遊んでる最中は、マジで数字しか見てない…」ということです(笑)。
正直元のバージョンもパッケージの婆さんばかりが印象に残って他はろくすっぽ印象に残ってなかったです私(こんな絵のカードあったっけ…とホント思った)。
ライナー・クニツィアのゲームにありがちなんですが、ホントはこのゲーム、完全にアブストラクトですよね(笑)。
実の所、「こういうテーマのゲームだからこういうビジュアルが必要」と要求されるゲームより、
「実際はアブストラクトなんでキャッチーな絵なら何でもいいんだけど、何かしらは必要」というゲームの方が、よっぽど厳しいということです。

「なつのたからもの」でもそうだったんですがクニツィアさんのゲームは結構そうなので、
そういう時はゲームの中で行われている最低限の動作から発想を膨らませています。
なつのたからものは「何か良いもの、カラフルなものを集める(何せ10色ある)」というところから、カラフルな良いもの→夏の風景、という所で発想しました。
今回のエスカレーションは、「手元に積むとマイナス点になるもの」…。

…ということでそうなりました~。これをゲームマーケットで発売するというのはどうも煽りになっちゃうようで(笑)!
結局内向きのコンテクスト盛り盛りと言う気もしますがー、まあいくら頑張ってもこれは舞台裏の話で、ゲーム中は数字しか見ないし!
新しい方には「何かカラフルなかわいいもの」にしか見えないと思うし!これで行かせてもらうよ!


あと、これはデザイン面で頑張ったところですがー、その最も大事な「カードの数字」をちょっと印象深いものにするために、
ちょっと新工法で面白いことになっていますので、「元のエスカレーションも持ってるよー」と言う方にも、
そういうアイテムの魅力という所でチェックしていただければ幸いです。
最近私たちそこらへんの加減がわからなくなってやってみましたが、結構良いんじゃないかと思っておりまーす。


ということで、いつも以上にながなーが書きましたが、これは内に向いた話ですのでね(笑)。
エスカレーションは気軽に楽しめるカードゲームなので、こんな文を読まずとも遊んでいただければ!
5月5日のゲームマーケットで発売、1800円、当日は先着順ですがミニステッカーもオマケでついています。
(デザインはお楽しみとして伏せておきますが、良いと思います!)
皆様どうぞ、よろしくお願いしまーす。

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