2017/11/20 06:19 午前

ババンク日本語版の話、その3(最終回です)。

  • 2017/11/14 09:02 午後
  • 投稿者:


さてババンクのお話の続きを。前回ご説明したように、色々な条件を考え合わせた上で
「直径25mm、高さ"金額"mm」の円柱型チップ、計60枚(60個)を採用したいなあ、という所まで行きました。
「満足感のある」サイズであるということ、「利便性のあるサイズ」であるということ、
そして想定している「箱に収まるサイズ」であるということ、…という条件を全部満たすのは、これじゃないかだろうかと。

ボードゲームを作る時に大切なのは、一見すると両立することが難しい、対立する諸条件が現れた時に、
「簡単に優先順位を付けてしまわない」ことだと思っています。

A. 箱サイズはもう決まってるんだからチップは小さくする
B. チップは大きくしたいんだから箱サイズを大きくする

みたいな、AかBか?というボタンを簡単に、もっと言えば安易に押してしまっては、良いモノは作れません。
「なんか上手いこと、ほうぼう良いとこ取りできないもんかな~」という諦めの悪い検討が、
イコールで魅力的な商品開発の活動ということになるのかなと思っております。

その上では、「3Dプリンタでダミーを作って確かめる」というのは、地味なようで非常に有効的でした。
両取りするために、より具体的にぎりぎりの所まで突き詰められるからです。
「できなさそう」と「できない」は分けていきたい。
「できなさそう」のフォルダの中に、「実はできる」が入っていることがあるので。

ちょっと以前から各メディアで「3Dプリンタの導入で産業の新時代到来!」みたいなことを目にしていて、
「は~科学や医療の現場で色々と活用されるってことなんですかな~(自分には関係なさそう)」という他人事な印象を持っていたんですが、
ふと使えることになったら実はとても便利でした。コロンブスの卵。
実物と同じ体積・形状のダミーを作って確かめられるという利便性を実感しました。

ちなみに西山が使っている3Dプリンタがこちら。



「3Dプリンタ買おうと思ってるんだよね」と西山に言われた時、「でもお高いんでしょう」と返したら、
「自分が買おうと思ってるのは8万円くらいだから安いもんだよ」と言われて結構びっくりした記憶があります。
へえ、意外とリーズナブルなのねえ!という感想と共に、「その価格の機種でお役に立つの?」と質問した所、
「用途次第だから、自分らの使い道だとそんな高いの要らないんですよ」と言われ、なるほどなあと。蛇の道は蛇。

で、ざざっと作ってもらったのがこちらです(実際手早くできてました)。



白い理由は特になんてことはなく西山が備えていたマテリアルを使ったからです。ちなみに中はハニカム構造、要は空洞です。
サイズ感が文字通り具体的に把握できて地味に感動しました(笑)。
と共に、ああやっぱりこのサイズ感は良い気がするな、と確認できました。
となると次は、全部でどれだけになるかということですが…。



こうなります。予想通り、最近の大箱のボードゲームでもほとんどみないガッツリ感。
これを見せたら、沢田に「ほとんど駒売ってる感じだね」と笑いながら言われました。
ババンクは2001年のゲームな訳ですが、このコンポーネントはどちらかと言えば1990年代前半の大箱の趣きです。
自分としては、こういった最近のドイツの大箱でも見ないような木製駒というのは、1つ楽しいんじゃないかな、と思いました。
ということで、試しにラーの箱に収めてみると、タイルやカード及び中敷きを工夫すれば何とか入るのではないかな…、という感じでした。

箱に収める方法については、海外製造の場合は、想定する収め方のラフをを工場に図で送り、最終的にはあちらで設計してもらいます。
加えてチップは4色が要りようなので、タンサンさんに色指定をしてもらった上タンポ印刷(木製駒に直接印刷するハンコ的な手法)
のデータを用意し、木製駒のサンプル製造を工場に依頼。

ここから(料理番組みたいですが)サンプル完成に2か月かかりまして、出来上がったのがこれです。



5を黄緑、10を橙、20を銀、50を金にしているのは、美観もあるのですが、
プレイヤーカラーの6色とかぶらせないというのが一番の理由です。
数値は黒の方が見易いのでは、ということでこちらも試作しましたが、
「元々横から見て金額を判断でき、数値記載は補助」ということなので、
タンサンさんとの協議の結果、見栄えを重視し白印字を採用しました。



全部で60個、こんな感じです。やっぱり大量!



プレイヤーの位置を表すポーンの形状、大きさは元版を踏襲してます。
復刻の時は、そこら中の寸法や仕様を適当にいじくり回してしまうと基準が無くなってしまうので、
「機能していた元版のサイズ」という所に立ち返ります。



箱にも無事収まりました(笑)。一苦労でしたが良かった。



チップやポーンをタイルの上に置くとこんな感じです。
ご覧の通り、金額と高さが合うので50ごとに積んでいくと額面が一目瞭然です。
タイルも元サイズを踏襲しています。
箱に収めるのが難しく、タイルについては若干の縮小を検討していたのですが、
やはりリスキーであると感じたため元版準拠を強行。打ち抜きタイルを止めて収めてくれた工場に大感謝です。


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とまあ、こんな感じです。ニューゲームズオーダーのウェブサイトに、ルールのPDFをアップ致しましたので、
よろしければご覧ください。

http://www.newgamesorder.jp/games/vabanque

自分としては、ババンクを(できるだけ気分よく)手に入れられる状態を回復する上で、
自分のできることはやれたかな。と認識しております。
この前このババンクで遊んでいる風景を初めて見ましたが、ひいき目を抜きにしても、良いんではないかな、と思えました。いや~。

ババンク、誰もが知っているゲームでは無いかもしれません。
ただ大事なゲームだと思うし、遊んでいただけたら、「おお、こんなのあったのね!」と喜んでもらえるゲームだと思います。
だからこの度、もう一回頑張って箱作って、お届けします。1個1個そうしてきていますが、どうしても楽はできないようです(笑)。
元版の方が好きだなあって人はいるかもしれませんが、そういった方は元版をお持ちのことも多いと思いますし、
中古で手に入れたりも不可能ではないかと思います。
自分達としては「これはこれでアリだね」というババンクになるように、できる限りやりました!
この機会にババンクを皆さんで遊んで、楽しんでいただけたら嬉しいです。ほんとに!


…ということで、ゲーム内容のお話なんかは熱心なプレイヤーの皆さんや、ご自分でルールを読んでいただく皆様にお譲りして、
次回以降はパトロネージュのお話をしたいと思います。
あと20日を切ってきて発売について全く予断を許さぬ状況なんですが、何とか進めております(笑)。
オリジナル新作なので色々ご興味ある方いらっしゃると思うので、ご紹介して参りたいと思います。

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  • ババンク日本語版の話、その3(最終回です)。
  • 投稿者: うに on 2017/11/16 01:11 午後
いつも楽しく読んでおります。
ババンクは過去に何度も中古を買おうか悩んでおりましたが金額的に難しく諦めておりました。

今回、ニューゲームズオーダー様から出して頂けて非常に嬉しく思っております。

ゲームマーケットの初日、すぐに購入させて頂きたいと思いますのでどうぞ宜しくお願いいたします。