2019/12/10 02:38 午前

ゲームマーケット19秋にて、「セネターズ」日本語版を発売します。

  • 2019/11/15 07:36 午後
  • 投稿者:

次回ゲームマーケットで新発売予定のボードゲーム、用意してるよ!
と言いつつ微妙に発表に時間を取ってしまったのは、(毎度のことになってしまってますが)現物が弊社に入っていないためで…。
東京港での通関が今終わった辺りで、来週月曜日に入荷予定です。現物を確認して「発売可能」と判断してから発表したいのが本音なので、
(売れない出来の物が来るかもしれないので…)このタイミングで言い出すのも躊躇するんですが、もうすぐ1週間前ですからね。
お知らせさせていただきましょう。

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ハイグ・タータ&リッキー・タータ作のボードゲーム「セネターズ」日本語版をゲームマーケット2019秋にて発売致します。
http://www.newgamesorder.jp/games/senators
(↑弊社ウェブサイトにルールPDFをアップロードしております)

希望小売価格は税込3850円(税抜3500円)を予定しています。ゲームマーケットでは3800円で販売します。
プレイ人数は3~5人、プレイ時間は40~60分。箱は弊社モダンアートと同一サイズです。
アートワークはフランス語版出版社のフェルティ版と同じものを用いています。

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…ということですが、皆様このゲームをご存知でしょうか?
おそらくは、こちらをご覧の九割以上の方はご存じ無いゲームかなと思います。
「いや、当然遊んだよ」「勿論チェックはしてるがあいにく未プレイ」といった特に熱心なボードゲーム愛好者の方々、
人数ベースでは増えてるとは思うんですが、何分現在国内で出回っているボードゲームのタイトル数が驚くほど増えているので、
知らなくても全く不思議は無いと思います。

というかそもそも私自身、数か月前に「遊ぼうと思いつつ積んでたので」と沢田くんが持ってきたので、
たまたま遊ぶ機会を得たという次第です。たしか少し前のエッセンで入手してきたと言っていたでしょうか。

初版が発表されたのが2017年、作者は「クー」の作者のリッキー・タータがお父さんのハイグ
(ヘイグと読むのが正確かも…)と共に作ったゲームです。
(詳細までは把握していないんですがハイグさんの原案を元にリッキーさんと協力して完成させたという感じでしょうか)
沢田が持ってきたバージョンはIndie Boards&Cardsのロゴが付いた英語版でした(おそらく2018年に出版されたもの?)。



勿論クーの作者のチームだというのは私達が注目する大きな理由でしたし、
加えて私達が(プレイヤーとしてもパブリッシャーとしても)求めてやまないルール短め1時間級のボードゲーム、
ということで、沢田や他の参加者と共に相応の期待を持ってやってみました。
と言っても、過去に同様のシチュエーションで遊んだゲームが全くの空振り、なんてこともありましたから、
期待と同じだけ駄目だった時の覚悟もしながら…ということではありますが(笑)。

ただ、結論としては!プレイした日の内に日本語版の権利取得の打診をしたわけです。即決でした。これはもう遊んだ全員、満場一致。
ボードゲーム出版や流通を取り巻く状況の変化もあり、自分達としては新たなリリースには大分慎重になっているのですが、
セネターズは「これは今すぐ出さにゃならんな!」と思わせてくれるボードゲームでした。
10年20年と堆積してきた名作の中にはご紹介したいボードゲームもまだまだありますが、
ここ最近発表され触れた物の中で、こんな新鮮な感覚がもたらされたのは、久々です。

内容としては、言葉にしても、結果これがどれ程のゲームになっているか伝えるのは本当は難しいんですが、
ある程度ご想像いただける部分もあると思いますので、がっと概要を書いてしまいましょう。

●古代ローマの元老院での権力争いをテーマにしたゲーム(NGOはどれだけ古代ローマが好きなのか…たまたまです)
●4つの市場で売りに出されるカードを入札オークションで争奪
●売り物の大部分である54枚の「資源カード」(6色、各1~9が1枚ずつ)を効率よく集めるのが手近な目標
●入札オークションの落札者は代金を主催者(手番プレイヤー)に支払う
●競りの主催者には優先購入権があり、最高値を付けたプレイヤーに逆にその額を支払えばそのカードを獲得できる
●「同数値3枚」か「同色3枚」を手元に集めこの三枚組を手番の「清算」アクションで売却できればその合計値と同額のコインを獲得
●「同色かつ数字が連番の3枚」を売れば合計値に加え15コインのボーナスを得られる(大事)
●手番で生産を行った際は10コイン支払う度に元老院議員1人の支持を獲得できる(1点獲得)
●手番で選べるアクションとして「強請」という他のプレイヤーの所持カードを提示額で買い取ろうとする攻撃方法がある
●強請による買取を断る方法は提示された額を逆に相手に支払って帰ってもらうというもの
●強請による扱いを経た資源カードはプロテクトされ、以降強請の対象にならなくなる(伏せられる)
●4つ目の市場(正確には「元老院」という名称)で売り出されるのは資源カードではなく「元老院カード」という特殊効果カード
●元老院カードの効果は清算時に使用できる(相当華々しい)
●しかしながら元老院カードも強請の対象になる(所有者が変わる)
●元老院カードは強請を経てもプロテクトされない
●そして各プレイヤーの手番の開始時には「イベントカード」が1枚めくられ適用される(これも激しい)
●イベントカード「戦争」の4枚目がめくられたらゲーム終了
●終了時に最も多くの議員の支持を獲得していたプレイヤーの勝ち

イベント→手番プレイヤーのアクション選択(「入札」か「強請」か「清算」)、という2ステップがゲーム終了まで繰り返されていく、
そして大半の手番で選ばれる入札には全員が参加する、ということで、どんどん起こってくる激しいイベントに対応、
頻繁に行われる入札オークションで資源カードを集め金を引っ張り合い、
誰かが三枚組を上手く揃えそうになってきた頃合いで強請によりまたカードやお金の取り合い、
その間隙を突いての清算でお金や点を得る、といった調子で、
シンプルなルール+1時間以内のゲームとは思えない波乱の展開が巻き起こります。
ボードゲームを(年数等かかわらず)熱心に遊ばれてる方で、「これは!」という一作を探し求めている皆様には、
このセネターズ、大いにご期待いただいていいかと思います。

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過去に「クー」の日本語版を出していた縁もありリッキーさんにすぐメールを出した所、
早々に日本語版出版について前向きな返答をいただけました。
ただライセンス管理についてはフランスのフェルティ社に任せている、ということで、それならと取り急ぎフェルティ社に連絡し、
諸条件についての調整はありましたが無事日本語版の出版契約を完了できました。
初版の出版以降ルールの細かなアップデートや拡張ルールのカード追加等があったためそちらは反映したバージョンになっています。
アートワークについては検討の結果フェルティ版を採用しています。
内容物についてもフェルティ版を踏襲しつつ、以下の通り微調整しております。

・箱厚みを少し増す(弊社モダンアートと同一寸法となっています)
・ついたてを大きくする(フランス語版はやや小さすぎるように感じたため、これもモダンアートのついたてと同寸法に)
・カードの厚み増、エンボス加工(アートワーク自体は非常に良かったので製造面で強化)
・ボード、コインマーカーの厚み増
・中敷きを整備、内容物を収まりを良くする

リリースされている物で既に非常に良かったわけですが、ニューゲームズオーダーとして出す上で、
「こんなポテンシャルの高い物なら、かけられる予算内でさらに磨こう」と判断し、
内容物個々に少しずつコストをかけた形になりました。
ここで「安ければ安い程良い」という方針を取れば売価をもう200円くらいは削れたのかもしれませんが、
ゲーム内容のことを考えると、それで損なわれるものはもったいないように思い、このようにさせていただきました。

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「セネターズ」、結局何がそんなに良いのか…という思いの部分を申し上げると、このゲーム自体のことに留まらず、
自分の思いとしては、国内外でのボードゲームの作られ方、売られ方、遊ばれ方…という所まで話が及んでしまって切りが無いんですが、
できるだけこのゲームの中の話で行きましょう(笑)。

3000円代という、手頃な価格。
箱の小ささ、携帯性。
ルールの短さ(コアルールは余裕を持ってA5サイズで5ページ以内です)。
価格に比して満足感のあるコンポーネント。
王道のアートワーク。
適切なプレイ時間。
適切な卓上の共有情報量。
密度の高いインタラクション。
波乱を巻き起こすイベント。
それらの見事な融合。

要点としては、こうなります。まとめて言ってしまえば、「コストパフォーマンスが極めて高い」。

過去にも何回か話題にしていますが、ここでいうコストというのは、入手の際の金銭的出費のみのことではありません。
ボードゲームを遊ぶ上でプレイヤーの皆様が負う、多岐に渡る労力や心理的負担を含めたものです。
上記で言えば特に価格、ルール量、プレイ時間といった所が皆様のコストに深く関係することになるかと思います。

ある程度このジャンルのボードゲームを遊んでいる皆様ならば重々ご承知のことと思いますが、
ボードゲームというのは、高い物、箱の大きい物を選ぶ程に大きな、そして良質な楽しみが得られるわけではありません。
野菜や果物を買う時のコツみたいなもので、「身が詰まってるのか」に注目するのが重要になります。

その点で言うと、この価格、大きさ、ルール量、ゲーム時間でこれだけのゲームを今作ってくれたことに、タータ親子への感謝しかありません。
短いルール、本当に良いです。年経るごとに思いますが、よっぽどのことが無い限り何十ページもあるルールブックはイヤですね(笑)。
NGOならば長年にわたりご好評いただいているコンコルディアにも言えますが、
短いルールを基礎に奥深いゲーム展開が実現されている、というのは、このジャンルの根幹を成す価値だな、と改めて実感しました。

あわせて卓上の共有情報量、ということを挙げましたが、これはルールの分量増大と共に愛好者向けゲームに昨今選ばれ(てしまい)がちな、
「卓上の情報を量的に激増させて1回では把握しきれなくさせる→それをリプレイのし甲斐だとする→定跡等を生み出させる」
というゲームデザイン方法から距離を置くものです。量的には十分余裕を持って「全容を把握できる」ゲーム。
自分が把握できるというだけでなく、全員が把握している、お互いが状況を把握しているということを了解している。
お互いが状況、形勢をわかっている、というコンセンサスの上で、カードやお金をやり取りする駆け引きこそ、ボードゲームの醍醐味、というのが、
ニューゲームズオーダーの基本姿勢です。そしてそれは自分の知る限り、ドイツから発してきたボードゲームデザインの考え方です。
把握できた度合いを競うのでは無く、把握したものをどう解釈するか、どう活用するかということで勝敗を決めたい、決めていただきたいんですよね。

セネターズの形勢は、得点(元老院議員からの支持)と、カードの集まり具合、そして所持金で示されますから、
(お金はついたてに隠れますが、互いの懐具合はざっくりわかるはずです)その土台の上で是非楽しく戦っていただければと思います。

プレイヤーの手番の度にめくられるイベントカードについては、これもなかなかのっぴきならないです。
この要素が、先行しているプレイヤーの「安定優位」みたいなものを大いに脅かしてくれます。
何せ毎手番、矢継ぎ早にめくられますからね(笑)。
こういったイベントの荒波がもたらす一寸先は闇の展開、で1時間というのは、私がボードゲームに望む楽しみの時間そのものです。

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雑感としては、こんな感じです。セネターズ、率直に申し上げれば…皆やってみたら良いと思います(笑)。
ボードゲームが滅茶苦茶たくさん出ていて、どれがどれやら、面白いのがどこにあるやら右往左往、
って状況だと思いますが、NGOで1個見つけておきました。
カードにテキストがあるゲームではありますから、日本語版にしておきました、ということですので。

内容はなかなか激しいので、予想として「初心者にはお勧めしない」とか「人は選ぶ」とか言われそうな気もするのですが、
いや全然初めての人にもやってみて欲しいです。人は選ぶのかもしれないですけど、「きっと自分にはできない」と思う必要は無いです。
ルールは短いですから。時間もそこまで長くはない。価格も3000円代。お試しいただける物として、準備しました。

こういうゲームを、ボードゲームの面白さに気付き始めた、たくさんの人にぶつけてみたいんですよね。
新しくボードゲームを遊んでいる方々、それは勿論色んな方がいらっしゃる。「初心者」なんていう均質な人たちがいるわけではない。
ただ自分が日々そういった方々とお話させていただいていて、既存の人達、自分達が認識している以上の、
ボードゲームを遊ぶことへの情熱であるとか、ガッツであるとかを感じることが多いんですよね。
「この人たち、思った以上にボードゲームを好きになってくれてるんだな…」って、びっくりすることもしばしばです。
遊んでる年数なんて関係ない。勝手に半人前扱いして手加減したやつ薄めたやつを勧める必要なんて無いよと。
無駄にルール長くて時間長い眠たいやつを繰り出すなよってことです。
絶対面白いやつなら、当人がその気なんだったら、一緒に遊べばいいと思います。
そういうシチュエーションで最初っから一緒に楽しめるゲームこそ、本来ユーロボードゲームのトップのやつのはずです。

だからセネターズ。ニューゲームズオーダーとしては、今これです。
一方で商業的な計算もしていて、こちら初版2000部のみで作ってます。
売れ行きとしてはそこそこかもしれない(結局セネターズは「小さいつづら」だから)、とも思うし、
2000部で利益が出るように作れるようになったことは、会社としての進歩ではあります。

でも、この2000部がとっとと売り切れてくれたら嬉しいなあ、と思いつつ、ゲームマーケットで発売します。
今のボードゲーム商業の状況、何とか変えたいですね。
できれば先に試遊して、とかではなく、自分が一番好きなゲーム仲間と、全員初プレイ、と言う状態で遊んでみていただきたいです。
感動する準備をしておいてくれ(笑)。


…さて、と言いつつ自分もまだサンプルでしか現物を見てないわけなので…。
来週月曜日、無事来るといいなあ(笑)。首尾よく無事なものが来ましたら、当日は皆様よろしくお願い致します。

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