さてゲームマーケット前日ですね!社内も出展準備でただ今バタついております。
年を経て用意しなければいけない物品が非常に増えまして、会場への搬入に見落としが無いか~、みたいな話が大方ですね。
この期に及んでスクエアオンセールを持ってかない、みたいなやらかしは流石に無いと思いますが(笑)、忘れちゃいけない物が細かく色々と。
2日開催になってスタッフのスタミナ配分も難しくなりました(1日だけの参加にしたいという本音)(あと年1回の方が良いのではという本音)。

スクエアオンセールの発売発表後、お陰様で結構ご反響いただいております。有難うございます。
昔話以外の話題でいうとタイトルの表記の件、当時は「スクウェアオンセール」だったかと思います。
(「スクウェア・オン・セール」だったかもしれない)
今回橋口さんにパッケージをご作成いただいたものを拝見したら「スクエアオンセール」となっていました。
沢田に「正式名称はスクウェアだっけ?あと中黒は入れるべき?」みたいなことを聞いたら「別にどっちでも良いです」
という大らかな返答があり、結果スクエアオンセールになってます。


さてそれでは、昔話の続きを…ということですが、昨日も書いた通りここからは以前にも皆さんの目に触れてきた部分が多いでしょうかね。
西山に製造を任せ、しかしいったいどうなるものなんだろうと私も沢田も見守っていたわけですが、
仕様の要望や予算、ゲームマーケットの日程から生じる期日、といった課題を設定された後の西山は、
てきぱきと実務を進めていきました。自分としてはミーティングの日程を調整して、その度毎に西山に進捗を報告してもらい、
課題や沢田からの要望(そしてもちろん自分の要望)を出してそれをフィードバックして…、という手順。
話し合いもスムーズに進み、自分としては嬉しい誤算というか、「おお、立ち上がりから結構良いチームワーク」という感想でした。
沢田たちからすると、「この西山さんという人は、自分達が持たない方法論で動ける人なんだな」という信頼感を醸成する時間でした。
なお一言言っておきますと、この時点で「報酬」みたいな概念は全くありませんでした(笑)。
当時のゲームマーケットの状況ではそんなものはあるわけもなく…「ゲームが売れて儲かったら…」みたいな仮定の話がまずありませんでしたし、
西山にこれを依頼して、やってもらったからいくら払って…みたいな、そういう話題自体が無かったし、
全員それで当然だと思っていた気がします。
まあ自分以外全員学生だったというのもありますが、報酬5000円みたいな範囲でギャラ交渉みたいなことしても時間の無駄だし、
とにかくゲーム作って売れてから考えましょうや、という気分でした。
何よりの報酬は「ボードゲームを作る」という冒険への参加と言いますか…。

着手早々チームとしては順調に機能し始め、それは手ごたえはあったんですが、
一方でやろうとしていることの難度ははてしなく、「頑張ってはいるんだけどお話にはならん!」という状況が続きました。
何といっても大ボスは国内で製造できる工場を探した木製駒で…、予算とコストの開きがもう酷かったですね。
とりあえず駒1個あたりにかけられるコストを仮に「10円」と設定し、西山が作ってもらえそうな製造業者を見つけては見積もりをお願いする、
という感じだったんですが、最初の段階で「80円」という返答が来た時の絶望感は忘れられません。8倍(笑)。
かなりしんどい状況だったんですが西山がひたすら探し回った結果「13円」でやってもらえる業者さんを見つけ喜び。
…ただその13円、というのは、向こうの業者さんが納品を躊躇する位、本来入れねばならない工程をすっ飛ばしたもので、
当然ニスもかかっていなく色ムラもあり、加えて乾燥時間が不足していて納品してきた時点でしっとりしている、という有様。

当時西山から預かったサンプルを、新宿に呼び出した沢田に見せた時の沢田の「う~ん…」という反応。忘れられません。
何せ30分「う~ん…」しか言いませんでしたから(笑)。一方にはずたぼろで何とかここまでこぎつけた西山の姿が見えていて。
目の前には「これじゃいかんよなあ…」と思いつつもそれを口に出すことも躊躇われる沢田の姿があって。

「ギリギリのコスト計算で1個10円!」と言って作った駒がどう逆立ちしでも1個13円(三割増し)で、
しかも出来が全然満足に及ばないという現実。自分のボードゲーム作りの出発点はこの風景にあります。
スクエアオンセールという面白いゲームが身内から出て、ここに一個巨大なアドバンテージがあってもなお、これだけ理想と現実の開きがある。
今思い返すと…、スクエアオンセールというゲームは必要な駒の数が非常に多くてですね(笑)。
当時自分は「ボードゲームを生産するってなんて難しいんだ…所詮自分達には無理ってことか」
と悩み苦しむ日々だったんですが、2019年現在コスト計算した感想が「おいこのゲームめっちゃコスト高じゃんか!」という…。
当時の自分達が単純に力不足だったからというだけでなく、元々作るのがしんどい部類の仕様だったんですね、このゲームは。

ただその時は、沢田のOKがはっきりと出ないまま、その13円の駒でのリリースに進みました。
沢田には30分後「自分としては、これで出すから。文句が出たら、吉田の判断だった、吉田の責任だと言ってくれ」と言いました。

不格好でも、現実を受け入れて前に進まなければ。そうしなければ何も起こせない。
このゲームを遊んでみてもらいたいから、力及ばなくても、まず遊べるものとして発売しなければいかんわと。
本気の本気で全力尽くしたら、小規模でもとにかく世に問うて、課題についてはまた次回頑張ろう。
そういうことだなあという確信が、この2005年のスクウェアオンセールを通じて、自分達に刻まれました。
色んなものが足りない中で何とかして良い形のゲームを出そうとしますと、選択の幅ってのはほとんど無いんですよね。
選択肢を増やせる余裕、その力の源というのは、発想であり、スキルであり、チームワークであり、実績、信用、販売力であり。
未来に違いをもたらせるほどの力を、どっかから呼んでこなければいけない。
今自分達の元にその力が無いのであれば、グループとしてその力を求め続けながら、生き残らなければならないし。
終わりが来る前に力を呼ばねばならないし、そうまでしても続けようという動機がある集団でなければならない。
ボードゲーム作り、なかなかたいへんな作業だと思います。


で、何とか2005年のゲームマーケットで販売できる方向に向けて仕事いったり学校行ったりしつつ、暇を見つけては集合し、ガリガリと進めて参りました。
何とか生産した駒は塗料が生乾きでしっとりしていたので、メンバーの一人山根宅の網戸を外して横に渡し、その上に1個1個ビル駒を立てて乾かす、
みたいな作業を延々とやりました。春先で、乾燥を早めようと外に向けて戸が開け放たれ(ざるを得なかっ)た部屋は寒くて、
悲鳴を上げながら駒作業しましたねえ。
そして1セットずつ駒を詰めていく作業中、沢田が「この作業する人の給料は安くちゃだめだよなあ」と言ってたのを思い出します。

そんなさ中のゲームマーケット直前、1週間前位でしたかね。


https://toccobushi.exblog.jp/1774527/

集まった時、「ヒポダイス、大賞取りました!」という沢田からの言葉。嬉しかったですねえ。「まあ、そうだろうなあ!」と言いましたが。
上の通り沢田に「とにかくこれは宣伝はしとこう」と言ってブログに書いてもらい、当日持ってったら即完売しました。
自信はありましたが、驚きましたねえ。開幕直後、右の方からボードゲーマー達が僕らのブース向って全力ダッシュしてくる衝撃の風景、忘れられません。
(多分当時は開幕ダッシュ禁止という概念が無かったのですね…不要でしたから)

https://toccobushi.exblog.jp/1830568/

この後、ドイツ・エッセンで沢田が作って少し売ったり、ということがありましたが、正式に製品化…という話に進むには、長い時間を要しましたね。
2006年に吉田西山でビーツーエフゲームズとして起業し立川で店を始め、
2007年にエレメンツ・くいずですという形で初めてカードゲームの製品を出し、
2009年に問屋としてニューゲームズオーダーを始め、
2010年に「ぼくらの火星」を作ってエッセンでブース出展販売、
2012年の春にファブフィブを発売して問屋からメーカーへの重心移動の試み開始、2012年秋に古代ローマの新しいゲーム発売、
また2012年から2013年にかけ「第1回東京ドイツゲーム賞」を開催、という形で一つ一つ進めていきました。
ちょいちょい言ってることですが、ゲームの公募コンペをやらないかという沢田からの提案を自分が受けたのが東京ドイツゲーム賞で、
もちろんこれは「日本にもそろそろヒッポダイス的なやつあった方が良いだろうねえ」みたいな話から出たものでした。
おいそれと面白いゲームは来んだろうと高をくくっていたら枯山水と曼荼羅が来て嬉しい誤算となり、
メーカー本格化のため契約して準備していたモダンアートや交易王といった現在のNGO主要タイトルのリリースを連発し、
11月末のゲームマーケットで枯山水の発売にこぎつけたのが2014年でした。これももう5年前になってくるわけですね。
ここらへんの話は折に触れこのブログにガッチリ書いてきたので(最近はなかなか更新しませんが当時は勤勉に書いてました)
ご興味ある方は検索して読んでみてください。
ぼくらの火星の話とか、枯山水の話とか、我ながら結構面白い気がします…というか面白く書けるようにゲーム作りを進めてきてます。


で、2014年の流れの中で同じく沢田作の「ゴー・ストップ」を出す流れになったわけですが、そのきっかけをくれたのが橋口貴志さんでした。

http://www.b2fgames.com/article.php?s...2161202194
http://www.b2fgames.com/article.php?s...2180553216
http://www.b2fgames.com/article.php?s...4141942997

という感じで。で、このゴー・ストップをリリースした後、割とすぐに橋口さんに
「実はスクエアオンセールのアートワークもお願いしたいと思ってるんですが、いかがでしょう?」
というお話をしていました。2014年中の話です、なんと(笑)。
時の経つのは早いもので、足掛け6年になってしまい、橋口さんには気長にお付き合いいただき、本当に感謝しております。

と、ゲームマーケット前に書けるのはここまでということになりそうですが、
先刻何とか無事スクエアオンセール在庫が会場に向けて輸送手配された模様です。
とりあえずゲームマーケットにお越しの皆様とは会場でお会いするとしまして、
ゲームマーケット後に続きを書かせていただきます。よろしくお願い致します。

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