2017/04/29 08:53 午前

ニューゲームズオーダー製品のAmazon取り扱い開始のお知らせ、とそのご説明、その1。

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  • 2016/11/12 05:12 午後
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http://www.b2fgames.com/article.php?s...6190450826

先日、枯山水英語版のAmazonで販売開始時に、あわせて今までAmazonとの直接取引をしてこなかった経緯についてお話ししていましたが、この度。
ニューゲームズオーダーは、Amazon.co.jpとの取引を開始しました。11月より随時出荷を開始しています。
直接のきっかけは「Amazonのホビー担当者の方から直接オファーがあり、ご来社いただき交渉した結果、合意に至ったから」ということになります。

長年にわたり(「敢えて」と言っていい選択として)直接取引をしてこなかったAmazonさんへの直接出荷を開始した理由について、
色々複合的にあり、具体的にどこからお話ししようかな、というところですが、

1. 2010年頃にニューゲームズオーダーの基本方針を決めた時と比べ、国内のボードゲームを取り巻く状況が大きく変わったこと
2. Amazon.co.jp側からのアプローチの変更と、こちら側の「誤解」についての説明を受け納得があったこと
3. ニューゲームズオーダーが提示した取引条件が軒並み通ったこと
4. ニューゲームズオーダーの目標とAmazonでの販売の「元からの親和性の高さ」
5. ニューゲームズオーダーの継続の為の収益力増強、新たな体制構築の必要性

といったことが挙げられます。1つ1つ突っ込むと全部長くなるのでざっくりと行きますが、多くのことについては以前からこのBlogで触れています。

日本国内でのボードゲーム商業は、長年にわたりメビウスゲームズさんをはじめとした「ボードゲーム屋さん」によって担われてきて、
これは2010年頃までは「絶対的」といっていい状況でした。私たち自身、メビウスさんやバネストさんが無ければ、
ボードゲームを満足に遊べることは無かったと思いますし、もしかしたら今やってなかったのではないかと。
日本におけるボードゲームショップの存在価値というのは、大きく以下の三本柱で成り立っていたと、自分は思っています。

・ボードゲームショップ以外ではヨーロッパメーカーのボードゲームを買えない
・ボードゲームショップがそれらの日本語ルールを用意してくれる
・ボードゲームショップが面白いゲームがどれなのか教えてくれる、選定して入荷してくれる

加えて言えば「ボードゲームショップの周辺にあるコミュニティにアクセスでき、実際に遊べる環境を得られる」ということも重要ですが、
これはどちらかと言えばショップにいらっしゃる皆様の領域ということも含むので、「ボードゲームショップの」柱とはここでは表現しません。
さて、自分の認識ですが、2016年現在、この3項目のどれも、ボードゲームショップの専売特許ではなくなったのではないかと。
ウェブショッピングの利便性が国境を超えて大幅に向上し、また多くの方がその状況に慣れ、気軽に利用するようになったこと。
SNSの大幅な浸透によって趣味のコミュニティの形成が円滑化した結果、「(ネット上のみの付き合いを含め)知り合いの愛好者の誰かにより」
「無償で」日本語ルールが用意されることが増えたこと。
国内愛好者の人数が増えたことで、(その確度や性格を別にして)ネットで調べることで多くの情報に触れることができるようになったこと。
ここでもSNSの存在が大きいはずです。

上記のような事柄が、「ボードゲームを遊ぶ上で、唯一に近い選択肢」だったボードゲームショップの存在を、相対的なものに変えてきた。
ボードゲームカフェが最近急増しているのも上記と無関係ではなく、2015年的な国内状況と関連した(自然と言えば言える)動きだと理解しています。
ボードゲームの輸入、和訳、紹介、販売という仕事が、未だ確かな意義を持っている一方、いくばくか意味が弱まった今、
むしろコミュニティをサポートする仕事に存在価値を見出すという動きには、一定納得を感じられます。
各地のボードゲームショップも、一言で言えば「差別化」を図っていることと思います。
既存の価値に安住しない形で新たな存在価値を生み出している、あるいは既存の価値を他の追随を許さないクオリティに高めていっている、
そういうお店は、国内でのボードゲームの広がりの追い風を満帆に受ける形で、繁栄を続けられているのだと、そう理解しています。
ニューゲームズオーダーのようにメーカーを名乗っていなくとも、独自のゲームや製品の出版を手掛けられているお店が多いことも、その顕著な例ではないでしょうか。


ニューゲームズオーダーを始めた時に自分たちが想定したのは、ボードゲームの問屋/メーカーであるニューゲームズオーダーと、
各地のボードゲーム専門店の皆様がタイアップする形でボードゲームを販売していくという姿でした。
これは前提として、「これからも、ボードゲームはボードゲーム専門店以外で大規模に売られていくということは無いだろう」
という想定によりました。だからこそ、自分たちが魅力的な製品を作って、これがより多く専門店で売れるようになれば、お互い儲かり、シンプルなWinWinの関係が生じると。
最近始められた方だと意外に感じるかもしれませんが、10年も前からボードゲームをやっている方であれば、
2010年頃のドミニオンのヒットをきっかけとして、ヨドバシカメラにボードゲームの大きな売り場が出来た時、本当にびっくりしたのではないでしょうか。
私はしました(笑)。一方ではそういう風に「どこでも当たり前にボードゲームを買える状況」を作りたいと願っていましたし、そういう話もしていましたが、
一方では自分でも「まさかぁ、流石にヨドバシカメラはないでしょう」と思ってしまっていました。
売り場が出来た時も、しばらくは「あの売り場は一過性で、ちょっと経ったら脈無しとみて撤退しちゃうんじゃないの…」という懸念を持っていました。
今日量販店にボードゲームを卸す問屋の担当者の方に「ボードゲーム、ますます調子いいんです。取り扱い増やしたいと思ってるんですよ」
と言われたりすることがありますが、未だにどこか信じられない。

少し脱線しましたが、ともあれボードゲームは、この5年ばかりの内に、私達の予想を「上回って」、
「ボードゲームショップで買うに決まっているもの」では無くなったということです。
これはこの1~2年に特に顕著な動きですが、ニューゲームズオーダーのボードゲームの卸先は、
2010年からの私達の「専門店、実店舗重視」の基本理念とは裏腹に、専門店への出荷の割合が低下していく形となっています。
額面で言うと、実質ほぼ横ばいです。専門店で売れているニューゲームズオーダーのゲームの数はほぼ変わらず、
新たな販売先に売れる量は増加しているということです。

これは一つには、ニューゲームズオーダーが中核にしている「絶版名作の復刻・日本語版」「数千部生産、安定供給」
という地道な方針と、
現在の専門店の多くに求められるであろう方向性のずれが理由だと考えています。
今や皆様に直接来店していただくからには「ならではの」「独自の」サービスを展開する必要がある専門店の店頭で、
多くの場所で買えるニューゲームズオーダーのゲームは、必ずしも華々しくは売れないかもしれないな…と、思うことは多いです。
(ある程度着実な売れ行きは見込めるのではないか、とも期待しておりますが)

ニューゲームズオーダーが志向してきたような、50タイトルの名作安定供給、というような方向性は、今むしろ、
「例えばAmazonのような」良い物を全て取り揃えるということを目指すような、総合的な売り場と親和性が高くなっている。
それも、実店舗だと物理的な売り場スペースや店員の商品知識の限界の為にボードゲームなどはしばしばプライオリティを下げられるが、
ウェブショップならばそれは無く、他の全てのものと並列に扱われる。
ニューゲームズオーダーの、どちらかというと売れていないタイトルをそれでも扱ってくれるのは、実店舗専門店よりウェブショップ、
ということに、必然的になってくる。

ううむ。

という懸念を日増しに強めていた所、Amazon.co.jpの方から連絡があったのでした。という所で長いので1回続きます。

ナヴェガドールを日本語版として、今月発売します。

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  • 2016/11/08 05:45 午後
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http://www.newgamesorder.jp/a/newgame.../navegador
https://boardgamegeek.com/boardgame/6.../navegador

毎度ながら唐突なご連絡となりますが、コンコルディアと並ぶマック・ゲルツの人気作品、「ナヴェガドール」を日本語版として今月発売します。価格は税込9000円予定です。

え~、スルー・ジ・エイジズやフードチェーンマグネイトの日本語版発売にあたりまして、「こういう大箱の日本語版は、正面からは当分やらないよ!」
といった向きのことをお知らせしたような気がしますし、実際その路線は変わらないのでございます。
じゃあ何でナヴェガドール日本語版なんじゃい(笑)、という。ホントにね!

以前からマック・ゲルツ、PD出版のボードゲームは、主に輸入卸で取り扱いしてきたのですが、殊コンコルディアについてだけは、
傑作だというだけでなくカードにテキストが書いてあることもあり、日本語版にした方がいいですね、ということで例外的に取り扱っていました。
一方、ナヴェガドールについては輸入品ではありましたが本当に人気がありまして、
入荷するたびに見込みを上回って売れ、早々に完売、ということを繰り返していました。
常々バックオーダーはかけていたのですが、在庫不足はPD出版側でも大差なく、年単位で入荷ができず、どうしたものかと思っていたのですが、
今春「お待たせしました増刷します」という連絡がPD出版から来ました。
そこで私たちは「ナヴェガドールはよく売れるので今回は500部注文したいです(独英版を)」と返答したところ、
先方から「500部でも日本語版にしてしまったらどうかな」というオファーを受け、「…そういうことなら!」と急遽データ作りをし、
今回から日本語版仕様になった、ということです。

ということなので、日本語版になるのですが、とりあえず500部だけなのでその点だけご注意ください!というのが一番申し上げたいことです。
限定生産ということではないです(売り切れたとしたら次回増刷できるタイミングではおそらくします)が、
ニューゲームズオーダーの通常ラインナップと異なり、4桁部数があって「いつでも買える」というような状況とはちょっと違うものになります。
コンコルディアとは違い日本語版にしなくても大方ゲームプレイには問題ないゲームですが、供給再開にあたって日本語版仕様になりました、
という風にご理解ください。
人気作と言っても旧作で長時間ゲーム、ということで、500部あればしばらく大丈夫ではないかな?というのが自分の見立てですが、
気が付くとまた品切れ1年待ち、というようなことが無いとは言い切れませんので、「そう言えばその内買おうと思ってたわー」
という方は、この機会にご購入ご検討下さい。現状の予定では、11月20日頃からは出荷開始できる運びですので、皆様どうぞ、よろしくお願い致し、ます!

新しい試み一つ、本日始動。

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  • 2016/10/09 05:53 午後
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この夏、スルー・ジ・エイジズとフードチェーンマグネイトを発売している陰で、私自身は次の出版に向けて復刻の製品を1つ、制作していました。
本日はこれの話、ではないのですけれども。こちらは間に合えば、次回ゲームマーケットで発売したいと思っております。
現在海外製造中のため、「必ず!」と断言できないのですが、スケジュール的にはおそらく発売可能な進行状況です。

で、本日の話は何かと申しますと、この1か月以内にいただいたお声掛けから、急転直下で契約がまとまってきたゲームが1つあります。
こちらが本日時点で本契約の作業に入っているのですが、これを「今から作り始めてゲームマーケットでリリースする」ことが出来ないか、という検討を始めました。
えーと、実はついさっき思いつきました(笑)。

これが出来たら大きい。一見非常識に思えていたのですが、よくよく考えてみれば目算が立てられると。
上手くいったら儲けものなんでー、ある程度目途が付いてきましたら、改めてこちらで経緯をお話しさせていただきたいと思っております。

先日書いたことで「ニューゲームズオーダー、しばらく新製品出版見送るか、もしかしたら止めるのか」とお感じの方もおられたのではないかと思いますが、
…ニューリリースは止めません。しかし止めないために必要な課題が、ガッチリ生じております。
その必要なことの1つが、「契約→制作→製造→発売」という流れをより早くすることなので、こういうことはむしろバッシバシとやっていきたいと思っています。
いや~、こういうことを試すのは楽しいので!楽しいだけじゃなく、一丁首尾良くやってやりたいと思っており、ます!

B2FGames、10年完了。11年目開始。ニューゲームズオーダーの体制変更。

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  • 2016/10/07 04:49 午後
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10月入って、もう1週間。先月9月末を持って、2006年10月に創業したビーツーエフゲームズ、10年やったことになります。
普通9月30日だか10月1日だかにこういう文は書くものだと思いますが、相変わらずのバタバタで、今日になりました。

10月2日が正式な会社立ち上げの日、10月25日が店をオープンした日で…、と一応覚えちゃあいるんですが、何せ10年。
当時のことは正直、色々朧気です。
このブログ遡ると、当時の勇まし過ぎる26歳の私の日々の記録が綴られていますが、まあ10年経っても実際あんまり変わっておりません。…特に懐具合が(笑)。

2006年にビーツーエフを始めた時から、「ボードゲームのメーカーを一から作りたい」とぶち上げつつも、
なかなかの難題にどこから飛び付いたものやらと、店で生計を立てさせていただきつつ2009年にニューゲームズオーダーを立ち上げて、
問屋を軸にしつつ出版事業を始めようとして、そこからも数年もがき回り、2012年東京ドイツゲーム賞からの2014年枯山水、
の出版に際して退路を断った形でメーカー路線に踏み込み、怪我の功名で名作中心にラインナップを構築して資金を作って、
枯山水を出して、あとTRPGではパラノイアを出して、2015年に収益化できかけたものの2016年は急拡大のツケが回ってきて今死にかけてます。
こんにちは(笑)!

…とか軽口叩いている場合ではないのですが、先日より何度か言及しました通り、2015年を受けて2016年初頭からは、
「この路線、早晩限界!」という結論は社内で出されていました。限界!と認識しながらニューリリースも再販も止めず、
それどころか今夏はスルー・ジ・エイジズにフードチェーンマグネイトと激重ゲームを連打でリリースしているというのは一体どういうことなのかと申しますと、
これらが概ねぎりぎり2015年中に発動したプロジェクトの結果の出版だからです。
2016年に入って「そういうことはもう、そうおいそれとは出来んぞ!」と社内がまとまった後も、
「でもまあやりかけているプロジェクトはちゃんとやっていこう」という結果、この夏の状態となりました。

ご存知の通り種々のミスが無かったわけではないのですが、何とかリリースは終えました。
なまじっか会社の規模が上がってきたことで、今年の一連の出版が成功か失敗か、というのは本当に評価が難しいです。
意義という意味では、我ながら結構良いんじゃないかということが多いです(先日のハーフリアルなどもそうです)。
ただ現在の商業規模とのバランスを考えると、「意義はあるけど商業的には致命傷」なんてことも普通に起こってしまう。

だから前々から予告している通り、ニューゲームズオーダーとして動いていく上でのルールを、大きく変更していこうと思っています。
今まで無しとしていたことが有りになる部分もありえる。相変わらずの僕らですが、全部同じを貫いたまま墜落ということでは、
多大な迷惑もかかるし、自分たちとしても悔しいですので。
外向きに大きく変わることは無いのかもしれませんが、中では大きく変える気で、「2016年体制」とでも言えるような新たな姿を模索しています。


10年前は、発想をどれだけ変えられるか、前提をどれだけ変えられるかが勝負だと思ってやっていました。
「可動域を広げなければ、従来と異なることはできない」と。そうして確立してきたものは、やはりその分だけ重みも確かさもありますが、
まあそれは一区切りで。この10年でできたことは多いですが、それによって生じた天井に、今頭がつかえている。
それにより滅びかねない。大切なことを追い続けるため、大切に思える大切じゃないこととは決別しようと、そう考えております。

書籍「ハーフリアル ―虚実のあいだのビデオゲーム」を9月30日に発売します。

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  • 2016/09/27 05:04 午後
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既に様々なところでお知らせしておりますが、表題の通り、書籍「ハーフリアル ―虚実のあいだのビデオゲーム」を、
ニューゲームズオーダーより9月30日に発売します。
価格は税抜3500円です。

[ニューゲームズオーダーの紹介ページ]
http://www.newgamesorder.jp/games/half-real

[企画者である沢田による紹介文]
http://toccobushi.exblog.jp/

[電子書籍版(発売済)の販売ページ]
https://gumroad.com/l/jYTqv#


前提として申し上げますと、私吉田、こちらの書籍の出版に関しては(ニューゲームズオーダーの事業の一部なので当然商業面からは把握していますが)
大きくタッチしていないため、かなり外側からお話させていただくことになります。
ただその分、元よりこの本をご存じの、もっと言えばその重要性を実感としてお持ちの(こういうと怒られそうですが)国内で少数の皆様に向けてではなく、
「正直全然知らないんですが、それなんですか」という方に向けて臆面無くお話できるかなと思います。

こちらのハーフリアルという本、平たく申しますとゲームについての研究書です。「ゲームとは何か?」という、定義についての本。
デンマーク出身のゲーム研究者、イェスパー・ユールが2005年に発表した原書(英語書籍)を、同じくゲーム研究者の松永伸司さんの訳により出版する、
「日本語版」ということになります。

私も沢田から存在を聞いていただけで読んだことない、と申しますか、刷り上がった日本語書籍を一足お先に手元に受け取り、
今取り急ぎ読み始めているような状況ですから偉そうに語れることはないのですが、…それはもう大切な本だとのこと。
ゲーム研究における、古典なんだそうです。
2005年刊行で古典、と言われると若干違和感もありますが、ゲーム研究という分野自体が21世紀に入ってから具体的に形を成し始めたもので、
ハーフリアルはその草創期に刊行され、今やゲーム研究の基礎を成す重要文献であると。

これを今、アカデミックな分野とは直接関係がない私たちニューゲームズオーダーが出すということは、裏を返すと、
日本でのゲーム研究のための環境というのは(これだけ生活空間におけるゲームの存在が大きな国であるにもかかわらず)
相当整っていないそうで、周辺の皆様には忸怩たる思いがあったのだそうです。そう沢田に聞きました。

「お前だってゲームの関係者だろう、なんだ他人事みたいに」と言われましたら、私とて率直に言えば
「そういう方面専門じゃないものですから、ご免なさい!」と答えてしまうような立場なのですが、ニューゲームズオーダーとしては毎度ながら、
「誰かが大切だとか必要だとか欲しいとか思っているもので、なんかやられてないってことなら、やったらいいのではないでしょうか」と挙手した次第です。

とりわけ沢田がゲーム研究方面への動機と興味を昔から強く持っているのは重々知っていて、
「そういうのをもっと推し進めた方がいいと思うわけよ」ということは15年来聞いてましたし、
「おお、思う様やっちゃいなさい、やっちゃいなさいよぉ」と無責任に、いやむしろ責任に焚き付けてきましたから、
それが一つこのハーフリアルの日本語書籍出版に繋がったのは、「へー、良いじゃない」と思いますし、
それを待望とお考えの界隈の皆様にはお役にも立つかと思いますし、これでまあ商業的にそう損でもなければ、
言うこと無しということです。

内容は、私が敢えて書くこともないと思いますが、もちろん学術書ですがそうそう難しすぎて読めないということもありません。
具体的なゲームの事例(ゼルダとかGTAとか)が様々出てきては、なるほど興味深い、と思うこともあり、
自分たちが何となく感じていたことをこう体系的に定義づけるんだなあと得心するところもありです。

ただ、これが僕らのゲームの界隈に何を引き起こすかと言われたら、それは僕にはわかりません。この本は重要らしい。
しかし僕は知らない。僕が知っているのは、この本が重要だという人たちがいて、この本が今回出ることになって、
ということはそれが、今後のゲーム界隈に好ましい影響を与えるかもしれないということ。
だから、楽しみにしておけばいいのかな、とそういうことでございます。
ゲームに興味がある方は、ハーフリアル、チェックしてみていただければ幸いです。

9月半ば。

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  • 2016/09/11 06:24 午後
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8月終わって、9月も3分の1経過。この9月の末で、B2Fゲームズの営業がまる10年となります。
この10年。まずまずやれたこともあり、まだまだなこともあり。嬉しくも道半ばということでしょうか。

スルー・ジ・エイジズのカードのエラーの件につきましては、たいへんご迷惑をおかけしております。
前回書いたブログの内容で、こういう事態はあり得るよ、ということを半ば予報してしまったところがありますが、
勿論「ミス、無ければいいなあ…」と思っていたので、誠に申し訳無く、個人的にも残念ではあります。
ノーミスのものを皆様にお届けできたら…というのは心からの願いでしたし、そうご期待いただいているのは重々承知しておりましたので。

ただ、特にカードの部分は、難しい作業であることを制作を通じ骨身に沁みて痛感していたため、
報を受けた時はショックは無く「そうですか、ありましたか…」という、言わば「覚悟はしていたが…」という心境でした。

率直な話、これでエラーが全部だという確証も得られない状況ですので難しい判断ではあるのですが、
エラーのお話を受けた後1日のお時間をいただき、エラーの内容を確認し、結論として、
7枚の交換カードの手配についてチェコゲームズエディションに打診をしました。
そして即日良い回答が得られたため、エラーの発表と共に対応をお知らせしました。

交換カードではなく、エラッタのみの発表ですとか、あるいはシールの配布で、という対応も、現実的であると思います。
今回カードで修正対応させていただく理由は、「スルー・ジ・エイジズ」だから特別、という自分たちのこだわりの部分は、正直あります。
あくまで商業の枠組みの中でやっていることのため、エラーがあるたび毎回こうするか…というかできるかと問われると、
苦しいものがありますが、今回の私達の答えはこうなりました。

現状では、エッセン終了直後の時期に印刷・空輸し交換カード配布、というスケジュールで連絡をもらっています。
若干流動的なためずれが生じるかもしれませんが、今年の内対応できるようにしたく思いますので、よろしくお願いします。


加えてですが今月はフードチェーンマグネイトがあり、後日改めてお知らせしますが書籍「ハーフリアル」があり、
また一方では、新たなボードゲーム製品の工場への入稿を本日終えました。
こちらは順調に製造が進めば秋ゲームマーケット発売予定です。
色々ありますが、一つ一つ、やっていきたいと思います。

スルー・ジ・エイジズ。遊んでくれよ、このゲームを!

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  • 2016/08/18 09:07 午後
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https://sites.google.com/a/newgamesor...h-the-ages

スルー・ジ・エイジズが今朝倉庫に入荷、致しましたー!と言っても自分が倉庫に駆け付けた時刻(8時半)には既に来ていたのでした(事前アナウンスでは9時着荷)。
完成品を確認して、自分で予測していた以上の感慨がありましたねえ。本当になってるよ、日本語版に!来たよこれは!
(何か国語もで相乗り製造されているので、本当に日本語カードが入っているのか…という一抹の不安もあったのですが)

え~、確か「スルー・ジ・エイジズ」をご存じないという方にもその内容等しっかりとご紹介するといったようなお約束を、
前回のブログで書いていたような気がします。
しかしながら、本日の激烈出荷作業等々により、若干私体力気力に限界近づいていて今ちょっと全ては難しいので、
結論としましては書きたいことを書きたいように、書きます!

そもそも自分がこのゲームのことを知ったのは、B2Fゲームズを始めて間もない頃、10年近く前(2006年ごろ)でした。
当時の自分は正直ボードゲームの知識がほとんど無かったといっていい状態でしたが、その頃中学時代からの私のゲーム仲間であり、
今なお色々(NGO界隈でもボードゲームの翻訳やパラノイアトラブルシューターズの翻訳や東京ドイツゲーム賞審査員等)
活動している私の指南役、沢田くんが「最近はドイツの新興メーカー、さらに他の国からも面白いボードゲームが出てくる時代になってきている」
といったことを力説していたのを、「へ~そんなもんなんですか~」と聞いていたのでした。その時名前が上がっていたのが、
マック・ゲルツのデビュー作「古代」、フランスの新興メーカー・イスタリの「ケイラス」、そしてチェコのブラーダ・フヴァチルの「スルー・ジ・エイジズ」。
今考えても2000年代前半からのドイツメジャーメーカーの停滞の後にやってきた2005年以降の流れを象徴したようなタイトル群を挙げていたので、
沢田くん先見の明ありましたねえという感想も沸きますが、当然ながら彼だけでなく、日本国内でいち早く面白いゲーマーズ・ゲームを遊ばんとする
(多分当時総勢100人くらいだったのではないかと推測される)コアゲーマーの皆さんのご慧眼と、
当時これらのゲームを大方ラインナップしていたゲームストア・バネストの中野さんのお力は大きかったと思います。
ほどなくこれらのゲームを遊んで「実際凄い!」と感動した私は、中野さんと電話で色々とお話して、
「こういった特に力のあるゲームを大きく売り出して、広めていかないんですか」と質問したところ、中野さんからは
「どのゲームに力があるかを決めるのはバネストの役割ではない、それはプレイヤーの皆さんが判断されることですから、バネストはその選択肢を並列に作り続けます」
という凄みのある内容のお返事をいただきました(お答えそのままではないですがこういう内容だったと認識しています)。
この答えを受けて私は、
「私達は逆に、『自分たちはこういうゲームが面白いと思う』という自らの価値判断を前面に押し出して、
自分たちがこれと思う、確信のあるラインナップを作って、ゲームを広めていくアプローチを取りたいと思います」
と申し上げました。
中野さんからは「お互いの考え、役割に沿ってやりましょう」というお答えをいただきました。

…10年経ちましたねえ。どうにかこうにか、ギリギリですが、お互いまだやってますね、中野さん(笑)。
私たちは、イスタリには縁が無かったと言えますが、「コンコルディア」等、より思い入れの深かったゲルツのゲームを取扱い、
そして今、多くのボードゲーマーにとって「特別な存在」「憧れのゲーム」だった「スルー・ジ・エイジズ」の日本語版(!)の発売に至りました。
こういった2000年代中盤の大物ゲームの中でも「スルー・ジ・エイジズ」がより求心力を持った理由はおそらく、
これを入手し、存分に楽しむうえでは障害となった、複数の問題からでした。

1つには、何といってもテキストが書かれた大量のカードがありました。
どうにかこうにかかじりついて遊んだ人たちからは「それはもう桁違いに面白かった」という噂が聞こえてくるものの、遊ぶための苦労、手間は並ではなかった。
バネストさんが作られた和訳シールに頼り、また有志で訳を拵えたりといった中で草の根で遊び継がれましたが、
もう一つの大きな理由、当時のドイツゲームの常識でいうと例外的なプレイ時間の長さもあり、なかなか十分に遊びつくせる面子を集めること自体が難しく、
とても外に波及する状態ではありませんでした。現在に比べればはるかに国内ボードゲーマーの数も少なく、
インターネットも今ほどは社会全体に浸透していなかったため(SNSはほぼ無いか出たて程度だったのではないでしょうか)、
当時の日本でのスルー・ジ・エイジズは、コップの中の嵐。ただし局地的ではあっても激烈な嵐でした。

現に、小規模ながら独自にボードゲームを入荷販売し始めたB2Fにも、「スルー・ジ・エイジズを!」という声は非常に多く届きました。
その大きな要因は、沢田くんの勧め(というか要望)にしたがい、フヴァチルがチェコのパブリッシャーでのみ発表していた「グリーンランド」を
独自に輸入したことが大きかったかと思います。

http://www.tgiw.info/2007/02/b2f.html
(↑当時のTGIW様の記事!懐かしいですねえぇ。)

これはボードゲーム界隈におけるB2Fの初仕事と言え、たしか50個程度の入荷ではありましたが通販の注文もどんどん来て、非常に嬉しかった覚えがあります。
自分たちとしては「流石にスルー・ジ・エイジズは長すぎるのでグリーンランドがいいなあ」と話していたんですが、
お客様からは、「ホップ、ステップ、で最終的にスルー・ジ・エイジズ、ですよね!」と掴みかからん勢いで言われたのが記憶に新しいです。
本当にもう、拝み倒す感じで「くだせー、スルー・ジ・エイジズくだせー!」みたいな(笑)。
それでもあの時は、どう考えても、夢のまた夢でした。何もかもが無かった。
ニューゲームズオーダーは、(そういう方向への気持ちこそありましたが)具体的な計画すら無かった時期です。

あともう1つ、原語版自体が、作者と権利を持つパブリッシャーの間で何等か揉めた経緯があり、スルー・ジ・エイジズの再販、増刷といったことが、
(その世界中からの需要に反して)長年にわたり順調でなかったことが、ボードゲーマーの気持ちをことさら募らせた部分はあったと思います。
再販があったりしてもどこか細々とした形に留まり、「結局今スルー・ジ・エイジズはどうなってるの?」というのは、
ベテランゲーマー間でも折に触れ出てくる話題でした。

そして数年の空白の時を越え、俄かにその名前を思い出すことになったのが、2015年エッセンを前にしての、
「チェコゲームズエディションからのスルー・ジ・エイジズ再販」のニュースでした。
近年のフヴァチルのゲームは、彼自身が参画しているこのパブリッシャーから軒並み出版されていましたから、
これはすなわち、スルー・ジ・エイジズの権利問題が完全にクリアになったことを意味しました。

この知らせを受けて、自分はすぐに沢田と相談しました。どうする、と。

2015年の国内ボードゲームの状況は、数年前からは激変していました。
ホビージャパンさんやアークライトさんといった大手ホビーゲーム企業が本格的にボードゲームの日本語版出版に参画されたことで、
今や多くの新作ボードゲームが「日本語版を入手できる」ようになっています。2006年から振り返ると驚くべきことですが、
今回のスルー・ジ・エイジズも、自分たちがやらなくても、何らかの形で日本語版は出版されるだろう、という予想がありました。

ただ、ローカライズのクオリティがいかに確保されるのか。問題はその一点だと、私は考えました。
このゲームは、桁違いの面白さの反面、しっかりしたローカライズの土台を持たなければその真価を発揮できないことは、明らかだからです。

今回スルー・ジ・エイジズの日本語版制作にあたっては、まず沢田がルール・カードの翻訳をし、ここに校正の山根が修正を入れ、ここで挙げられた(無数の)議題について、
私と山根が協議しながら、この協議の結果を関が即座にDTPでルールやカードの原稿に反映する、これを完成するまで延々と続ける、という、
ニューゲームズオーダーの基本となる作業体制で行われました。
結果としては、校正から原稿の完成には、まる2か月の時間を要しました。
改めて思ったことは、

「ヘビーゲームのローカライズは本当に辛い」

ということです。率直に申し上げて、収益性の面から、分が悪過ぎる。正確に言えば
「日本語版出版には商機があるが、商業的に最適化したければ、手間をかげず『一応日本語になってる』くらいに留めた日本語版を作った方がまだしも儲かる」
ということです。何が厳しいといって、
「ローカライズの精度・出来を上げても、(ブランドイメージの向上にはつながっても、少なくとも短期的には)売り上げ増にはほぼ繋がらない」という見方ができることです。
「日本語版がこんな出来なら、英語版を買うよ!」と言って実際にそうできる方々(仲間内みんな英語版でも遊べるようなベテランの方々)は、
実際日本語版が出る前に最速で原語版や英語版を買って遊ぶ選択肢を持った方々なのです。
そういった方々が「どれが次に買いなのか」ということを他の多くの方々に知らせる機能を持ち、その情報を受けたより多くの方々が日本語版を買う。
そういう流れで今日本語版のヘビーゲームが購入されている、という大まかな認識を、私は持っています。

ヘビーゲームですから、価格も安くないそれを買おうという方は、それはもうそのゲームを明確に遊びたいと感じて買うのです。
そのゲームのローカライズの出来が悪ければ、当然ながら落胆も批判もするでしょう。当たり前です。
しかしながら、それでは売り上げ数が変わるのか、というと、(残念ながら)目に見えては変わりません。
批判は既に買った方々が中心となり起こるものですし、仮にローカライズの悪い評判を聞いても「プレイ時の苦労をいくばくか覚悟しつつ買う」
という行動に至る方が多数派だと思います。ローカライズの出来で、自分が購入するゲームのオーダーを大きく変える方は多くないはずです。

率直に申し上げて、ホビーゲーム各社のローカライズのクオリティは「場合による」という認識を、私は持っています。
全部駄目ということはないが、全部良いということもない。非常に多くのゲームが出版されていますから、担当した方の作業クオリティにもよるでしょう。
予算枠にもスケジュールにもよるでしょう。
本当にありがたい、助かる!ということも多いが、うーむこれは、ということもなくはない。
しかしそのローカライズ、総体としてやってほしいか、やらないほうがいいかと言われれば、ほとんどの方が、勿論やっていただきたいということになるはずです。
私たち自身、自分たちの会社としては定番旧作出版に専念し、新作チェックにほぼ労力をかけなくても後から日本語版で確認できる現状には、大きなメリットを感じています。

ただ、スルー・ジ・エイジズについてだけは、日本のボードゲームコミュニティは最善を尽くすべきだと、私は考えました。
率直に申し上げて、じゃあニューゲームズオーダーが日本語版を手掛ければ、間違いなく出来のいいスルー・ジ・エイジズが手に入るのか、と問われれば、
自信を持って「勿論です」と答えることはできません。今なお、確信を持ってはいません。そもそも、きわめて難しいのです。
大判の12ページのルールブックに加え、初プレイの人用のハンドブックが24ページ。
しかもこのハンドブック、エッセンでの初売り時にはチェコ側が間に合わせられず封入されていませんでした。
(私たちがハンドブックのPDFを入手したのは相当後、日本語版入稿の締め切りギリギリの時期でした)
それ以上に、300枚超のカードのテキストをミス無く訳し、(原語版でも問題を抱えているかもしれない)用語の統一を図り、
元版から遊んでいる皆様のご理解を得ながらも、新しく遊んでみたいという方々にも門戸を開いたスルー・ジ・エイジズ日本語版を得る、ということは。

しかし明らかなのは、そのことの必要性を誰より感じ、自らが直接その為に力を尽くすことができ、自ら出版の資金を負担し直接的に生活を賭ける立場に立ちうるのは、
今この日本で、私達をおいて他にはないということでした。

今スルー・ジ・エイジズが、コップの中の嵐でなく、あの頃より遥かに増えた国内ボードゲーマーの皆さんの中心に、生じるのか。
やはり生じないのか。それを知りたい。それは10年越しの問いです。
そして、ゲームの魅力自体でない理由でそれが生じなくなるとするなら。それは悔しい。
なんで自分たちがこうしているのかわからない。だから手を挙げようと。

儲かるかは?儲かるように、力を尽くします。ホントのところ勝算があるわけではないですけど、売れなきゃ終わりですからね(笑)!

客観的に考えて、今日本のボードゲームコミュニティが選べる、現実的で勝機の一番ある選択肢は、ニューゲームズオーダーなのだから、
ニューゲームズオーダーというカードを切ろうと。限りあるカードだが、ここは切ろうと、そう考えました。
予想通り、複数の会社が日本語版出版に手を挙げた、ということを先方から聞き及びましたが(考えるとそのシチュエーション自体が凄いですね)、
結論としては、ニューゲームズオーダーが日本語版を出版する運びとなりました。
余談ですが、後日すごろくやさんの10周年記念のパーティの席でホビージャパンのボードゲーム責任者、会田さんに
「スルー・ジ・エイジズはニューゲームズオーダーさんに頼むことになったってチェコゲームズエディションから連絡あって、びっくりしましたよ!凄いですねえ!」
と笑いながら言っていただいたのも、嬉しいことでした。
僕らは本当はルール短くて売れそうなコードネームの方がやりた…(笑)、という話はいいですね!

一点。今回入荷したスルー・ジ・エイジズは、1500部となっております。
チェコ側とは、これで形勢を計ろうじゃないかと、そう話し合いました。
多すぎるのかもしれません。でも、少なすぎるのかもしれません。
10年前なら、とんでもなかったですね(笑)。でも今は、これでは少ないのだと思いたい。
そうしたらまた、お時間はいただきますが追加で製造して、スルー・ジ・エイジズ、売り続けたいと思っています。
ニューゲームズオーダーの今後を占う上で、このスルー・ジ・エイジズに賭けてみてしまいます。
いやあね。本望だね!

ということで皆様、どうぞ遊んでみていただければ幸いです…、ってゲーム内容ほんっとーに何も言ってませんけど、
たぶん熱心なプレイヤーの皆様がご紹介などされてると思います。
すいません、各自調べてください(笑)!


スルー・ジ・エイジズの話、の前置き。

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  • 2016/08/12 10:00 午後
  • 投稿者:
少しずつスケジュールがずれている部分はあるのですが、古代ローマの新しいゲーム、ジュリエットと怪物、
そしてバルバロッサの再出荷が始まりました。これでラインナップの綻びがかなり回復したぞー、と思ったのも束の間、
パラノイアトラブルシューターズ、フェレータ、クー、ワンスアポンアタイムが品切れになっておりまして、
さらにはコヨーテ、ゲーム用紙幣、そして枯山水が品薄に。…切りがない(笑)。ちょっと前にもこんなことを言っていた気がします。
稼いだはずのお金が、毎度ながら、すいすいと吸い込まれてしまうのでございます。パブリッシャーとは!

ニューゲームズオーダーは、2012~13年辺りから本格化した自社製品路線への本格転換の際、
(もうご存知ない方も多いかもしれませんが2009年創業当初は「輸入ゲームにしっかりした印刷の日本語ルールをつける問屋」としてスタートしました)
中期目標として「質の良いゲーム50タイトルのラインナップを作り、これを継続的に流通させていく」ということを掲げました。
掲げながらにして(当時はリリースしたタイトルがまだ3個くらいでしたから)「できたら素晴らしいけど大風呂敷だなあ」と、
自分たちのことながら思っていた所はあります。
ただ、ボードゲームが草の根文化、徒手空拳だけでやっていく、という状況から一歩脱することを良しとする前提に立てば、
商業との親和性向上というのは当然のように視野に入ることでした。
そして、ユーザーの増加と利益拡大(品質向上/ラインナップ拡大→現場充実→儲かる→品質向上…というプラスのサイクルの開始)
のため、日本語版出版をその取り組みの中核とするならば、まあそれは50タイトルくらいは要るよね、という直観的な数字が出されました。
100は無茶だが10くらいでは≒無意味なので…、というような話も、当時社内でした気がします。
いや50も相当無茶なんですけど(笑)、という本音も抱えながらも、
「やるorやらない」という二者択一の前ではやらぬと言えるわけもなく(そういう病ですから)、
畜生やってやるさと3~4年取り組んできました結果、今の通りとなりました。50タイトル、もう手の届く辺りです。
というかもう届いたのか?具体的にはちゃんと数えてませんが(笑)、今年中でしょう。


得たものは大きい。


元をたどれば自分がの学生のころですから、20年も前から思い描いてきた計画です。
今改めて考えても、これはやった方が良かったのではないかなと思います。
商業という領域は、今の私たちが生きている空間でかなりの幅を占めていますから、そことの親和性を高めて、
上手い距離を取っていくのが大切だ。…というのが私の持論です(オーバードーズは禁物だと思いますが)。
自分(たち)が生む労働力をフルタイムでつぎ込むという上でも、つまり生計を立てるという上でも、これは大切。
ボードゲームを楽しんできた皆様にも、新しく楽しみ始めた皆様にも、いくらかメリットがあるように、できているかなと考えています。

しかし、得たものは大きいですが、これでは(やはり)得られないものがあるという確認もできました。
私たちの望むゲームの面白さとは、しばしば環境に弱く壊れやすく、それゆえに尊いものだと感じます。
望ましい遊びの環境は、時に容易に得られたかと思えば、時にはかなしいほどに得られず、そのため、面白いはずのゲーム(製品)は、
面白いゲーム(プレイ)を保証できない。上手く遊べたとき、「こんなに面白いゲームは無いなあ!」と思わせるゲームが、
違う時違う場所違う人とでは、何故かウンともスンとも言わないといった、気難しさが、気難しい魅力が、ボードゲームということなんだろうなあと。

…こういうものは、商業には向いていないかもしれません(笑)。
そんな中で比較的に環境に強いタイトルが、商業面で頼られることになりますが、それが=面白いゲーム、とは限らない。残念ながら!
売り上げランキングが、面白さランキングとリンクすることは…無いのかもしれません。
どこかで、利益と面白さ、二者択一、という要素、ありますねえボードゲーム商業。

そして私たちはここまで、なんだかんだ「面白さ」優先し過ぎましたね(笑)。
まあ、何ら悔いはなく、たとえ何回やり直しても、こうしてしまう気がしますが。
今のニューゲームズオーダーの商業的な状態は、ちょっと評価しにくいですが、「惜しい」のか、「ちょっとまずい」のか、どうかな、といったところです。
先日スルー・ジ・エイジズのリリース日を聞きにいらした、古くから遊んでらっしゃるのだろう(初来店の)プレイヤーの方に、
「SPIもアバロンヒルも潰れましたから、潰れないように頑張ってください」と仰っていただいて、ホント有り難いなあと感じました。
こういうことをブログに書こうと思ってましたから、ホント絶妙なタイミングでいただいたお声掛けだなと。
ゲームの歴史に名を残すパブリッシャーと並列に語っていただくこともそうですが、「テーブルゲームパブリッシャーは基本的に潰れる、儲からないから」
という前提もご理解いただいているということで(笑)。
潰れたり、休止したり、吸収合併されたりという海外のパブリッシャーが後を絶たない中で、
自己資金で、フルタイムでやっているゲーム専門のパブリッシャーとしての時間は、短くもなくなってきました。有り難いことで!
(海外のそういう話を聞いては、明日は我が身だな!と社内じゃ話してますが)

それを「いや、今後も元気にやっていきますよ?」というのが、ここからのわたくし共の戦いということになります。
その上では、これからのニューゲームズオーダーの出版には(勿論ファイナンシャルな要因から)、
今までと違うやり方が求められることになっています(外目にはあんまりわからないかもしれませんし、わからなければそれでいいのですが)。
まあ借金はしてないから最悪平気なんですが、文字通り「余裕は無い」し、規模が大きくなったから「明確な失敗」1回が致命傷になりかねない。
でも、これからも面白いゲームに向かって、お金は持ってるけどゲームは知らないみたいな人の横槍無く、
ゲームを作ってお届けしてまいりたい。その上では、新しい作戦が要ります(笑)。だからそれを練っています。

だから、2012年辺りからの私たちの(素晴らしく野放図な)やり方に一つ終止符を打つ予定なのが、
今月出す切り札「スルー・ジ・エイジズ」ということになっております。
9月リリース予定となりました「フードチェーンマグネイト」も、大物ですが、これについては事前にご予約ご支援をいただいて、ということを含め、
この2016年からのニューゲームズオーダーの新しいモードの出版形態、という位置づけになります。


スルー・ジ・エイジズ日本語版をニューゲームズオーダーが出すって、なーにをこの期に及んで無茶なことを、
って感じですが、まあ。出したかったんですよ(笑)。「面白い」ボードゲームの、重量級の象徴的存在ですからねえ。
この10年近く、ずっと言われてたんですよね。「スルー・ジ・エイジズの日本語版、いつかお願いします!」って、皆さんに。
「ないない、ムリムリ(笑)!」ってその度答えてましたけど、そりゃあやれるものなら、誰より僕らはやってやりたかった。
そうしたら最近、「無理、では、ない!」みたいな感じになっちゃったもので。出来心で。はっはっは。

とまあそういうスルー・ジ・エイジズのお話を、明日か明後日か、近日中に書きましょう。
あ、もちろん「その連呼しているスルー・ジ・エイジズってなんですか」という皆さんに向けてもご説明しまーす、よろしくお願いしまーす。

タチキタプリントの新機能。「駒のタチキタ」で、木製駒の販売を始めます。

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  • 2016/07/22 03:39 午後
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唐突ですが、本日よりタチキタプリント(B2Fゲームズ)/ニューゲームズオーダーで、新しい仕事に着手致します。
名付けて「駒のタチキタ」。ボードゲームに付き物の「木製駒」を、ゲームを製造する個人様/団体様向けに、まとめ売りする仕事を始めたいと思います。

https://komatachi.thebase.in/

↑イメージを把握していただくカタログも兼ねて、ウェブショップを既に立ち上げております。
ただ今、現時点で持っている木製駒の在庫(NGO自社製品、具体的には交易王等で使用しているもの)について、オープン記念価格で販売しています。
販売サイトの方でより詳しく説明していますが、販売の単位は1袋(駒の形状により異なりますが、ざっくり80~150個前後)ずつです。
この1袋は、できるだけ100グラム程度になることを目安としています。


さて、今どうして駒屋をやるのか?という話をさせていただきます。
ご存知の方も多いかと思いますが、ニューゲームズオーダー(だったりB2Fだったりタチキタプリントだったり)は、
東京・立川でゲームの小売店をやったり、問屋をやったり、メーカーをやったり、製造請負をやったり、
東京ドイツゲーム賞でコンテストをやったり、様々取り組んできました。
(1度だけですがリトルエッセンという販売イベントもやりましたね)
ただ以前から、「木製駒の入手」という部分、国内ボードゲーム作りの環境で、ちょっと不足があるよな、と、薄々意識していました。
ニューゲームズオーダーはもう50タイトルもゲームを作ってきておりますが、木製駒をどこから調達してくるかという課題、なかなか着地点が見いだせておりません。

駒屋が本格的に立ち上がらない理由は、割とはっきりしているんじゃないかと思います。
多分、「凄く地味な割に、本気で考えてみるとなかなかたいへんだから」です。

まず、ボードゲームを作る上で木製駒を入手したい、買いたいという方々、
(年々増えている個人の作家さんだけでなく、私たち含め企業の方もいらっしゃるでしょう)
その皆様が何を求めるか。まず第一に「在庫がちゃんとあること」ではないでしょうか。
もっと言えば、「たくさんの(個数で言えば万単位の)在庫があること」と、「自分たちが作るゲームに最適な、バラエティ豊かな在庫があること」。

この第一関門が、駒屋の成立をいきなり、かなり難しくします(笑)。密かに長年の課題としていた駒屋、
実際に計画してみると「理想を言い出すと際限なくお金がかかる」ということと、「儲かるか定かでない」という現実が立ちはだかります。

今回私たちが初期在庫として(おそらく2か月後くらいに)入荷を予定している駒は、8色×6種類となっています。
8色は、赤・青・黄・緑・白・黒・灰・茶。
形は、「10㎜キューブ(立方体)」「直径15㎜×4㎜厚ディスク(円形駒)」「14㎜キューブ」「20㎜×5㎜厚ディスク」「人形駒(いわゆるミープル)」「ハルマポーン(ボーリングのピンのような形のもの)」です。

ごくごく基礎的な6種類と、揃えておくことが期待されそうな8色を、ちょっと本格的にゲームを作ろうかな、
という購入者様への備えとして在庫を準備するだけでも、生産にかかるコストが100万円を超えます。
どう考えてもたいへんなんですが、私たちは2つの理由で、他の皆様が始めるよりは、格段に始め易い立ち位置に、現在いると考えています。
その理由とは…「ニューゲームズオーダー」と「タチキタプリント」をやっているということです。

まず「ニューゲームズオーダー」が持っている駒屋への強みですが、NGOでは「たくさん(数千部)ゲームを作るのであれば」
一定以上のクオリティと相応に低廉なコストの、木製駒を製造する、そのノウハウは持っています。
加えて、ニューゲームズオーダーのボードゲームに触れていただいていることで、
「ニューゲームズオーダーが普段使ってる駒からすると、このくらいの駒は売ってくれるんじゃないかな」という、
クオリティのラインについてかなり具体的にご想像いただける、ということが大きいのではないでしょうか。
あと(厳密には「駒のタチキタ」はタチキタプリント/B2Fの一部門なので)、駒のタチキタの販売先としてニューゲームズオーダーがある、という内部事情もあります。
常にゲームを作っておりますので、まず私たち自身が駒屋を欲しております(笑)。

「タチキタプリント」の存在はさらに重要です。何分、タチキタプリントがご注文をいただいているボードゲーム製造請負は、お陰様で数、規模ともに、年々増加傾向にあります。
その中で(大口の顧客の皆様中心に)「できれば駒も用意してもらいたい」という声を、常にいただいているのです。
これが、今回実際に「駒のタチキタ」を始めることにした、最も決定的な理由です。

より具体的な話にいきたいと思います。
駒のタチキタでは、ウェブショップでの1袋単位での販売も致しますが、より大規模な注文、つまり1000個単位でボードゲームを作る際の
木製駒の調達、についても請け負いたいと考えております。これはタチキタプリントの現在のゲーム製造請負の機能を拡充する形となりますので、
ウェブショップではなく、タチキタ西山(info@tachikita.net)に直接お問い合わせいただく形でご注文をお受けします。
どこまで行ってもなかなか目鼻が付かないので、ウェブショップで予定している6アイテムから、ざっくりとしたコストのイメージを以下に書きます。

まず、6アイテムの「ウェブショップでの(一般小売り向けの)」「1個当たりの」販売価格を、私たちは以下のように想定しています。

「10㎜キューブ」「15㎜ディスク」…1個10円
「14㎜キューブ」「20㎜ディスク」…1個15円
「人型駒」「ハルマポーン」…1個20円

これらは、(何よりこれだけの種類の在庫リスクということを考えると)小売価格としては妥当と考えています。
しかしながら、商業として、数百~数千部の製造に用いる駒のコストとしては、
率直にいって割高だと思います(それでも国内で買えるというメリットは評価していただけると思いますが…)。

そこで、製造のために購入される駒が多量となる場合、以下の通り割引を致したいと考えております。

「総数5000個以上になる場合」…上記価格合計から20%引き
「総数10000個以上になる場合」…上記価格合計から30%引き

つまり10㎜キューブなら1個10円が8円や7円になります。
10㎜キューブ5000個注文すると、5万円のところが4万円。同じく10000個注文すると、10万円のところが7万円になる計算です。
…ようやく具体的になりましたね(笑)!

さらに、タチキタプリントでゲームを製造される方が、そのゲームに必要な駒を購入される場合には、
(これは必要な数にかかわらず)さらに10%引きします。…と西山がさっき言っていました。
つまり、最大で40%引きまでご用意させていただきたいということです。

本日このことを皆様にお知らせしている理由は、タチキタ西山が、
「次回の秋ゲームマーケットでのゲーム製造請負のための駒製造調達のスケジュールを考えると、近いうちに具体的な駒の注文を受けないともう手遅れ」
と言っているからです。駒の製造、そして海外からの輸送には、少なくとも2~3か月の時間を要します。
私たちが平常在庫を持ちきれない量や種類の駒をご入り用の場合、それだけ前もってお声掛けいただかねばなりません。

そういうことですので、「駒のタチキタ」は、近いうちに(おそらくは1か月以内に)駒の注文を受け付けます。

ゲーム製造者の皆様なら当然お感じの方もいらっしゃるかと思いますが、「上の6種類だけじゃ自分の考えてるゲームは作れないよ!」となることでしょう。
近いうちに行う注文受付では、当然ながら、上記6種類以外のサイズや色の駒のご希望についても、
(さすがに滅茶苦茶デラックス仕様や特別すぎる色は当面難しいと思いますが)できる限りお答えしたいと考えております。
私たちとしても初めての試みですので、皆様と協力して、良いサービスを作っていきたく思います。
何卒、よろしくお願い申し上げます。


7月中日、相変わらず、走りながら考えながら。

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  • 2016/07/15 03:29 午後
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7月も半分を過ぎましたねえ。6月の後半あたりから暑い日が増えて、こりゃあ一気に夏かと思ったですが、今日は涼しいし雨が降っている。
暑いととにかく仕事へ向ける体力気力が持って行かれるので、個人的には有難い。この間に色々進めたいものです。

7月も半ばまでの売り上げは、5月6月に引き続いて、「…うむ!」と言いたくなる感じ。小躍りしたくなるようなことは全然起こらないのですが、
「全然だめだー!」と潰走しちゃうような事態でもなく、予想の幅の中にずっと入っている。しかしじりじりと厳しい。
打開案が無いまま持久戦を戦っている様相。

2~3年も前だったら、(枯山水は例外としても)1つのタイトルの成功で一気に逆転できるような、良くも悪くもそれくらいの規模でやっていたんですが、
今は1タイトルがまとめて何とかしてくれるようなことは起き難い。あとまずくなった時に構成員個々の出資で埋められる規模じゃなくなっている。
以前だってそんなお気軽にやっていたわけでは勿論無いですが、「失敗出来んなあ…!」という気持ちが常に付いて回ります。
だから計画も月単位で規模やスピードの調整を繰り返しています。5月の結果が6月に反映され、6月の結果を受けていま7月をやっている。
今の仕事は8月に反映される。
やるべきことはかなりやっているので、あとは社員みんなで売り上げ上昇を乞う儀式でもするしかないですが、
ちょっと前からすると売り上げは随分上がっちゃあいるわけで、これで足りないんだから始末が悪い(笑)。

何とかリリースできた「ジュリエットと怪物」「リトル・レッド・ブック」は順調な初動を見せているし、あとはこれまた遅れてしまっている
「古代ローマの新しいゲーム」の再販を今月必ず。
8月は多分割と前半にバルバロッサとスルー・ジ・エイジズ。作業としては、(予算の都合で具体的に動き出せないものも出ているのですが)秋冬新製品の準備、
あと2つほど新規プロジェクトの立ち上げ準備。それから東京ドイツゲーム賞の二次審査。
ついでにB2Fのボードゲームコーナーをちょっと手入れしようかなと思い、ちょっと始めておりまーす。