2017/08/19 05:00 午前

「六次化農村」をゲームマーケットで発売致します。

  • 2017/04/14 04:01 午後
  • 投稿者:


さて、ゲームマーケットカタログ発売にあわせ、昨日Twitterにて発表させていただきましたが、
東京ドイツゲーム賞の審査員特別賞受賞作、「六次化農村」を、5月14日、ゲームマーケットにて発売させていただきます。
ゲームマーケットでの販売価格は6500円を予定しております。

↓弊社ウェブサイトにてルールブックのPDFをダウンロードできます。
https://sites.google.com/a/newgamesor...s/rokujika

↓youtubeにある六次化農村の審査動画です。
https://www.youtube.com/watch?v=XOzz2QLnbvI
https://www.youtube.com/watch?v=krkGwdCfKro
https://www.youtube.com/watch?v=510RkTvMEuE

本製品につきましては、現状の生産数が通常のニューゲームズオーダー製品に比べ少数(500部)となっている為、
近日中にご予約を受け付ける予定です。

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さて。さて!ニューゲームズオーダー春の新製品、もう一つは六次化農村でした。
…こちらについては、言いたいことがあり過ぎます!先日発表したハツデンは、(相応の苦労はありつつも)優等生と言えたのですが(笑)。
長時間ゲーム守備範囲だぞという方は、まずは六次化農村のルールPDFをご覧いただき、
また東京ドイツゲーム賞の一連の審査動画をご覧いただければと思います(長いのでなかなか全部はチェックし難いかと思いますが)。
率直に申し上げて2017年体制のニューゲームズオーダーで、「これホントに出すの!?」と思われそうなタイトルですねえ。

えー、お話を始める前に、要素を思いつくままに箇条書きしておくと、

・「長時間ゲームの商業的な位置取りと販売」
・「長時間ゲームのアートワーク・コンポーネント」
・「500部製造の枠組み」
・「ボードゲーム出版という商業」

とまあこんな感じでしょうか。ホントに全部ご説明できるかどうか、そういう内容になるかはわからないのですが、顛末から始めてまいりましょう。

この「六次化農村」、作者は神田恒太郎さん。ゲームマーケットでは常々ブースを出されている「ホリケン」さんと言えばご存知の方も多いかもしれません。
「円卓P」さん名義での動画配信でも知られている方です。
(ニューゲームズオーダーの製品ということで「様々な売り場に並ぶ可能性を一応見て普通めの名前にしていただけますか」というお願いをし、今回は神田さん名義となりました)

私としては面識は無かったのですが、ネットで時々見かける「ドイツボードゲームに詳しい方」だな、という印象でした。
ですから、(これは審査中も繰り返し口にしたのですが)
「エッセン新作等最新ゲームをチェックしている熱心なプレイヤーの方々の中には、『いっそ自分で作る』『作れる』という方もいるのではないか」
という興味が強くあり、一次の書類審査から期待させていただいた候補者の1人でした。
実際お送りいただいた「六次化農村」の書類には見るべきところが多々あり、また私以上に(同じく審査員の)沢田が評価し、
二次審査(サンプル提出による実プレイ)に進んだ、という形でした。

二次で遊んだ際の私の評価は、可否両面ありました。可の方で言えば勿論、「2時間級の農業ゲーム」
という真正面からの目標に挑み、既存のボードゲーム、特にゲーマーズゲームの文法に対する造詣の深さをバックグラウンドに、
新たに遊ぶ価値のあるゲームを作り上げたことに対する敬意、感謝、喝采、といった思いでした。
率直に言って「凄い、こんなゲームを作れる人が国内にいるなんて」と。

しかしながら、否の面も大きくありました。
神田さんが送ってこられたプレイ用サンプルが、「長時間ボードゲーム」のコンポーネントの想定として不十分なものだったということです。
一次審査通過から二次審査用のサンプル提出の期間が短く、難しさがあっただろうことを勘案しても、他の候補者に比べて、
ビジュアル面があからさまに弱かった。プレイヤーが情報を処理しやすいように、ゲームの魅力を落とさないように、という心遣いには欠けていました。
そういった意図は…できれば持っていて欲しい。長時間ゲームを作るならば尚更です。
ルールだけ書いて後は他所に任せる、という態度は、(例えばクニツィアのような)ごく一握りのトップデザイナーなら許されるんじゃないかな…、
というのが、私の思う所です。どういう風にゲームに魅力のある実体を与えるか、発想する上では、
ゲームの作者が最も有利なポジションにいるのは明らかだからです。

ボードゲームの制作をする時、「ルールを書く人はルールのことだけ考えればよい」
「絵を描く人は発注通りの絵を描けばよい」というシンプルな分業は、そう容易にはまかり通りません。
制作の参加者各人に、他のパートへの心配り、互いの連携を高めようという心が有ると無いとでは、出来上がりは天と地ほども違ってきます。
というより、特にボードやカード等コンポーネントに多くの情報が盛り付けられる長時間ボードゲームにあっては、
この連携は「製品完成の為の前提」にすらなり得ます。そもそもプレイヤーの皆様にお届けすること自体が危ぶまれるということです。

ということで「ゲームとしては面白いんだけど、これ本当に作るとなったらどうすればいいんだろう…」と、
憂鬱になるような側面を持っていたのが、六次化農村でした。

それでも進んだ最終審査では、ご存知の通り多くの傑作に恵まれた中でも、こと六次化農村については、
その最終局面まで沢田が「自分としてはトップマーク」という態度を貫いたことで、
「審査員特別賞」を(にわかに新設して)お贈りする形に決着しました。動画中も言っていますが、これは言わば「沢田賞」です(笑)。
正直に申し上げてこれは(最終候補作品を数多く出版したいと考え始めていた)私にとってもたいへん都合が良い結末でした。
まあつまり、このゲームの最大の弱点と確信していた「コンポーネントへの落とし込みがし難い」という部分、
沢田くんがやってくれるってことだよね!という持って行き方ができましたので(笑)。

沢田は何せ趣味の人なので、ホントに出版するかどうかは一回置いて、コンポーネント改善案については早速着手してくれました。
上がってきたラフは身内ながら「流石に沢田」という感じで、相当健闘しているものだったのですが、
他方(避け難いこととして)依然として相当の課題を積み残しており、
自分がしていた「六次化農村の出版については楽できるかな…」という淡い想定は脆くも崩れ去りました。
沢田及びDTP・イラストを担当した新規スタッフ西村共々、悩みまくり、手間かかりまくりの総力戦に突入することになりました。

3月には神田さんにも弊社までご足労いただき、沢田共々製品化に着手したい旨と、どういう製品づくりをしていくかというお話合いをしましたが、
正直私の予想通り神田さんにはアートワークやコンポーネント方面の具体的なご想定はほぼ無く、
膝詰めで話すのは初めての状況ながらも、私は相当苦言を呈しました。
終わった後神田さんは「…気合い入れないとやばいっすね」と仰ってましたが、あの腹を割った話し合いを持てたことが、
六次化農村の完成形に繋げるための、起点になったと思っています。
やっぱりゲーム作りには、そういう修羅場が必要なのかもしれません(笑)。

また、その話し合いで私が「春のゲームマーケットで出すつもりです」ということを申し上げた際には、神田さんは「春!?秋じゃなくてですか?」
と相当驚いてらっしゃいましたが…、申し訳無いですが、私達にはそんなに気長に一つのゲーム(しかも長時間)を作っている余裕は無いのです(笑)。
ただ(沢田は違いますが)私達はフルタイムでゲームを作る時間があるので、本気で、本気でかかれば不可能ではないと、そう考えていました。

そこからの制作は、厳しくも楽しい物でした。
ルールについては、パッケージ通り神田さんの作となっていますが、考えようによっては神田さんと沢田の共作としても良いような過程を経ました。
特に3人プレイのルールは沢田が大きく関与しています。あとカードの効果等、端々については私の案を採用してもらったところもありますね。
デベロップメント、という観点でいうと、沢田がやるという形から出発しましたが、まあやはり私の仕事も多々有り、2人でやった感じです。
アートワークについては西村が絵が描けるため担当してもらいましたが、どういったものをどういう風に描くかについては私が考えたもので、
DTPについては沢田の意図を受けて西村がやる形だったためやはり共同作業。
ルールはニューゲームズオーダーの平常と同じく、沢田が書いたものを私と校正の山根が揉んで西村がDTPをする、という形になりました。
そして今、製造担当西山が、タチキタプリントで受けている他の作家さんたちのゲームと共に、生産を進めています。
大きなトラブルに見舞わなければ、ゲームマーケット、間に合う運びです。


…本当に、神田さんと沢田の間で密に連絡を取ってもらいながら、フルタイマーの自分たちがぐいぐい進め、入り乱れて作りました。
てんやわんやだったのですが、具現化しにくい難物をものにした分だけ、魅力的なゲームに仕上がっているのではないかと、今は思っています。
現状のコンポーネントでテストプレイをした際、各段にゲームの魅力が増していると感じられ、自分達で驚きましたので(笑)。

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たいへん長いんですが、一気に書きましょう。
そもそもこのゲームをニューゲームズオーダーのラインナップとして「今出せるのか」という点。
どうして出せるのか、ということ。
それはことによれば、ゲーム自体の制作以前に、昨年1年を要した、自分達の商業のテコ入れに起因します。
これを今出せるということは、むしろ今でなく、苦しかった過去の自分達の活動、それがどういう成果を見たのかが測られる
ということだと考えています。

最初に書いた通り、6500円のゲームとは言え、六次化農村は500部しか作っていません。何故500部なのか。
それは昨年の活動を通じて痛感した、長時間ゲームのリアルな状況の反映です。
今日本で、ボードゲームを遊ぶ方は、過去に例が無い程に増えました。有り難いことです。
お陰様で、繰り返し言っている通り、最近コヨーテやペンギンパーティが驚くほど売れます。

それでは他の多くの、「平均的な」ゲームがどうなのか。
…以前よりは売れます。しかし、率直に言って「微増」という範囲です。
想像に難くないことですが、新たなプレイヤーが増えるということは、大方「新たなプレイヤーが求めるゲームは売れる」ということです。
このことについて、自分達は特段悲観するような気持ちは持っていません。それはそうだ、と思います。
自分達のようなマニアにとっては見知ったゲームでも、新たにやる皆様にとっては、その1つ1つが新しいゲームだからです。

「商業」ということを、短期的な観点から考えた時、「大箱の」「複雑な」「長時間の」ボードゲームをたくさん作って売ろう、
と考えるのは、…ごくごく控えめに言ってリスキーです。
カードゲームが、上手くいけば数か月で数千部売れていく一方で、
長時間ボードゲームの国内流通の適正部数は…、今なお500部から、良くて1000部という所ではないか、というのが私の雑感です。
売れ残ったボードゲームは、会社の財務も倉庫も大いに圧迫しますから、
「出来心で」「思い入れで」作り過ぎた大箱ゲームは、将来的に、コヨーテやペンギンパーティや、モダンアートやラーや、
そういった「広く求められ続けている」定番タイトルの供給に支障をきたす要因になる。

これは本末転倒だ。と考えよう。ということを確認し、決意し、舵を切ったのが、私達にとっての2016年でした。
相応痛みを伴いました。しかし枯山水を始め、ラインナップについて軒並み再生産を続けながら、今は堅調に売り上げを出せるようになりました。

その上で、新規開拓として、新作ゲームを作る。東京ドイツゲーム賞のゲームも出す。収益も上げる。つまり仕事としてやるということです。
六次化農村というゲームにこれだけの力を注ぎこめるのも、以前よりは遥かにましになった、会社の収益力の裏打ちがあります。
そして「500部で作れる」「コストを収めて生産できる」ようになった西山の仕事の進歩に、基礎を置いています。
今年に入るまで不可能だったことが、今静かに可能になりつつあります。その静かな進歩を用いた挑戦が、六次化農村です。
だから、このタイトルには、商業的な社運は、賭けていません(笑)。
ようやく、毎度の博打を行わずに、会社が続くようになりつつあります。
しかし、やっぱり大事なものがかかっているということです。

今回の六次化農村については、500部が飛ぶように売れるようなら、増産を考えます。
しかし、500部で終わりにするオプションも持っています。買う皆様にとってはジレンマがあるかもしれませんが(笑)。
しかし煎じ詰めれば、これが現状最も望まれている形だろうと思います。
自分としては…要る方は買っておいた方が良いと思いますよ(笑)。
世界で500部のみになる「可能性がある」ゲームということです。


全力で作りましたので、良い物だという確信は、一同得ています。
しかし、売れるのか、売れないのかは、正直わかりません。
だから、値段も収めながら。中身もしっかり良いものにしながら。在庫は余らせない。通常業務に支障を来さない。
需要が高まれば速やかに増産する。

そんなベースを作って、思う様、良いと思うゲームを作れたらと、そう思っております。
そんな仕事が出来たらね。夢ですね。
どうだろう。上手くいったら良いですね(笑)。

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ということで、今までは行ってこなかったのですが、今回はゲームマーケットの販売についてご予約を取る予定です。
買いたい人が、今ならば問題無く買える、ちょうどいい量の生産、それを測る為の一環でもあります。
通常ラインナップと違い、長期に渡っての供給をお約束できるものでは必ずしもないですから、ご入用な方はこの機会に、ご予約いただければと考えております。
詳細については近日Twitter、こちらのブログ、ニューゲームズオーダーの公式サイト等でお知らせします。

要るものを、要る数だけ、上手く受け渡す。
良い形で継続する為の試みということですので、皆様どうぞ、ご協力をお願い致します。






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