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Defenders of ClayArt(ディフェンダーズ・オブ・クレイアート) / by 沢田大樹

  • 2008/04/24 04:48 午前
  • 投稿者:


プレイ人数:(3),4,5人用
プレイ時間:45分-60分
2008年4月27日発売・4800円

「ディフェンダーズ・オブ・クレイアート」粘土のご使用に関するご注意

<紹介>
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どこかの町のスタジオで、自信家の芸術家達が激しく議論しています。
彼らはそれぞれが「我こそは芸術の守護者だ」と信じて疑っていないのです。全く物好きな人たちです。
あなたは芸術家の1人になって粘土の作品を作り、批評しあい、そして作品に順位を付けます。
批評が評価されれば(なにせ芸術の守護者ですから)大変名誉なことです。

このゲームはおかしなテーマにそって粘土の芸術作品を作り、お互いに楽しく文句を付け合います。
他のプレイヤーと意見が合うとポイントを獲得できます。
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ディフェンダーズ・オブ・クレイアートはいわゆるクレイ(粘土)ゲームです。プレイヤーは(自称)芸術家兼批評家となり、粘土の作品を作り、また互いに批評しあいます。ただもちろん「自称」なので、実際の芸術的センスが求められるわけではありません(NO TALENT NECESSARY!)。ゲームは最大6ラウンド行われ、ラウンド毎にプレイヤーは各々の粘土作品を作ります。

まずラウンドのリーダ-がテーマを決定するのですが、ここで一つ目の問題。…テーマは「形容詞」限定です。「美しい」「面白い」「速い」「仰々しい」「寒い」「クサい」「おどろおどろしい」…、テーマは簡単には形にならないかもしれません。まあ気楽に、自由な発想で作ってください。

さて、二つ目の問題。制限時間は1分(!)です。悩んでいるよりも手を動かさないと、ただの粘土の塊があなたの作品になってしまいます!まあ考えようによれば、本当にセンスのある人でも1分ではなかなか実力を発揮できないでしょうから、かえって対等になるかもしれません。

制限時間が終了したら、作品完成。ディスカッションの時間に移ります。批評家となって互いの作品を評しあってください。無茶なテーマと無茶な制限時間を経て、プレイヤーの皆さんの前には面白い、いや素晴らしい芸術作品がたくさん並んでいるはずです。そうです、勿論自分の作品だけは素晴らしいのです!芸術家としての権威を守る為、いかに自分の作品がテーマに沿っているか、断固主張してください。断固としてさえいれば、塊のままの粘土だって芸術作品です(笑)。

ディスカッションを楽しんだら、実際の評定に移ります。手札の批評カードを使って各プレイヤーの作品に「金」「銀」「銅」「ゴミ」の評価を付けます。三つ目の問題。評定は秘密投票で行われます。ここで大事なのは「空気を読む」ことです。ディスカッションでさんざん意見を戦わせても、いざとなれば全体のムードに合わせなければいけません。自分だけ違う評価を付けたら、批評家としての審美眼を疑われてしまいます!多数派にまわることを心がけましょう。

ただ多数派に入りたいからと言って、ディスカッションであからさまな談合をすると大変なことになります。誰かが「告発カード」を使って不正を暴こうとしてくるかもしれないからです。告発カードの存在によって、プレイヤーには虚虚実実の思惑、駆け引きが生まれます。

作品に対して多数派の評価を付けたプレイヤーはポイントを獲得し、逆に少数派はポイントを失います。また最も優れた作品を作ったプレイヤーにはボーナスのポイントが与えられます。

ゲーム終了時に最も多くポイントを獲得していたプレイヤーの勝利となります。 <ディフェンダーズ・オブ・クレイアート発売にあたって>
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2007年の「エレメンツ」「くいずです」に続いての、B2FGamesの第3弾製品となります。いやー、また出せました。よく資金が残っていた。前回の2つがカードゲームだったのに対し、今回は中型サイズのゲームを出すことになりました。価格も4800円。なかなか立派な値段です。

ゲーム内容は、沢田の初デザイン作品「造形家倶楽部」のリメイクとなっています。まあリメイクと言っても、最初に発表した際は手作りの30部、しかも5年も前に出してそれっきりですから、ご存知の方はあまりいらっしゃらないかもしれません。2003年のゲームマーケットで沢田が作ってきた手製の造形家倶楽部を売っていた時は、2008年になって改めて商品化する、ということは全く想像していませんでした。それ以前にB2FGamesという構想が無かったんですけれども。まあ、一同やめずに繋げて来た結果でしょうか。

方向性としてはガチガチ勝負するというようなタイプのゲームではなく、むしろ楽しむ為のゲームです。バカ騒ぎする為のゲームとさえ言えるかもしれません(笑)。ただ、決して勝負の要素が無いわけではない。しっかりとゲームです。

自分が常々思っていて、先日あるお客様にも指摘されたのですが、沢田のゲームデザインは「クレムリン」のUrs Hostettlerのそれと通ずる所があると感じます。ユーモア(しばしばブラックユーモア)に溢れつつも、最後の一線でゲームとして均衡が取れている。当人自身Hostettlerが好きなこともありますし、また「Square on Saleは自分のデザインとしては例外で、造形家のような路線の方がホームグラウンド」とも言っていましたので、多分外れてはいないのでしょう。

今回自社製品として商品化、勝負する上でこのゲームを選んだ理由は、自分が以前より良く知るゲームで、信頼できる、確信が持てるゲームだったからでした。このゲームなら、行うべき新しい試みにしっかり合致する、という確信です。

新しい試みとは、大枠としては「いかにB2Fのゲームをユーザーの方々に近づけられるか」ということです。これは前回初の自社製品として出した「エレメンツ」「くいずです」を受けての課題です。

「エレメンツ」を出す上でのテーマは「自分達の手で一から絶版ゲームを再版する」という試みでした。そして「くいずです」は「(レイトとこぶし時代からの)自分達のデザインを一貫して通してみる」という挑戦でした。当時も書きましたが、「エレメンツ」再版が決まった際、自分達のオリジナルゲームを同時に出すかどうかということに関して、かなり悩みました。何せ商業的にリスキーでしたし、グループを維持するという上での危険性もありました。精力的に絶版ゲームの再版だけ続けていけば、一定の支持を受ける事が出来ることもわかっていました。ただ、オリジナルゲームを作ってきたという流れを止めることはしたくない。そして自分達の現在地というものを確かめる上で、ありのままの自分達を一度問うてみる、ということがどうしても必要でした。これは非常に大きい経験でした。やってみなければわからない視点・動機・課題を得ることができました。

「エレメンツ」「くいずです」で彼我の距離は自分なりに掴みました。そしてその距離を詰める為の方法は、B2FGamesを運営していく中で、周囲の方々から多くのヒントをいただきながら具体化を試みました。

最も変化を感じていただけるであろう部分は、コンポーネントデザインだと思います。特に顕著なのがパッケージでしょう。ポイントは2点、「英語」と「グラフィック」です。

英語訳に関しては、B2FGamesに普段からご来店いただいているAaron Dodsonさんにご協力をお願いしています。パッケージもさることながら、ルールも原文は英語です。言語依存はほとんど無いものの、内容物にも英語を使用しています。そしてグラフィックは、B2FGames西山の手によります。彼の考えるデザインの方向性、アイディアと自分の構想が合わさった結果、ご覧の通りのパッケージが出来上がりました。

全て英語にしているということに関しては、海外を視野に入れるという決意を表したつもりです。グラフィックは、旧来の自分達とは最も異なる点と言えるでしょう。コミックという形式を取ることが、製品としての親しみやすさを持たせるという点、ゲームの魅力をパッケージからダイレクトに伝えるという点、そして海外に出す上での「日本らしさ」というものを表す点で最適の、自分が考えられる唯一の解でした。

これは先日行ったニュルンベルクのトイフェアにおいて改めて痛感したことでもありますが、ボードゲームという物は予備知識が無い限り残念ながら「ただの箱」です。トイフェアに並ぶ様々な魅力的な玩具の中で、霞んでいたというのが正直な印象です。ただボードゲームを普段から遊ぶ人なら当然ご存知のことと思いますが、ボードゲームは「ただの箱」ではない。「本当は面白い箱」です。ならばそれを少しでも伝えるには、視覚的に内容を表そうと。そしてこれは「海外を視野に入れる」ということに関連しますが、日本人がゲームを作って海外、例えばドイツに持っていく上で、ただドイツっぽい物を作っていって果たして意味があるだろうかと。AMIGOのブースでポケモンと遊戯王を見ながら考えていました。

パッケージがドイツ語でなく英語なのも、それが一因です。自分はドイツのゲームに対して大きな敬意を持っていますが、それは無条件の憧れではありません。作るんだったら、自分達だから作れる、自分達が作る意味のあるものを作りたい。海外のユーザーの方々も喜ばせられるものを作りたい。それが出来ないなら、面白い過去の名作を遊んでいる方がよっぽど充実した時間を過ごせるでしょう。

Defenders of ClayArt、今までで最も納得して出したゲームです。勿論改善すべき課題を挙げればきりはありません。ただ今回は、関わっている各人の力を、これ以上無い程明確なベクトルにして打ち出すことができました。みんな素晴らしい仕事をしてくれました。これで駄目なら僕のせいだよ(笑)。そう思ったので、初めてクレジットに自分の名前を入れさせてもらいました。

あー滅茶苦茶長々と書いてしまった。ディフェンダーズ・オブ・クレイアート、よろしければ是非お手に取って、お試しいただければ幸いです。僕の100万円がかかってるわけで、それは確かに大事なんですが、そんなんよりもっと大事な物も色々かけてみました。一つよろしくお願い致します。


This is GOLD!!!

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