2018/10/21 01:05 午後

4月始まってる。

印刷用ページ
  • 2018/04/06 08:42 午後
  • 投稿者:
先日のハイソサエティからグラバー、パラノイア:ハイプログラマー等にわかにやってた仕事の発表ごとが重なってますなあ。
と唐突にブログを更新するのも逆に怪訝に思われるかもしれないくらい更新が不定期になっていますが(笑)。

時が経って改めて思いますが、基本姿勢としては近場では通じるコンテクスト盛り盛りの表現を連打してしまう性分なもので、
あんまり踏まえていただかなくても分かっていただけそうな感じで書くのが年々たいへんになってきたのが、
ブログが止まった一因なんですよね(笑)。
2006年あたりからブログを書き始めて、最初のころ卓上ゲームについて「こうした方が良い、ああした方が良い」と吹いていた色々なことは、
ここ2~3年くらいで割合と実現できてきた部分もあって。
最初のころは飛んだドン・キホーテ登場、みたいに扱われてるなこりゃ、という自覚も結構あったんですが、
そうは言っても自分の見立てじゃ実現可能な範囲に未着手なことたーくさん転がっちゃってるからなあ、
「ここに使えるものが落ちてるよ」「もったいないわー」みたいな話を言い出したい気持ちが止まらず。
他の人たちは「え、そこら一帯に落ちてるのってスクラップじゃないすか?」みたいな返答をくれがちだったですが、
「いや~、ちょっと直せば使えますって、直せたらお手柄、おいしいですって見ようによっては宝の山」
みたいなことをずーと言ってました。

ゴミっぽくなってるけど実は使えるもの、を拾い上げて直してキレイにして、というのはそれなりに手間もかかるしお金もかかる、
そしてなによりコツがある、ということなんですが、まあほとんど発想法の問題なんですよね。
みんなちょっと、薄汚れちゃってる現状に執着し過ぎ見つめ過ぎじゃない、と(笑)。

自分はこんな感じで思いついたからこういうモチベーションを持ってこんなん出したんですよねー、
ということを断片的に製品づくりの話にしてお届けしてますが、なんかもうちょっと総論的にまとめて書きたい気もする。
まあ時間があったらそのうちに…と言って適当に締めるブログは結構懐かしい感じ(笑)。
自分の仕事の時間確保する為にも、最近ちょいちょい視界に入る有料文字コンテンツでも始めようかなあ~、ニーズがどれほどかはわかりませんが(笑)。

ハイソサエティ日本語版を、新規仕様で発売します。

印刷用ページ
  • 2018/04/05 08:20 午後
  • 投稿者:


http://www.newgamesorder.jp/games/hig...ty_jp_2018

先日Twitterにて発表しました通り、ライナー・クニツィアの競りゲーム「ハイソサエティ」を、新たな日本語版として今月発売致します。
価格は1800円。箱サイズは弊社の「コヨーテ」「フェレータ」と同サイズにさせていただきました。
アートワークはママダユースケさんにご担当いただいております。

-----------------------------------------------ー

さて、このハイソサエティの日本語版というものについて、どこからご説明したら良いでしょうかね!
ニューゲームズオーダーとして、以前にもアメリカのフレッド・ディストリビューション(グリフォンゲームズレーベルの運営者ですね)
が出していたハイソサエティのローカライズ版を販売していたので、
以前より長らく弊社の出版をチェックされてきた方々からすると、そう大きなニュースでは無いとお感じかもしれません。
ただ自分達としては、今回の(ブラッシュアップを終えた)ハイソサエティのリリースは、
長らく待望してきた「一歩前進」と言えるもので…たいへん嬉しいです。
一つの「結論」を出せた、と申しましょうか。

このブログを遡ると、自分達がフレッド版ハイソサエティの日本語化をオファーされたのが2008~2009年頃だったことがわかります。
ニューゲームズオーダーの現在の絶版名作復刻、というのはリオ・グランデゲームズやフレッドの動きを参考にして
「そうか、そこに掘り起こすべきニーズがある」「もっと歓迎される有効なやり方がありそうだなあ」という示唆を得て始めたわけですが、
中でもフレッドに誘われた「小箱版のハイソサエティとフォーセール」が自分達に与えたインパクトは非常に大きなものでした。

「へえ、本当に小さく作ったんだね」

普通だったらこれで済んでしまう話だったかもしれませんが、あの仕様は当時の自分達にとり、天啓に近いものがあったのです。

Fred社で当時中心的に製品の制作を担当していた方がいたんですが(現在は退社)、
その方が10年前「送料や保管費をできる限り低減して北米から遠くにゲームを流通させる実験」
として作ったのがどうやらあの「極小の小箱版」だったんですね。
だから、北米ではあの小箱バージョンのハイソサエティは流通しておらず、
自分達はアジア向けに彼が作ってみようとしたカードゲームの実験に付き合った形でした。
ハイソサエティ日本語版相乗りのオファー自体願ったりかなったり、というのはもちろんだったのですが、
加えてこの「小箱で」という試みには非常に大きな意義を感じたのです。

流通コストの低減、そして収納性や携帯性の向上、といったことは、
放っておいたままでは思うようには売れていかないホビーゲームの出版を、
商業としていかにして成立させていくのか、ということを考え進めていく上で、
国境を越えて分け入るべき優先事項だったと、今改めて思います。
足りない尽くしの状況で、どこから商業的な余裕、収益性のプラスを持ってこようかという時に、
「箱の空気を切り詰めてみよう」という発想に至ったという点で、その担当者と私たちは非常に気が合いました。
アメリカのボードゲーム会社の多くが「大箱礼賛」と言いますか、ビガー・イズ・ベターの固定観念を持っていた
(大箱の存在感でアピールすべき売り場に立脚すると当然の考え方だったんだと思います)一方、
フレッドも自分達もそういった(スーパーや大型玩具店のような)売り場へのアクセスを実質持っていませんでしたから、
固定観念さえ捨てればこれは合理的な方向性でした。
それに、振り返ると結果的には、その後の流通状況の変遷にのっとった仕様変更でした。

なにぶん日本では、今日のようなボードゲームが広がりを得る前夜の話でしたから、
その時出したハイソサエティは、好評を得はしましたが、売れ行きは細々としたものでした。
ただ少し前に品切れとなり、以降ハイソサエティの供給は途絶える状況となっていました。


自分達は「フレッド小箱版のハイソサエティの在庫がいつか完売したら、独自仕様のハイソサエティを出そう」
と考えていました。
ポイントは

●アートワーク
●タイル
●箱サイズ

の3点でした。
ここまで全く触れていませんが、ルールはもう、私たちが言うまでもない傑作なので。
自分は15、6の時にモダンアートを遊んだ直後、将来ボードゲームを広める仕事をしようと決めた…というざっくりした経緯を良く話していて、
モダンアートを「自分の人生を決めたゲーム」と位置付けているのですが…、
今現在、「モダンアートとハイソサエティは、どちらが『良い』ゲームだと思う?」と聞かれたら…ハイソサエティと答えますね。
自分達にとっては、全てが望ましいです。ハイソサエティは、それ程決定的なゲームだと考えています。

と、疑いなく決定的だと信じてきたハイソサエティなのですが、どの版についても、製品仕様は決定的に思えなかった所があります。
ラベンズバーガーから出版された初版のハイソサエティは、プレイヤーが獲得を争う16枚のカードは、厚紙タイルだったんですよね。
フレッドの小箱版はこれがカードに代わっていた。ミニマルに、と考えるとそれはそうだよな、と思う一方、でも「できればタイルだったら良いなあ」
と感じさせもするものでした。
フレッドの中箱版(全世界流通の通常版)はタイルになっていたんですが…、ラベンズ版より箱が大きかった。
フレッド中箱は弊社「古代ローマの新しいゲーム」以降さんざん踏襲してきたサイズで、一つ弊社のスタンダードサイズとして採用したのですが、
カード・タイル以外コンポーネントの無いハイソサエティには、やはり少々大き過ぎた。

というか、箱自体で言うと、ラベンズ初版も少し大きかったんですよね。
今でこそラベンズのカードゲームでもいわゆる「アミーゴサイズ」に近い箱が採用されていますが、多分当時のラベンズ的にはそれは「無し」だったのかなと。

自分としては、「オリジナルアートワーク」「タイル採用」「概ねアミーゴサイズ」、で1800円、という「ハイソサエティ」が欲しい、というのが答えでした。
ちなみに過去アミーゴから一度このゲームは(カードゲームサイズで!)リリースされていますが、
タイトルが「珍獣動物園」となっていて、動物を買い付けるテーマに変わってましたね。
実は自分が初めて遊んだハイソサエティがこれでした。
『へ~、珍獣動物園てゲームですか』と買ってきた沢田に言ったら『違う、これはハイソサエティだから!』と言われて
『どういうこと?』と疑問を呈したことを今も覚えています(笑)。

55枚のカードと16枚のタイルをコヨーテサイズの箱にきれいに収めて…ということ自体、数年前であれば「言うは易し」という状態だったのですが、
昨今たくさんゲームを制作してきたノウハウを投入した結果、適切な紙を選んで上手く箱に収めることができたように思っております。
最小サイズ、という形では無くなりましたが、一つのポピュラーな小箱に、
タイルを採用したハイソサエティを収めましたので、自分としてはこれが一つの答えかなと。
私以上にこよなくハイソサエティを愛する沢田が先日、完成品サンプルを見て
「こうなるまでなかなか時間がかかったね」とつぶやいていたのを聞いて、なかなか良い物が作れたんでは無いかな、と実感しました。

この機会に是非、未プレイの方はハイソサエティ、遊んでみていただきたいですね。もちろん遊んだことがある方々も改めて!
一生懸命頑張らないと勝てないんですが、一生懸命頑張っても勝てない時は勝てない(笑)。
そんな厳しくもおかしみのある展開が愉快な競りゲームです。
「勝ち得る」一人になれれば上等で、「あ~、このゲームは本来自分が勝つべきだった!」みたいな負け惜しみを笑いながら言うと楽しいです。
是非、ブルジョワらしからぬお小遣いのやり繰りに苦しみながら、一喜一憂していただければ幸いです。
このゲームをより多くの皆さんが遊んでいるような風景が現出したら、まあ自分は人生の目的を達成したようなものですね。
そういうことを狙いつつ、近日ハイソサエティ販売開始します、よろしくお願い致します~。

ビザンツ日本語版、発売しました。

印刷用ページ
  • 2018/03/20 06:32 午後
  • 投稿者:

http://www.newgamesorder.jp/games/byzanz

さて、ニューゲームズオーダーのTwitterで既にご案内しており、随時出荷も開始しておりますので前後しますが、
この度カードゲーム「ビザンツ」を日本語版として取り扱いすることになりました。価格は税込2160円となります。

このゲームを説明するのはちょっと難しいわけですが、元のAmigo社版がメビウスゲームズさんでお取り扱いされたのが2008年暮れ頃だったはずです。
すなわちそれは、ドミニオンの発売とほぼ同時期だったということで…。
このゲーム「古い」のか?「比較的新しい」のか?どうなんでしょうね(笑)。

1995年にカタンが出たのをきっかけに、ドイツのボードゲームの魅力が世界に拡散して…、
というお話は私自身も繰り返しご説明することなんですが、そこからでも23年の時間が経ってまして。
おおよそカタンと「同期」と見なされているような、1990年代前半~後半のゲーム(バルバロッサなんかホントは1988年作です)は、
「面白い名作が絶版になっていたので復刻します」という一文で言い切っても、皆さんからのご理解を得やすい「熟成してる感」があります。
(復刻させている自分たち自身も「良い折」と感じている節が間違いなくあります)

一方、2000年代にも、もう2010年代前半にも、「面白かった…けど、広くは気づかれずに通り過ぎて行った」ゲームは、
思い起こせばいくらでもあったとも、感じている部分があります。

ビザンツ。このゲームを始めて遊んだ2008年時点の自分達の感想は、
既に「Amigoさん、こんなゲームまだ出す気あったんすね!やった!」というようなものでした。
「自分達が面白いと思うゲームがジャンルの周縁に追いやられていってる」という実感は、当時ありありと持ってました。
ニューゲームズオーダーを始めたのが2009年でしたから、良く覚えています。
ドコスコと流行っていくドミニオンと、自分達にとっては面白いのにそこにあるビザンツ。
そりゃあハンバーグの方がサバ味噌よりキャッチーかもしれないが、サバ味噌をメニューから外しちゃって、
みんなハンバーグ屋になって、本当にいいのか?と。なんでかって…サバ味噌だって、美味しいですからね(笑)。

ビザンツというゲーム、自分は忘れたことは無かったわけですが…、海外にも同じような考えのパブリッシャーがあったようで。
フィンランド、ラウタペリ社(ボトルインプも出したところですね)が新たに出版する、という話が飛び込んできました。
最初の感想は「おっビザンツ、…出せるのね。さてどう出そうか」というものでした。
ラウタペリ社版の仕様次第では、独自アートワークの日本語版に動いたほうがいいかな…、と思っていたんですが、
見た所ラウタペリ版も十分良いものだったので、「これは手早く相乗りオファーの方が良いな」と判断し、
早々に連絡した所、歓迎していただけ、スピーディに話がまとまりました。

箱・ルールのローカライズはしているものの、仕様や製造は向こう任せとなっていますので、
ウチで言うとコンコルディア等と同じカテゴリーの仕事になりますが、
ともあれ半端な所に置き去りになっていたこのゲームを手元に引き寄せられて、良かったかなと感じています。
またしても競りゲームなのですが、…私自身、個人的に相当好きなゲームです。
アンテナの高い方は既に入手されていたと思うのですが、今これだけ国内で増えたボードゲーマーの皆さんのことを思うと、
今少し入手しやすくすること、気付きやすくすることには意義があるかなと思いますので、
「ちょっと気になったぞ」という方はあそんでみていただければ幸いです。

問題は向こうの生産体制の都合上、こちらがオファーしたより少なく2000部初版となったことですが…、
まあこれが不足なようだったら、時代が変わったんだという実感と共に嬉しい悲鳴ですね(笑)。
ともあれよろしくお願い致します。

ボードゲームのルール細部の解釈周辺についてのニューゲームズオーダーの本音のお話です。

印刷用ページ
  • 2018/03/06 04:52 午後
  • 投稿者:
今般弊社がローカライズを担当しているゲームについて、ルールが不明瞭な部分がありご質問をいくつかお受けしております。
特にルールが多かったり複雑だったりするゲームで、「これはどうしたらいいんだろうね」「これはどっちなんだろうね」
という状況につきあたることは少なくないものと思います。

ご面倒をおかけしておりますが、一つ「誤解を解く」お話と申しますか、ゲーム制作の現場にあたっての
「不思議な板挟み」のお話をしたいと思います。

ローカライズにあたっては、日本語ルール製作段階でも、「このルールはっきりしないなあ…」
という状況に陥ることは、新作旧作問わず、少なくありません。
ここでもちろん作者や原語版メーカーに問い合わせるわけですが…、意外と答えが返ってこないんですよね。
作者メーカーを問わず、「え?何の話だっけそれ?」みたいな反応、良くあるんです実は。
(あと答えが返ってきても「その回答では不十分なのでは…」みたいなものに留まることもしばしばあります)

メーカーの制作のトップとしての態度を問われそうなことを敢えて言ってしまいますが、
自分が制作の上で「『完璧』なルールブック」を追及しているかと言われると、Yesとは言い難いです。
実情としては、皆さんがゲームを楽しんでいただく上で、「概ね問題が無い」ルールブック、というあたりを想定しています。
「完璧」を目指しますと、コストが跳ね上がります。出版スケジュールは遅れ、販売価格が大きく上がってしまうのです。
ですから「ほぼOK」を「完璧」にすることでメリットを感じる方の人数と、なかなか販売されなかったり、
高くなったりすることでデメリットを感じる方の人数のバランスを意識している、といった状況です。
また、私やニューゲームズオーダーの各人が「ほぼOK」くらいのルールブックで特段問題を感じないから、ということでもあります。

※「ほぼOK」というのはどうしても曖昧ですが、今ニューゲームズオーダーから出版されているゲームの
ルールブックの状態がそれだとお考え下さい。

ルールブックが不明瞭な理由には大きく3つあって、

1. 日本語(翻訳もしくは記述)の不備
2. 原語の記述の不備
3. 作者/原語版メーカーがそもそもルールを確定させていない

といった感じです。各案件についても明確に区別できるわけではなく、これらの理由が併発していたりするわけですが。
意外に感じられると思うのですが、3は多いです。
例えばヴァス・シュティッヒを出版する際、カール・ハインツ・シュミールにいくつかのルールについて明確化を求めたら、
「そっちで決めて良いよ、いずれにしてもゲームの面白さは保たれそうだから」という答えが返ってきたりしたこともあります。
決まってなかったか、忘れたかのどっちかだったんだと思います。
その時は、「いや、過去の名作のルールを(細部とは言え)自分達が確定させるんですか…」と戸惑いましたが、最近はそうした事態にも慣れました。

ゲームの面白さが損なわれてしまうようなルール/ルールブックの不備は、もちろん極めて重大です。
ただ、「味がちょっと変わるけど、まあこれはこれで美味しい」みたいなことですと、途端に作者/メーカーの態度は変わります。

欧風ボードゲームのルール作りにおいて、デザイナーのこれくらいの態度は意外と「平均的」なのではないかな、
というのが自分が経験してきたうえでの印象ですし、実の所私も、この位の気持ちです。

「参加者がみんな楽しめて、何とか遊べるんならどっちでも良いんじゃない」
「ゲームの面白さが根底から損なわれるような部分でないなら、良いんじゃない」

という感じです。

「全プレイヤーが完全に同じルールを共有した状態で競技性を担保してプレイする」という方向性を、
ニューゲームズオーダーの出版物は志向していません。
(だから私たちは自社のゲームで競技前提のトーナメントを開催しておりません)
テーブル毎にルールが異なりますと、外のグループでプレイする時に解釈ずれが生じたりして一定ご面倒だとは思うんですが、
…プレイヤーの皆さんには、その場のすりあわせで引き取ってしまっていただきたい部分も正直あります。

ボードゲームを出版する各社の態度によって異なると思いますが、私達としては、
遊ぶ上で"ほぼ"問題無く遊べる基準にして、皆様の実際の利便が最大になればいいと考えております。
もちろん個別的には、必要に応じてルールの明確化も行って(原語版メーカーに求めて)まいります。

(具体的にはインペリアルのルールはいくつかPD社に問合せ中です)

都度自分達の役割を考えながら、ボードゲームの出版事業をやってまいりたいと思っておりますので、
引き続きよろしくお願い申し上げます。

ボードゲームパブリッシャーの3つのリソース。

印刷用ページ
  • 2018/02/04 02:08 午後
  • 投稿者:
さて…、2月ですね。春のゲームマーケットが2月の初旬ですから、既に春の新製品の制作を進めている状況です。
考えることは多いですが楽しみもやりがいもありますから、一歩一歩踏みしめるように進んでいきたいと思います。

2017年を経て、社内で継続的にボードゲーム出版を行う態勢が整ったと言える状況となったのですが、
その上で、自分達が複数の、特に3つのリソースを調整しながらやっていることを、
より明確に意識することになりました。つまり、

●製造資金(原則として大方は利益を上げる前にかかるものですから、事業拡大するほど比例して必要)
●労働力(喜んでいただけ、順調に売れるクオリティの物をトラブルを抑え継続的に制作するというレベルでの)
●倉庫スペース(販売の成否とも深く関わりリズムを崩すと容易に破綻)

です。このどれもをより活発に活用することで営業が捗りますが、キャパシティを超えてしまうといけない。
ニューゲームズオーダーの制作にあたっている人員は限られているため、過去数年間にわたって、
販売の増大に伴い要する労働力の増大を抑えるため、「ロングセラー商品の開発」
ということを一つの柱として掲げてまいりました。つまり重版がかかる程良いという普通のことです。

ちなみに、お陰様で2014年9月に発売したモダンアート日本語版は今でも堅調に売れており、
この度(記憶の限りでは)4刷となるものの出荷を開始しました。
15、6歳の時分に初めて遊んで衝撃を受け、ボードゲームの仕事をしようと意識するきっかけとなったゲームですから、
それが今日では自社の製品として長くご好評をいただいて、営業の支柱ともなっているのは嬉しいことです。

斯様にロングセラーの製品をいくつか開発でき、またそれぞれの製品について適切と考えられる小型化を行うことで、
「労働力」「倉庫スペース」にいくらかの抑制を聞かせながら進めてきたのですが、お陰様で近年の拡販の効果もあり、
結局資金がボトルネックになっているのがニューゲームズオーダーの現状です。
原理的にはお金を余らせて寝かせておいて良いことは無いので、納得感はあるのですが、心地良い状態では、まあありません。
あと運営していると言う気分でいうと、「資金10割、労働力9割、倉庫8割」と言ったくらいなので、
一般的な視点で見れば十分やってるんじゃないかという気もするんですがね(笑)。
社内では労働力を10割活用したいモチベーションが高いので、「資金がもっとあれば、あんなこともこんなこともできるのに!」
といった気持ちが去来する瞬間があります。
ただその資金を外に求めることで、実際には会社のバランスの著しい変更を余儀なくされると推測しているため、今は選んでいません。
今までそうしてこなかったことで生じてきた特性が知らず知らず損なわれるんじゃないかな、と思われて、
あまり食指が動かないというのが正直な所です。自由が制限されて、「普通の会社」になっちゃいそうなんですよね。

ボードゲームのパブリッシャーとしては普通なら本来、

●ネタ(何かしら意義深いゲームを出さなければいけないけれど、目ぼしいものがない!)

という部分に苛まれて然るべきと言う気もするのですが、これについてはこの稼業を始めてからというもの、
今日まで生じたことが有りません。頭のどこかには複数年単位で棚上げになっているものがあって、
「放っておいてごめんなさいね…」というものが残っています。
ふうふう言いながら何とかそれを引っ張り出すことに成功すると、大概その横に「ボクも居るよ!」みたいのが見つかります。
いや…、これは有り難い状況なんだと思います。

前述したように3つのリソースご取っ組み合いながらできる限りのことをやる毎日ですので、まだテーブルに載っていない、
棚上げになっているゲームのことは日常的には考えないようにしています。
憶えてはいるけど、引っ張られて手元が疎かになっては元も子もございませんので…。
資金と労働力が最も良い形で活用されることで収益が上がり、それが不可能だったことを可能にしていく…、
という前提に立ちまして、手元にあることを頑張って参ろうと、引き続き考えております。
良い仕事をすると収益が(も)ちゃんと増大する、という、数年前からすれば望外の状況ですから、あとはしっかりやるだけですね。
自分達の全力がどの程度の結果をもたらすか、というのは、ここまで来ると「天のみぞ知る」という所もありますから、まあ。
たいへんですが人事を尽くしましょう(笑)。
個人的には、この数週間の内に(製造費用の不足の為)びっくりするほど軽いノリで旅立っていった私個人の有り金1000万円が、
この春を超えた頃には無事帰ってきて欲しいと願うばかりでございます。
この話を店に来るお客さんに「いや~参っちゃいますよ」というノリで話してたら「単位的に共感できなぁい!」
と笑いながら返されたんですが、ご安心ください。私も全く共感できません(笑)。
なんだ1000万てなんだ、意味がよくわからない!は~頑張ろう…。

製造と輸送の案件ラッシュ。

印刷用ページ
  • 2018/01/26 06:06 午後
  • 投稿者:
1月も終わりに近づいておりまして、ただ今ニューゲームズオーダーは2018年の製造出荷関連が色々ラッシュを迎えております。
1つお詫び申し上げたいのが、パトロネージュの金属コインの品質維持に想定以上の時間を要したため、
本製造分の入荷が1月末にずれこみました。
そのため一般出荷1月下旬と申し上げておりましたが、2月に出荷させていただくことになりました。
少数ではございますが先行販売分を遊んでいただきました皆様にはお楽しみいただけているようで、何よりです。
2017年の私たちのメインパートを費やしたゲームですので、是非お試しいただければ幸いです。

ヨーロッパの船便輸送も複数件行っているのですが、これは昨年11月頃に手配したものが中心です。
ドイツ・オランダの港から船便輸送しますと基本東京港着まで2か月を要する為、到着が今ばかりになります。
パトロネージュの制作が一段落し製造待ち、となったあたりで2018年に向けて動いた案件いくつかのものです。
言えるところではコンコルディアのエジプト・クレタマップはご期待いただいている通り入荷予定です。
また品切れしているコンコルディア・サルサも増刷したものがもうすぐきます。
(PD社も気にはしていたのか次回入荷分からパッケージの絵が変わって普通になります)
あわせて、長く品切れしていた古代II、インペリアルも再入荷します。

ナヴェガドールはどうなってるんじゃい!と言われると思うのですが、これは今年増刷されるようです。
コンコルディアは弊社の手持ち在庫が少なくなっておりますので、これは増刷を既に発注しました。

トランスアトランティックは(さらっと言ってしまいますが)日本語版担当させていただく予定です。
しかしPD社から具体的な話がまだ来ておらず、向こうの予定待ちです。

また品切れしていたモダンアートの増刷分がもうすぐ再入荷予定です。
あとペンギンパーティが品薄になっているのでこれも増刷中です。

新製品に関しては、コンコルディアマップ以外は…カードゲームを2点ほど製造工程です。どちらも復刻。
そして制作については、1点ご期待頂いているものに着手致しました。来月にはもう復刻でもう1点着手予定。
ぐるんぐるん製造が回っているので、資金がたいへんです(笑)。
あ、もう一つ新製品としては、パラノイアのハイプログラマーもようやく目途が立ってきたようです。
翻訳がたいへんだった模様で!
ニューゲームズオーダー各人担当しているものでいっぱいいっぱいなので、詳しくは知らないんですが…(笑)。
また良いものになってるはずです。

ということで1月もうひと踏ん張りして、2月も頑張ります。

2018年。

印刷用ページ
  • 2018/01/07 08:26 午後
  • 投稿者:
もう7日になってしまいましたが…明けましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。

2018年ですねえ。このブログでも書いてきた通り、2017年の初頭から、
「2012~2016年、5年間のパブリッシャー路線の結果について2017年を丸ごと使って評価する」
と申し上げております。
結論から申しますと、ニューゲームズオーダー、「成功」と言える状況に至っております。良かった!
2006年辺りから構想して参りましたボードゲームパブリッシャー、何とか成立させられた、と言って良いかなと。

今またモダンアート、交易王が品切れ、そしてまたしても枯山水が品薄になりつつあるのですが、これも再生産に入っております。
その次はペンギンパーティかな。新製品については、パトロネージュの一般販売準備中なのと、
それからヨーロッパからの輸送行程のものがぽちぽちっと2種類あります。制作中のものについても2種類。
3、4種類目も着手する予定ではありますが、どういう風にしていけるかは未定です。

…ともあれ、皆さんに喜んで、楽しんでいただける良いゲームが出したいですねえ。
相変わらず、ゲームを出すにはお金もかかるし苦労もするので、ボチボチなのはいやですね(笑)。
今年もたいへんそうですが、それだけの価値があったな!ってものが送り出せたらいいな、と願っております。
ということで、今年もよろしくお願い致します。

「シド・サクソンのゲーム大全」Amazon未入荷の件についてご説明

印刷用ページ
  • 2017/12/21 06:49 午後
  • 投稿者:
本日は、12月16日に一般販売を開始しました書籍「シド・サクソンのゲーム大全」につきまして、
Amazonに入荷されていない状態が続いている件をご説明したいと思います。

私共としてはなお1000部以上の在庫を持っており、Amazon(e託サービス)からの注文を待っている状態が続いているのですが、
12/21時点でなお注文が来ていないため、納品が行えない状況です。

何故注文がなされないのかについては出荷開始直後にAmazonに問い合わせ済みです。
返答は「日販からの入荷を予定しているため」ということでした。
しかし、弊社から日販さんには書籍を出荷しておりません。
これは弊社が(私共の書籍がホビー商材の性格が強いことから)書店流通としては一般的な委託・返本の取り扱いに対処できない為です。
(Amazonのe託からは実質返本が無い為、例外的に委託取り扱いを行っています)

弊社が唯一取引している書店取次「地方・小出版流通センター」さんはほぼ買い切り条件での書籍注文を行ってくれるため、
大型書店等への納品については一括してお願いしております。本件について今回先方に問い合わせたところ
「確かに日販さんからAmazon向け名目で当該書籍を融通するよう連絡があったが、NGOさんの書籍はAmazon向けには出さない約束なのでお断りした」
という回答を得ています。
(流通に際してAmazonへの出荷が混線しないよう取り決めており、これをしっかりと守っていただいていたわけです)

…と、ここまでの経緯もAmazonサイドには説明済みで、ここ数日注文を待っているのですが、残念ながら注文は来ておりません。
多数のお客様がAmazonでのご注文をご希望であり、私共は即日Amazonに出荷可能な形で在庫を持っているので心苦しい状況ですが、
当書籍については早々の品切れ等が起きているような状況ではございませんので、その点はご安心いただければ幸いです。

ボードゲーム専門店各店やイエローサブマリンさん等を中心に平常にお取り扱いいただいておりますので、
ご興味おありの方はお手数ですがAmazon以外の売り場にお問合せをいただければ幸いです。
Amazonでも購入可能になりましたら弊社Twitterにてお知らせいたします。


パトロネージュのお話、その4(最終回)。

印刷用ページ
  • 2017/12/16 09:45 午後
  • 投稿者:


http://www.newgamesorder.jp/games/patronage

さて、前回は「金貨と木皿」の採用についてのお話をしました。
各方面にとって価値あるものとして打ち出すべく、自分が構想した唯一「行ける」と思ったパトロネージュがこれだったわけです。
自分はこの構想…というより壮大な皮算用をひねり出すのが最大の役割なのですが、
この私の皮算用の領域に大きな幅を与えてくれるのが、実際に製造を取り仕切る西山を始めとしたニューゲームズオーダーの各人の働きと、
安易な方法に頼ることなくここまで引き上げてきた会社の規模、構築してきた販路ということです。

唐突に背中に翼を生やして飛ぶことはできません。人ですから地道に歩いて、ということになります。
2010年に行った「ぼくらの火星」の制作を通して生じた、「ゲームの制作、製造、流通の、質と量両面での向上」というテーマがありました。
3歩進んで2歩下がる、ともすれば3歩下がってしまう日々でしたが、7年で一定の成果を見たことで、
ゲーム作りと販売に際して取れる選択肢の幅がいくらか広がっており、私が今回構想したパトロネージュは、
「自分達の力量をフル活用すればぎりぎり実現できる」と見極めたところにありました。
逆に言うと、製造の選択肢も、予算規模も、ぎりぎりまで使うからこそ相応の力を得るということでもあります。

とりわけ金貨は、自らの手で造形も行う西山の領域です。
自分が金貨と言い出した時点ではその想像は曖昧なものに過ぎなかった為、まず拠り所を作ろう、ということで、
ふたつの方向からの検討を始めました。

ひとつはババンクでも行った、3Dプリンタを用いた形状の検討でした。
直径や厚みはどういったものが使い易いのか。そして「感じが出る」のか。
金属製コインは「重量=コスト」といって差し支えないので、野放図に大きくはできませんが、
金属製にする甲斐の無いものでは駄目ですから、実用性と、満足感と、製造費用のバランスが大切。
加えて「碁石型」も検討対象に入れました。類似している物を考えた時、碁石というのは平面から持ち上げやすく、機能的であるからです。

もうひとつは、「ルネサンス期イタリアで使用されていた実物の参照」でした。
調べてみたところ歴史上のコインのレプリカを販売している海外のショップは散見されたので、
ルネサンス期のフィレンツェの金貨「フィオリーノ金貨」のレプリカを取り寄せて、デザインを検討することにしました。

サイズ検討については20mmと25㎜を作って各種比べたものの、「20㎜は少々小さく、25㎜あれば満足なサイズ」という結論になりました。
厚みについては「4㎜あると持ち上げ易くコインらしい」「碁石型はやはり使いやすいが製造の安定に際しリスクが高まりそう」。
直径25㎜、4㎜厚、というのが一つの答えだったわけですが、これを40枚入れる…と言う話は、計算するまでもなく西山が言いました。
「コスト爆発だわそれ」…そんな気はしていた(笑)。
ちなみに2000セットですから、予定しているコインの製造枚数は8万枚(+不良品対応分)です。

次はこれを、満足感が保たれる範囲で削るフェイズに入りました。
まず直径を1㎜ずつ削った3Dサンプルを作り、「22㎜までは削ろう」という結論を出しました。
加えて…「縁を高めにして、中央部を窪ませることで金属の使用量を減らそうか」ということに。贋金づくりみたいですが(笑)。

ここまで進んだあたりで、海外に注文していたフィオリーノ金貨が到着し、確認した所、西山と、
「うーんそうか」「まあそうだよね」と唸ることになりました。

フィオリーノ金貨…実物は(いやレプリカですが)凄く薄いのです。多分1円玉よりも薄い。
「これを忠実に再現したら…使い難いだろうねえ」「あとあんまり夢無いよねこれ…」
実物(のレプリカ)のフィオリーノ金貨と、22㎜x4㎜厚のサンプルを見比べて、しばらく思案することになりました。

自分が出した結論は「表裏の意匠はフィオリーノ金貨を踏襲」「サイズは22mmx4㎜厚で」ということでした。
それにあたり、これは言わば「マンガ肉」だ、という説明を西山にしました。
リアルなフィオリーノ金貨そのものを再現して入れた、と主張して、使い難かったり、期待通りのイメージをもたらさないゲームを作るより、
それなりの脚色があっても、楽しいゲームということを優先する場面だと考えたのです。
そういう判断を下していいのではないかな、と思えるほどには、自分達はこの金貨のことをずっと考えていました。

サイズが決まり、西山がパテを使った造形に入りました。この作業中、西山が始終「何なんだよ、この裏のトボケ顔のおっさんは!」
とレプリカコインを眺めつつため息をつき、それでも造形を再現すべく粘り強く手を進めていました。
後で調べたところ、これは「聖ヨハネ」だそうで(笑)、多少私共の信仰心もこのコインには宿ったかなと思いました。

作った原型を元にシリコン型を作り、低融点のメタルを鍋で煮て流し込んで…、という、
西山恒例のメタルフィギュアの製造工程に入った後、程なく最初の金属サンプルが出来上がりました。
(こう書いてしまうと2行なのですが、ゲームマーケットでのタチキタプリントの外注仕事が多数あり、西山の度々の泊まり込み作業の結果です)

「おお、素晴らしい!」と自分は称賛したのですが、想定していたアカシアの木皿にその数枚を投げ込んでみた時、
思わず「神よ!」と叫びたい気持ちになりました。その後しばらく、西山の苦心の作を、繰り返し木皿に投げ込んでいました。

音が重い…。

表裏とも素晴らしいレベルで意匠が再現され、直径厚みも注文通り、持ち上げやすく、持った時の重みにも満足感がありました。
ただ、自分が想定していた「ちゃりん」という音が鳴らない。何度放り込んでも、「ごとっ」という音がしていました。

ゲームマーケットの日程も刻一刻と近づいてきていましたから、非常に気は重かったのですが…、西山に、そのことを伝えました。
「あと0.5㎜、薄くしてほしいんだよね…」と。西山は「まじかああああああ」とは言いましたが、すぐに修正にとりかかりました。
ホント頭が下がる思いでしたが、これを直すのが西山の仕事であり、これを直す必要があると伝えるのが私の仕事だということです。

数日後、西山が作り直した3.5㎜厚のコインは…、(理論的な確信があったわけではない0.5㎜減の判断にも関わらず)
「ちゃりん」という音を立てました。…嬉しかったですねえ。

しかしこれは勿論、地獄の一丁目に過ぎないわけです。西山に「ぶっちゃけた話、国内で製造すると1枚いくらかかると思う?」
と聞くと、「40円じゃないかな頑張って」。40円×8万枚は?
「…まずいですなあ」計算して、自分は答えました。「コインだけで、売価5000円の計算だ」

---------------------------------------------------------------

ここから、海外製造についての調査が始まりまして…、色々すっとばしますが…、あのようなコインが40枚、収まることとなりました。
税抜7500円、税込8100円という価格設定は…、初版枯山水と同じですが、これもまた「何とかここに抑え込んだ」という感想があります。
原価ベースで数百円余分にかかればあっという間に売価が上がりますから、途中では「売価1万円越え」を覚悟しなければならないのかな…、
と考えた瞬間もありますし、「金貨と木皿をプレミアム版専用、もしくは別商品にする」という可能性について考慮もしました。

しかし、何とか当初の構想通り、全てのパトロネージュに「金貨と木皿」を付けたかった。
金貨のことばかり言ってますが、アカシア製のこの木皿も、風合いですとか曲面の具合といった点、また「金貨と共に立てる音」と言った点で、
割り引けるものではありませんでした。

加えて、ゲームマーケットで先行販売分をご購入の方にはお気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、中敷きのこともあります。
内容物として金属コインを入れることに決めた時、「箱の中で金貨が飛び散って、カードを痛めたりしたらまずいよね」
という議題は、すぐに生じました。ケイラスの限定版で、金貨が中敷きをぶち破ってるのを発見ししょんぼりした方も、いらっしゃるでしょう。
また、採用した木皿は手工業で作られている製品で大きさにばらつきがあったので、それを吸収できる構造が必要でした。
加えて、このゲームは大量のカードが入っているため、「スリーブを付けたら入るのか」という問題。
中敷きを変形できる機構にして、スリーブを入れた後でも一応収まるように…してみています。
あとカードが入るスペースの上にゲームボードをはめると蓋のようになります。

入れられるかぎりぎりだったため内容物には書いていませんが、山中さんの手による「パトロネージュ講座」は、
親しみやすくルネサンス芸術の知識を与えてくれ、素晴らしいものになっているのではないかと思います。
このゲームに採用されている芸術作品が現在どの美術館に所蔵されている、というような一覧を含め、
枯山水に続き、自分たちなりには「テーマを適当に取り扱わないように…」という形にさせていただきました。

カードの印刷については、日頃より弊社ゲームの国内製造でお世話になっている印刷会社「株式会社SYS」さんにお願いしています。
このゲームの試みにご賛同をいただき、名作カードの金箔加工を含め、予算や納期や、様々な無理を聞いていただきました。

山田さんと、私たちニューゲームズオーダーと、ゲーム作りの考え方について、相違点は少なくはありませんでした。
そのために難しいことはたくさんありました。しかし、共通している大きな一点が、揺ぎ無くあったからこそ、
パトロネージュを出版することができたと思います。

面白いゲームとは、皆さんに楽しんでいただきたいゲームとは、どういうものか?

その一点は、制作に際して一度も揺らぐことなく、共有していたと思います。
そのゲームは、どうすることによって本当に、本当に実現できるのか?プレイヤーの皆様のお力を、喚起できるのか?
その点に関しては、山田さんに譲っていただき、私の考えを通させていただいたことは少なくありません。

「このゲームは本当は面白いんだ」と言いたくはありません。私がそう遠吠えをすることなく、皆さんに面白さをお届けすることができるかどうか?
関係各方面の皆様のご助力をいただき、2017年の我々ニューゲームズオーダーの、全力を投じました。

本場ドイツで認められるかどうかとか、私としてはあまり興味がありません。
テーブルを囲んだ3~4人の皆さんが「俺のボッティチェリ仕事しねええええええええええ!」とか、
「うわああああサンピエトロ流れたああああ」とか、「俺の工房の名も無き画家たちがモナ・リザを描いた…」とか、
「奮起来い!奮起!」とか言いながら、金貨をちゃりんちゃりんと木皿に投げ込んで、ひと時楽しんでいただけるかどうか。
そこにしか興味がありません。その数人にしか、興味が無い。
その数人が最高に楽しんだら、それは最高のボードゲームってことでも良いかなと。

僕らの考える面白いボードゲームというのは、例えばこういうものです。
ということで、明日中にも、弊社サイトでの通信販売を開始予定です。
よろしければパトロネージュ、遊んでみていただければ幸いです。正直…お勧めです!

パトロネージュのお話、その3。

印刷用ページ
  • 2017/12/15 09:17 午後
  • 投稿者:


さて少々日が空きましたが、パトロネージュのお話の続きです。

パトロネージュの大きな部分を占める150枚超のカードについて、山田さんから提出されていたサンプルを元に、
ママダさんと山中さんと、カードのデザインを始めました。このゲームに登場する芸術作品には
「建築」「彫刻」「絵画」の3種があり…、それぞれ「資料を用いるのか(用いれるのか)」、「ママダさんが描くのか」という問題がありました。
また芸術家についても、しっかりとした肖像画が残っているものから素描のみのもの、彫刻だけが現存するもの…等々、様々でした。
サンプルでは全般的に写真画像が貼られていましたが、これをそのまま製品にすることは難しい為、
山中さんを中心にバランスを模索することとなりました。結果としては絵画については元画像、
建築・彫刻については現存するものの写真を元にママダさんが調整・彩色、芸術家については現存資料を参考にママダさんが執筆、となりました。
一方もう一つの重要事項となる箱絵については、様々検討の結果「時祷書」「写本」の形式を踏襲することにしました。
これは私の「ゲーム内容を表す光景を、美術的観点とバランスを取りながら表紙に収めていただきたい」という要請に応じていただいたものです。
…と、制作を終えた所で書くのは簡単ですが、ママダさんを中心に、相当なお骨折りをいただいた作業でした。
山田さんともゲーム上の機能性との両立について密にお話合いさせていただきました。

ニューゲームズオーダーでのゲーム作りでは、これは私自身の元々の性分も大きな動機となっているのですが、構成する各要素について、
硬軟取り合わせて多くの意味を同時に入れ込みます。その優先順位や精度へのシリアスさ…といったことについては言ってしまえば
「最後は感覚」ということになるのですが、ともあれ「あちらを立ててこちらも立てる」といった信条で、倒れても倒れても立て直し立て直して、
最終的には「方々立ってる!凄い!」という状態を獲得することを狙って、作業を進めていきます。
「めっちゃ都合のいい状態」への執着と根気が不可欠な仕事になります。

ただそんな私共でも、今回ほど多くの要素を同時に、両立を目指して束ね合わせ、製品に入れ込んだことは、今までありません。
「このゲームをこういう物にしたい」と真剣に考える、確かな能力を持った主体が多ければ多い程、
それはゲームが持つ魅力が増す可能性となりますが、当然ながら、その個々のこだわりの協調を取るのは飛躍的に難しくなります。
ただこのゲームは「素晴らしいけれども商業と適合させることが難しい」作品でしたので、リスクを取ってでも、
大きな力を引き込む必要がありました。「何でこんな無茶するの…」と傍からは見えるのかもしれないのですが、
後に引けないくらい張り込んでおいて「大当たりが残っていないとわかっているくじを引く」というのは、誰の為にもならないと考えたのです。


上記のような制作の方針が最も顕在化しているのが、既にご存知の方も多いと思いますが「金属製コイン」と「木皿」でした。
今日はそのお話をしたいと思います。

山田さんと製品仕様について初めてお話した際は、「ママダさんと山中さんをアートワークに起用する」ことのご了解をいただくことが
第一議題だったわけですが、実際はそれ以上の課題がカードに並ぶもう一つの中核的内容物である「予算を表すマーカーと受け皿」の取り扱いでした。

自分の中では「大量のカードのイラストと印刷で相当のコストがかかる」ことはこの時点での前提となっていましたので、
このゲームの製品としての価格、コストのバランス取りの為、自分の中で定まった方法として、山田さんに尋ねました。
「受け皿は無しにして、『紙製チップの表裏で未使用、使用済みを表示する』といった方法の採用についてはどのような感想を抱かれますか」と。

山田さんのお答えは、ある程度は予想していたものの、その予想以上にはっきりとした「それは止めていただきたい」というお答えでした。
東京ドイツゲーム賞に提出されていたサンプルでは、市販のマーカーにマドレーヌのカップ、といった簡易なものが入っており、
勿論遊べるものではありましたが、そこにどういった意図が置かれているか、というのが強く伝わってくるものでは無い状況でした。
そこで、私がその理由を尋ねますと、その答えは「このゲームの着想に関わるものだから」ということでした。

TCGにおける(マジック・ザ・ギャザリングでいう所の)「タップ」「アンタップ」という手続き、表示方法については、
テーブルゲームに日常的に親しんでいる方ならばご存知のことも多いことと思います。
縦置きにしたカードの効果を「起動」する際に「タップし」(90度回転させて横向きにし)、使用したことを示す。
多くのTCGでは、自分の手番が回ってきた際にこれらを全て「アンタップし」(横向きになっていたものを縦向きに戻し)、
再び全てのカードが未使用の状態となったことを示します。

この手順についての改善を考え、その一つの答えがこの「マーカーと受け皿」です、というのが、山田さんのご説明でした。

TCGではゲームが展開するにつれ場にあるカードが増える傾向にあるため、自分の手番開始時に「アンタップ」を行う際、
それなりの数のカードを全て「縦向きにする」手数、手間が生じる。ここに分け入りたい。
ラウンド自分がコストを費やした時、「容器にマーカーを投入する」。そして次のラウンドの開始時に全員が「容器をひっくり返す」。

「1回の動作で『アンタップ』を完了できるようにしたいんです」

というのが、山田さんのデザインの意図でした。
このゲームはカードに関わる手続きから出来上がっていったゲームでは無く、この「マーカーと受け皿」にこそ、発想の出発点があると。

…なるほど、と自分は考えこみました。
まずこのアイデアの方向性について自分がどう感じたかと言うと、それは素直な「共感」です。それは確かに良いこと、という。
それはこの「マーカーと受け皿」がもたらす「改良」が、地味ながら確かなものだったからです。
この世界に「手番の度にアンタップをたくさんすること」を楽しみとしているプレイヤーがほとんどいないだろうことは想像に難くないですから、
この改良が、(実現さえされれば)確実なメリットをもたらすことは明らかでした。

ゲームの内容や、アートワークや、その他様々な部分については、それはプレイヤー皆様個々のお好みがあります。
一方でこれは物理的な「改良」で、遊ぶ人ほぼ全員にメリットをもたらし得る。
こういったこと一つ一つの積み上げは、ゲームの楽しみに確かな力を与えていきます。
(先のババンクでの「1㎜1金」も、これと同様の考え方です)
このゲームのリズミカルなテンポと、この「マーカーと受け皿」は確かなリンクを持っていると言えました。
ルールの量、ゲームの各場面で提示される選択肢の広がり、そして手続きと用具の調和の度合い、といったことは、
ゲームのリズムに影響を及ぼし、そのゲームを名作にも駄作にもしますから、…やはり、この方のデザインには確かなものがある、
という認識を、このお話を通じてさらに強いものにしました。

しかし、費用対効果という角度から見ると、「マーカーと受け皿」を製品に入れ込むのは、率直に言って難題でした。
これを及第点というレベルまでコストを切り詰めて、と考えると、紙製、もしくは木製の円形マーカーと、
紙製の容器(できるだけ小さくできれば平面。ちりとりのような形や組み立て型)となります。
「未使用」と「使用済み」の領域分けができ、容器を持ち上げてのワンアクションでリセットが出来れば、一応その機能は満たされることになります。
しかしこれは、どう考えても「喜ばれ難い」。そしてその割に「それなりのコストはかかる」。そして「事務的すぎる」。

「コストを削ってリーズナブルに出版し、より多くの人にゲームの魅力を伝えることを目指す」という方向性も、
「夢のあるアイテム、そしてそれに伴うゲーム体験を現出させて、遊んだ人たちにとっての唯一無二の宝物にする」という方向性も、
どちらも良いのです。ただしそれが「十全に実現されるのであれば」です。
ゲーム毎に、その二つの方向性の間で、良い所にバランスを取るのが大切だと、いつも考えています。
真剣に考えるべきなのは、「それでは、このゲームはどこに位置付けるのが良いのか」「それ以上に、どこならば位置付けられるのか」。
創意工夫を凝らしてゲームを作る人が居て、貴重な時間やお金を費やしてゲームを遊ぶ人たちがいる。
そして勿論、その橋渡しを継続することを生業とする私たち自身も。
「作って良かった」「買って、遊んで良かった」「売って良かった」その全ての「良かった」を、どのように実現するかと考えますと、
どんなゲームも、選べる幅は決して広くはありません。
というより、実現可能な細い道を見いだすことだけでも難しく、加えてその道はなかなかに険しいのです。

作者である山田さんの思いをお受けして、「マーカーと受け皿」が不可欠であることは、理解し、また共感しました。
同時に、「そこにさらなる力を引き込まない限りは、勝負できる製品としては、このゲームは実像を結ばない」という確信が、すぐに生じました。

「マーカーを受け皿に入れる」のは、このゲームにとって「お金の支払い」を意味している。
そのお金は、パトロンであるメディチ家が、工房の責任者である自分(プレイヤー)にくだされたもので、
支払う先の最もたる所は、歴史に名を連ねる天才的な芸術家たちとなります。この獲得合戦が、このゲームの一つのハイライトです。

話し合いの中で「実現可能な形」を模索するうち、…自分の中に「金貨と木皿」のビジョンが生じました。
同時に…「ミケランジェロ君、我が工房に来てくれ!」と言うフレーズと、きらきらとした金貨が木皿の中で立てる金属音を想像しました。

このゲームに参加する全員に、まずこの金貨7枚と木皿が配られる。「パトロネージュ」を受けるわけです。
自分がゲーム中に取る一挙手一投足にこの金貨の支払いが伴うことで、その貴重な予算を切り盛りしているということを常に意識してもらいたい。
算数的な確率計算に邁進するばかりでなく、この金貨と木皿から、この作品が描き出す世界に思いを馳せていただき、
ゲームの両輪としたらどうかと考えたのです。
もちろん、他のプレイヤーの手元にある予算の使用状況を一目で把握できる、視認性の良い用具、という用途も、これは同時に兼ねています。

この金貨がアピールする魅力がゲームへの求心力を増し、それがこのゲームの面白さの真価に触れることに、繋がってくれたらと。

ゲームを作る度に、肝に銘じています。
私たちは美しいルールと、そこから生まれるゲームを愛していますが、遊んでいただくほとんどの人にとって、ルールは最後の2%。
その2%に触れていただくため、気付いていただく時間の猶予を作り出すために、98%の力を蓄えなければいけないと。

自分の心中には、「パトロネージュが遊ばれている風景」がありありと想像されました。プレイヤーの皆さんの手元には、金貨と木皿がありました。

この金貨と木皿が備わっているパトロネージュと、備わっていないパトロネージュと、それはどちらがより良いものだろうか?
このゲームを手にする皆さんは、自分の財布の中の二千円余りを、この金貨と木皿の為に、奪ってくれるなと言うだろうか?
それとも、このゲームにより理想に近い姿形を与えてくれるなら、二千円を惜しむことは無いと言うだろうか?

ここは自分の想像でしか無いわけですが。これだけ多くのボードゲームが溢れている中で、
皆さんが本当に欲しいのは「未だ得ていないゲーム」「未だ得ていない楽しみ」だろうと、私は思うのです。
自分の仕事はそのお気持ちにお応えすることだと思って、ゲームを作りたいので…、今回も、そうさせていただくことにしました。


「金属製のコインと、木皿を用意しましょう。たいへんですが、それが必要だと言うことがわかりましたので…」と、
山田さんにお伝えしたことが、その日のミーティングでの一番の成果になりました。


…という所で本日は終わります。思い出すと本当に色々なお話が出てきて、なかなか書き進むのが難しいのですが(笑)。
あと1回だけ書いて、終わりにしたいと考えております。
「パトロネージュ」は1月に一般販売できるよう進めておりますが、12月中には弊社より一定数の通信販売を行えるようにと考えています。
年末年始に遊ぶゲームに選んでいただけましたら幸いです。