2017/06/25 02:11 午後

ニューゲームズオーダー、完全新作ボードゲーム「枯山水」の話。一旦最終回。

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  • 2014/10/25 11:59 午後
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さて、前回予告したパッケージ変更の件、お話したいと思います。
この件は、このBlogをご覧の皆様に、今般のゲームマーケットで「枯山水」を発売する、
と発表した後の話ですから、つい先日のお話ということになります。

↓今回本気で長いので全文表示でどうぞ。

ニューゲームズオーダー、完全新作ボードゲーム「枯山水」の話。その5。

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  • 2014/10/24 11:59 午後
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さて前回はコンポーネント、特に石のご紹介をしましたが、
今回はアートワークのお話に入りましょう。

Twitter等での反響を見ても前回の石膏+塗装への反応が大きく、一同嬉しい反面、
それはこの枯山水というゲームの氷山の一角ですよ!という思いも持っています。
その他のコンポーネントも、微に入り細にわたって、自分たちの限界まで
コストダウンとクオリティの両立を追及しています。この追及の上では、
今回アートワークをお願いしたママダユースケさんのお力が極めて大きいものでした。
ボードも、タイルも、カードも、そして何より箱も、
自分がイメージしお願いしたものを美しく現出させていただきました。



14枚収録される名庭園カードの一例、「天授庵」のカードです。美しい…。
ボードやタイルなど、細かな修整が必須となる物品の傍ら、カードはほぼ全て一発OKでした。
これにはほんとうに助かりましたし、社内全員にとって励みになりました。
厳しい状況でも、ママダさんから新たな原稿を送っていただく度にテンションが上がりましたので(笑)。
このゲーム、きっと素晴らしい物になるぞ!と。

ボードゲームのアートワークは、それが「ゲームの一部」であるだけに独特のバランスが求められる、
難しい領域だと思います。絵が上手な方にお願いすればそれで話が済むわけでは全くありません。
作る前に立てたゲーム作りの計画を具体的な製品に落とし込んでいく過程では、
当然ながら物理的・コスト的なイレギュラーが大量に生じます。
そのトラブルの量たるや、本当によりどりみどりです(笑)。
ボードゲーム制作においては、そのイレギュラーにどのように対応するかという選択と、
その実行の質が、最終的にどのような姿のゲームを生み出せるのかを決めるのだと思います。
これにはある種執念深さのようなものが必要で、そこに密接に関係してくるのがアートワークの調整です。

アートワークを担当する方とどれだけ密に意見を交換して、イメージを共有して、
ゲーム上必要なことを確認しても、一発で最終形を描いてもらう、というのは非常に難しいことです。
(勿論より速やかかつ鮮やかに最終形に迫っていただくことが制作の大きな助けになることは言うまでもありません)
加えて同時に生産の検討もより安く、より質高くと進めている以上、
度重なる修整を経てようやく描きあがった、という所で生産のショートカットの方法が発見され、
結果データの大幅な修整ををお願いする…なんてことも日常茶飯事です。
(作ったことのない内容物の生産は、動き出す度に新たな発見と困難があります)
それだけでも発注側として内心申し訳ないんですが、現実には、
実現しそうに思われたコストダウン案が土壇場でやっぱり通らないことが判明し、
従来のデータを結局生かさせてもらったり、最悪だとさらなる修整をお願いしたりします。
データの完成までには、堂々巡りになっているんじゃないかと思うような、
長い長い時間と労力がかかります(その後の生産工程も長いのですが…)。

データ制作も大詰めを迎える程に、トライ&エラーを散々繰り返した関係各人からは
「もう終わりでいいんじゃないか」「十分頑張ったんじゃないか」という雰囲気が、
誰とは無しに立ち上ってきます。私自身だってそういう心境になります。
なにぶん、これで仕上がったかどうか、最終判断を下すのは自分だからです。
自分が「もう十分でしょう、これでいきましょう」と言えば終わるのです。
DTPスタッフも日夜の作業で限界を迎えている。
ママダさんにこれ以上修整をお願いするのは心苦しい。
対処している問題はどんどん繊細な、もしかしたら些細かもしれないような所に収斂されていく。
手出しをするのも簡単ではなくなる。
これ以上改善を図ろうとしても、コンディション的にも時間的にも危険が迫ってくる。
判断を誤ってかえって改悪してしまったり、下手をするとデータに、ゲームを遊べなくなるような、
重大なミスを引き起こしかねない…。

半ばは正しく、熟考すべき思考です。間違ってはいない。変更のリスクを認識するのは大事です。
作業がもたらす改善がどのような効果をゲームに、商業にもたらすのかを見つめるのは大事です。
「変更」が本当に「改善」となるかは、その苦しい状況での仕事の出来次第です。

しかしもう半分。自分たちがもう休みたくなっているだけなのかもしれないと、
自分たちを疑うことです。自分たちを許さないことです。
ゆっくり休みを取って改めて仕上がったものを見たら、「ああ、もっとこうすればよかったな…」
と内心思わないか。でも今さら言うと自分たちの仕事を否定するような気がするから、皆で目をつぶるのか。

それは嫌なのです(笑)。空を飛べなければ行けない場所に辿り着けないのは構わない。
遠くても、歩いて行ける場所に、今日歩き疲れたからといって、足が痛いからといって諦めるのは。


それだけに、諦めの悪く原始的な私たちの制作に粘り強く応じてくださるママダさんのお仕事は、
この枯山水の制作には本当に不可欠でした。私の、ともすれば抽象的な要望を把握する感覚と、
ゲームのプレイアビリティというものについてのご理解と、そしてなにより圧倒的な早さ。
入稿直前でもう待ったなし!という状況で、「明日までに…」とか、
下手をすれば「今日の夕方までに…」というような私たちの厚かましい要望に、
そのデッドラインに必ず、しかも時間的余裕を持って完成させていただき、
その度自分たちは絶望の淵から這い上がれました(笑)。いやーもう、本当に何回もです!


最早ママダさんに足をむけて寝られない我々ですが、一番助けられたのは、
先日も少し触れましたが、入稿直前でのパッケージの変更に関してです。
現在皆様にお見せしたパッケージとは、右に大きく描かれた人物が変更になっています。
その経緯を次回お話しすることにしましょう。


※11月3日現在、内容物の姿が揃いつつあり、アートワークの全容が見えてきています。
心配していた各パーツ(特にママダさん執筆の物と石)のバランスも問題なく、
手前味噌ですが非常に良い物になっていると思います。
ヨーロッパのメジャーメーカーとも堂々と勝負できると。
是非皆様にはお手に取って、遊んでみていただきたいと心より願っております。

ニューゲームズオーダー、完全新作ボードゲーム「枯山水」の話。その4。

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  • 2014/10/23 11:59 午後
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さて本日は、枯山水の内容物の制作についての話をします。
内容物制作といっても、その仕事の中身はアートワークと生産に分かれます。
枯山水はフルサイズのボードゲームですし、そのテーマの難しさ、
そして山田さんのデザインセンスとの刷り合わせという問題もあり、
しかも生産上の様々なコストダウン手法によってかかる調整も生じてくる。
アートワークのことに限ってもお話したいことは山ほどありますが、
(お話する順番が難しいのですが)一旦後に回し、
生産(つまり西山担当パート)の話からしたいと思います。


枯山水の制作を始める時点から、今回の枯山水の生産は、概ね国内、
つまりタチキタ西山管轄で行うことを決めていました。その理由は、

・予定する生産部数が少ない
・日程が厳しい
・管理が難しい物品がある

ということです。

ニューゲームズオーダーでは、高価格帯の製品の1回での生産部数は、
3000円以内のお手頃なゲームの部数より基本少なくしています。
これは単純に低価格帯の製品の方が遥かに売れるスピードが速いこともありますし、
単純に予算の問題もあります。枯山水はがっちりと高価格帯の為、
海外生産に耐える部数の生産はあり得ない、ということです。加えて海外生産は、
今回のような期間がしっかり決められた中で行うにはトラブルのリスクがあります。
そして何より生産難度マックスの「石」。
何らかの方法で質の良い物をリーズナブルに海外生産する道筋が立ったとしても、
その生産を品質を保って時間内にで管理するのはなかなかの冒険です。
国内であれば何かトラブルが起こっても日本語で現場とコミュニケーションできますし、
いざとなれば現地に赴くこともできますが、海外ではそう簡単にはいきません。
小さな工夫を積み重ねてコストダウン、品質向上、さらには新たな生産方法の工夫、
ということをしなければ、とても枯山水を想定コスト内で作ることはできません。

ということで、全体像を把握する為、枯山水を構成する物品について一通りおさらいです。

・箱…タチキタプリントの得意領域の一つ。コストも納期も想定できている。○。
・寺院ボード…メインボード。これも得意。バントゥと同じ仕様で確定。○。
・庭園ボード4枚…A4のボードなので簡単かと思いきや、独特の豪華仕様により難解。△。
・砂紋タイル80枚…タチキタの専門外だが初挑戦。80枚多いなあ、コスト掛かる!△。
・カード23枚…タチキタ専門分野。カードはお値段はりますが生産は見通しあり。○。
・禅僧駒4個…これについては例外的に海外発注。吉田担当。納期が怖いので△。
・円相駒4個…同上。△。
・早見表4枚…ニューゲームズオーダーの領域。たいへんですがいつもの仕事なので○。
・説明書1部…同上。中身の問題はともかく生産は問題なくできる。○。

で、

・石25個…×。どうやって作るのかも見えてなければ納期もコストも滅茶苦茶かかる予感しかない。

ええ、これに加えてシュリンクとかセットアップ工賃とかカートン箱とかはあるのですが、
一応雑費ということで置いておきましょう(馬鹿にならないお金かかるけど)。

内容物、改めて書くと…余りの特盛りぶりに、もうホント溜息しか出ませんな(笑)。
ゲーム3つくらい作れそう。というか、3つ分くらいのコストが余裕でかかります。
西山は完全にお鉢が回されてくることは覚悟してたものの、改めて仕様を確認した時は
怨嗟の声を上げてました(笑)。いや笑い事じゃなく自分も一緒に地獄行きなんですけども。

ともあれ時間は無い。西山も私も、他の仕事と並行しながら具体的な生産の検討、
試作を開始しました。最重要にして最優先の課題はやはり石。
こればかりは10年経っても変わらない、西山の「調査」から始まりました。
この調査フェイズ、西山以外は未だにどうやって調べているのかはわかりません(笑)。

しばらくの間は、さしたる収穫は得られていない、検討したが没だった、
コストが合わない、という報告が繰り返されました。最も目標に接近した条件で
「海外生産、塗装したフィギュア1個あたり70円」というライン。
(先方の製造ラインが繁忙期の為そもそもいっぱいで、前提から無い話として出ただけでした)
1個70円、自分たちが作る程度の個数で言うと何もおかしい金額ではありません。
ただ、70円×25個は?1750円です。売価ベースでない、原価ベースで考えると、
1750円という額は、そのコストだけでニューゲームズオーダーの5000円のゲームの制作費に相当します。

わかってはいた。なかなか絶望的だなあこりゃ、と思いました。


ただ、様々な仕事に忙殺されながらさらに重苦しい時間が経ったころ、
西山から「一応当たりを見つけた」という報告がありました。

国内生産。素材は「石膏」でどうか、ということでした。

コストを聞くと、未だ高くはあるものの70円という基準よりはぐっと低く、
そして海外でなく愛知で生産できる、という好条件でした。
何より石膏と言えば鉱物ですから、石材と言って差支えない。
これ以上の打開案は無い、と思いましたので、それで行こう、と私は即決しました。
西山が生産をお願いする「瀬戸石膏組合(http://www.aiweb.or.jp/kumiai/C053/)」さんの
現地まで伺い、製作物の用途について話し合い、着色は可能か、強度はどうか、
納期はコストは、という打ち合わせを行いました。結果、苦しいが行ける、となりました。
クオリティも質感もありましたが、それ以上にぱっと見のイメージよりはずっと
丈夫なのが大きかった。ご購入のお客様にお試しいただくわけにはいきませんが、
テーブルから床に落としたくらいでは割れないです(勿論落とさない方がいいです(笑))。

ただ、問題は色。石膏は基本的には白です。複数の顔料を混ぜるなどして着色を試みたものの、
やはりそれで石完成とするレベルまでは難しい、という結論でした。

ということで、結果としては…久しぶりに、「ぼくらの火星」と同じ方式が取られることになりました。
つまり、複製した石膏を自分たちで塗る、ということです。行きますよー西山・関の地獄のお家芸!

まず自社で原型を制作し、それを元に10個ほどの先方の型作りの元となる親を作成。



パテとウッドチップを組み合わせているそうです。これを25種。
(本当は山田さんが作ったのを含め50ほどあった原型から見た目・バランスから25種選抜してたり)
これをシリコーン型で10個ほど複製し(つまりこれだけで250個)、工場に納入。
この各10個をさらに複製で増やしてもらうわけです。
マスターの原型からすると孫世代が実際の枯山水の内容物になるということです。
ちなみに250個複製の時点で、工房となったタチキタプリント内はさながらシリコン地獄、
石膏地獄になってました。

次に先方工場での生産です。石膏なので複製の後乾燥(屋外で並べて干す)
などの工程を経て、届いた物を塗装します。



弊社お抱えの塗装職人・関(ホントはDTP担当)が一つ一つ丁寧に塗り上げます。
番号はそれぞれの石の塗り手順をバリエーションを変えて指定しているため、個体識別用です。



色は山田さんの応募作を踏襲して、リアリティとフィクションのバランスを考えてます。
(あと塗る手間を削減しつつバリエーションを出しているという話もあります)
信じられないですが、数時間でこの量(と言っても9セット分ですが)塗っています。



完成です。僅かな差はあると思いますが、このような石膏を塗装した石が枯山水に入ります。
原型は敢えて山田さん作・西山作・関作を混合してます。


石の種明かし、こういうことです。ちなみに散々ネタにしている余談ですが、
この石25個のコスト、塗装前の時点でモダンアート日本語版1個(3000円)のコストを上回ります(笑)。
売価6000円は無理でしたが、西山の血の滲むようなコスト削減バトルにより、
税抜7500円のラインを死守した格好です。というか実際は、発表直前まで売価10000円で9割決めてました。
自分は全然高くないと思ってるんですが、あと山田さんも10000円とか全然いいんじゃないですか、
と仰ってましたが、それでも何とかより多くの人に遊んでいただきたいので最終的に下げました。
(ホントは塗装済み10000円、未塗装7500円にしようと思ってましたが統一しました)

どっちにしてもたくさんの人に買ってもらえないなら、守りに入って、
絶対に買っていただける方々におすがりして10000円の方が、
自分たちの安全はいくばくか計れます。ただそれじゃあつまらないですし、
いつも一番応援していただいている皆様に顔向けできません。
自分たちは最高のボードゲームを作っていると思ってますので、
できるなら多くの皆様に遊んでいただきたいのです。
税抜7500円という値段は、要は切りよくする為(税込8100円になって下二ケタ00になるから)
に過ぎませんが、高価格帯ながら一応一般的なボードゲームの値段になってると思います。

あと一点、「ぼくらの火星」と違うのは、これは売れればちゃんと儲かります。
手塗りが入りますから生産は少しずつしかできないですが、卸でも何とか出せる原価です。
それが4年間での少しの、しかし自分たちには大きい進歩ってことです。

あと重要な話ですが、10月29日現在、塗られている石は写真に写している9セット分で全部です(笑)。
この所の悪天候で工場での乾燥が終わらず、まだ複製物が届いていないのです。
ようやく明日300セット分、7500個届くそうです。

ゲームマーケットまであと2週間余り。関が塗り上げると言ってます。ホントかよ(笑)!
(多分ゲームマーケット前1週間くらいB2F閉めると思います)
今回自分は助手なんでお手伝い頑張ります。関は社内随一のペインターなので、
クオリティ維持の観点から本塗装はほぼ全部関が行う予定です。

うーん、石の話しかしてないのに、既に頭おかしいなあ。困ったもんだっはっはー。
次回は他のコンポーネントの話、あとできればアートワークの話に行きましょう。

ニューゲームズオーダー、完全新作ボードゲーム「枯山水」の話。その3。

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  • 2014/10/22 11:59 午後
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枯山水出版にあたっての、作者である山田さんとのお話し合いは、
勿論様々な目的がありましたが、その中で1つ「製品仕様の大枠を合意の上決める」
ことは最重要課題でした。これは、こちらから一方的に
「予算の問題があるのでこうさせてもらいます」という向きの話ではありません。
そのようにする会社はいくらでもあると思いますし、一つのやり方だとは思いますが、
自分たちのやり方は真逆です。山田さんが「枯山水」を作るにあたって、
何を大事にしていて、何を譲れないと考えているのか。応募されてきた枯山水を遊んで、
自分たちはそれを強く感じ取ったつもりでしたが、その感じたことを、
改めて山田さんご自身の口からお聞きする必要がありました。
そうしなければ、自分たちのあずかり知らない所で、理由が説明できない所で、
ゲームの魅力というのは抜けていってしまうものです。
自分達は山田さんのデザインの「感覚」を買って大賞に選出したのですから、
その山田さんの感覚に背くことは、少なくともリスキーなことですし、
それ以上に今回の制作の主旨に反する。仕事でゲームを作っているからって、
そのゲームがなんで面白いのか、全部わかったつもりになってはいけない。

…改めて書くと、毎度の高楊枝ですが(笑)。特に西山と私は、話し合いに当たる前に、
枯山水の内容物のコストや生産の厄介さについてかなり予測、分析していましたし、
その上で私は、目標とする販売価格を決めていました。

「税込6000円」で作ると。

そこが一つ、予算額を上げつつも、高価格のゲームの販売で勝算を持てる上限であると、
自分は考えていました。

…ええ、発表の通り、結果税抜7500円、税込8100円になってるんですが(笑)。はっはっはー。
その理由は読み進めていただければわかると思いますが、この時は、
(至難であることをびしびしと感じつつも)滅茶苦茶真剣に、6000円で作ろうとしていたのです。

だから、話し合いが仕様の段に至って、自分が山田さんに最初に聞いたのは以下のことでした。

「私はこの枯山水、売価6000円で作りたいと思っています。だからこそ念の為聞きます。
石を、木の駒とか、コストが計算できるアイコン的な内容物にすることは有り得ますか」

ということでした。


このへんで御説明すべき事だと思うのですが、東京ドイツゲーム賞の際、
一次の書類審査を通過し、実際に私達が候補作を遊んで審査する二次審査に至って、
山田さんが送ってきた枯山水のサンプル品は、私達の目を強く引きつける物でした。
ボードは、絵柄こそ歴史文献を複写した物でしたが、こだわりを感じる手作りをされていましたし、
タイルも丁寧な手作りでした。そしてそれ以上に、コンポーネントの中核を成す「石」。
お聞きしたところでは紙粘土で一つずつ作られて塗装されたということでしたが、
これが非常に魅力的でした。リアルとは違うんですが、「こんな石あるのかも」
と信じさせるような形と色合いで、程よくカラフルに、それでいて「それっぽく」塗られていました。

東京ドイツゲーム賞では、「コンポーネントの出来は問わない」という話ではありましたが、
一方で面白いゲームを具現化しようという強い意欲は、違いを感じさせるのに十分でした。
自分のゲームをより魅力的にしたい、その為に手を尽くしたい、その欲が貴重なのです。
しかもその石は、ただ豪華にする為の贅沢品ではなく、ゲームの魅力を大きく増しながらも、
ゲームの遊びやすさを支えている。加えて、サイズ感や視認性も適切でした。

ボードゲームデザイナーと一口に言っても、ゲーム作りに占める活動範囲は人により様々です。
ルールだけに専念して後は全て他のスタッフに任せるタイプの人もいれば、
ゲームが最終的にどのように遊ぶ人たちに受け止められるか、という所まで考える人もいる。
山田さんは後者としての資質の持ち主なのだということを、自分は感じていました。


私の質問に、山田さんは「それは困ります」と即答しました。「だって、それは駄目でしょう」と。
山田さんはさらに説明してくださろうとしてましたが、私には説明は不要でした。
その返答が、完全に予想通り、期待通りだったからです。
やはりこの人は、何となくでこの石を作ったわけではない。
いや、それこそ何となくなのかもしれないけど、それが直観でも、「絶対こうすべき」
という確信を持っている。そしてその確信は正しい。そのセンス素晴らしい。

…ゲームデザイン上は。

商業上は、≒最・悪・です!!商業死んだ!今死んだよ!
なんだーコストとクオリティのバランスってなんだー!うわーマズイ。駄目だ。予算収まるわけない!

頭の中では黒々と、この後の展開の厳しい予測と「いきなり詰んだかもしれん」という
絶望がありましたが、それは覚悟していたことでもありました。私は山田さんの説明を遮って、
「いえ、わかりました。何とか石の方向で行きましょう。行くしかありません」と言いました。
西山の方を見ると、これまた予想通りの激烈な苦笑を浮かべてました。
「はあああああ、地獄コース確定かああああああ…」と西山が深ーい溜息を漏らすのを聞いて、
私は「そうだねえ」と言いました。NGO勢は(散々一緒にゲーム作ってますから)
皆その意味がわかって暗澹たる雰囲気になっていましたが、
山田さんには伝わっていないようで、一人きょとんとしておられました。

素晴らしい、その我関せず感、デザイナーの資質がある(笑)!

と思って笑うしかありませんでした。秋ゲームマーケットまでは僅か5ヶ月、
それまでに石を初めとした問題山積のコンポーネントをコストを抑えてクオリティを持たせて生産し、
魅力的なゲームとして作り上げ、皆様をわくわくさせてたくさん売らなければいけない。
なるほどーわかった、やってやるさ!!


…ということになった後の私達の地獄の行軍の話は、書くと無駄に長く苦しいので、
次回端折って書きます。次回は出来上がり(予定)の内容物、写真とか付きでご紹介しまーす!


ニューゲームズオーダー、完全新作ボードゲーム「枯山水」の話。その2。

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  • 2014/10/21 11:59 午後
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明日書く明日書くと空約束を繰り返してますが、数日遅れてようやくその2です。
書いているのは10月27日(笑)。何とか枯山水のメインコンポーネントが脱稿し、
久方ぶりのお休みをいただいている月曜日です。
本当にたいへんなのは西山で、(外注を多数いただいていることもありますが)
ゲームマーケットに向け全く休みが無くなっています。
今日も工場に伺っていた模様。お疲れ!そして全員、まだここからが正念場です。

今回は、枯山水の内容物と価格についての話を始めます。
ようやく実際の物についての話に入ります。というか、
今日の自分達のゲーム制作は、ほぼ全部がここのパートに入りますので、
ここの話をすれば本題は終わりです。自分達の現状の制作ではルールは、
…というより、ゲームは先に決めているからです。

非常に長く、御説明するのに骨が折れる話を思わず始めそうになってしまいますが、
今回はその話については本格的には触れないつもりです。
(重要な事柄ですが枯山水の話をする上では非常に回り道になってしまうためです)
それはつまり、ボードゲームを作る時どこから作り始め、どう作り上げるか、
というお話です。ゲームデザインに限っても、メカニクスか、モチーフか、ギミックか、
ダイナミクスか、ゲーム作りを始める上での糸口、着想は多岐に渡り、
またそれらは相互に関係していますが、ここに「商業ベース」という条件を付けると、
話はさらに一筋縄で行かなくなります。
なぜなら、商業上の要請と制限が、制作上の重要な道標になるからです。
今、自社のラインナップにこういう価格帯の、こういうジャンルの、
こういうプレイヤー層を想定したゲームを加えたい…というような観点は、
商業ならば大なり小なり意識する部分です。
また当然ながら、どの程度の販売を狙ってどの程度の予算をかける、
という判断も、商業活動を継続する為には不可欠です。

これは仕事という範囲でないゲームの自主制作に比べて悩ましいとも言えますが、
目標設定する為の基準が一つ明確にあるという意味では恵まれているとも言えます。
プロジェクトの目鼻は確実につけ易くなります。

商業を前提にした時、製品作りの最重要目標は、
買う人が迷い無くお金を出せる程、「要るもの」「絶対に欲しいもの」を作る、
ということになります。つまり、自分たちが想定する以上の人数の方々にとって、
設定した価格を明確に超える価値があるものを作らなければいけない。
「この価格のものが、これだけの期間でこれだけの部数売れる」という予測により、
使ってよい制作費、予算が決まるわけです。
この予測の精度を上げ、一方ではソフトとハードのクオリティを上げる
(予算内でより魅力的な物を作り、またコストを下げる)ことが、
買う人にとってより満足でき、売る私達にとってより儲かるものを作れることに繋がる。

ニューゲームズオーダーが絶版のゲームの日本語版を制作する上では、
上記のような判断基準があり、様々な観点から商業的な勝算を計っています。
私達は面白いゲームがとても好きですが、今は、面白いゲームならなんでも出せる、
という身分ではありません。自分たちが本当に面白いと思うゲームの中でも、
予算がある程度の範囲で収まって、商業的に勝算を立て易いものから出しています。
難度が低い所から成功を積み重ねて、少しずつ出せる範囲を広げている過程です。


そういった意味で枯山水は(やっと話が戻ってきた)。…難物です。
枯山水を東京ドイツゲーム賞に選出した日、自分は思わず「ああ、5年早い」と口にしました。
5年後に出会いたかった。
今のニューゲームズオーダーが「商業ベースで」出せるゲームではないと思ったからです。
望外のポテンシャルを備えた新作ゲーム。
夢に出そうなほど、私個人にとっては理想的なゲームです。
でも、内容物が多いですし、非常に豪勢な作りが不可欠になります。
その作りには必然性があって、おいそれとは省略できません。
間違いなく予算も大きく、単価も高くなる。商業的な勝算は得にくい。

…ただもう出会いましたからね(笑)。全力を尽くすことにしたのでございます。
得にくい勝算を生み出そうと。高価格帯のオリジナル新作で。

いや~。商業として、仕事としての判断上は、駄目かもしれないんですが(笑)。

というところで一旦切りましょう。まだ全く具体的な話にはいっていないので、
今回ばかりはすぐ第3回を書きます!次こそ個々の内容物の話に行く予定です。

ニューゲームズオーダー、完全新作ボードゲーム「枯山水」の話。ようやくその1。

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  • 2014/10/20 11:59 午後
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枯山水のお話に本腰を入れる前に。以下のサイトから枯山水のルールが
ダウンロードできます。

http://www.newgamesorder.jp/games/stone-garden

以下のリンクから、東京ドイツゲーム賞審査の際の
枯山水のプレイ風景が見られます。

https://www.youtube.com/watch?v=vLwTZWaw_2U

雰囲気を掴みたい方は、ルールと見比べるとご参考になるかと思います。
私も久しぶりに見返しました。この時初プレイだったんですが、
自分らめっちゃ楽しんでますなあ。
製品化にあたって、ボード上の徳ポイントトラック数値表記
(応募時1~7だったものを0~6に)や駒の名称(仏像駒→禅僧駒)等、
細かい変更は行いましたが、ルールについては95%は変更ありません。
変更した部分も、ルールで規定されていなかった所の明確化
(誰かが強奪したタイルをまた強奪できるかとか)と、
強弱の偏りが流石に豪快すぎた作庭家カードの効果の調整程度です。

あと以下のリンクは、とても長時間ですが、東京ドイツゲーム賞の最終選考の動画です。
(最終的な話し合いの一発撮り、という所が面白いんじゃないかと思います)

https://www.youtube.com/watch?v=5c1GGlRVYKc

いや~、これは昨年アイム・ザ・ボスの制作等で非常に厳しかった時の動画ですねえ…、
と思わず余計なことも思い出してしまいますが。こちらはご興味とお時間ある方だけどうぞ。


ともあれ。前置きの話からちょっと時間を巻き戻して始めますと、
ニューゲームズオーダーが様々なトラブルに見舞われ激動の状況下にあった2013年夏、
テンデイズゲームズのタナカマさん、そして最終審査にゲストで加わっていただいた
ピグフォンのkaiさんと弊社沢田・吉田による最終審査の結果、
「枯山水」を第1回東京ドイツゲーム賞、大賞として選出しました。

この際自分は、「予想を超えた傑作が来たので、製品化は是非させていただきたい」
という旨の発言をしました。これは偽らざる本心だったのですが、
いかんせん会社は修羅場、制作進行は目白押しの状況。
脂汗を垂らしながらアイム・ザ・ボスを作り、ワンス・アポン・ア・タイムや
アン・ギャルドに着手し…という状況でしたので、(冬にはリトルエッセンもありましたね!)
枯山水を着手できる状況には程遠く、本当の意味で動き出したのは6月1日、
アン・ギャルドとゴー・ストップを発売した2014年春のゲームマーケットの直後
からでした(あれからまだ5か月しか経ってないのか…)。

当時枯山水は、山田さんとの契約等実務を担当していた沢田に一任しており、
自分は直接進行を把握していなかったんですが、その沢田がきわめて多忙になり、
ほぼ一切身動きが取れなくなってしまった為、アン・ギャルド、ゴー・ストップ、
コンコルディア、ワンス・アポン・ア・タイムの肩の荷が下りた私が
バトンタッチすることになりました。
羅列して改めて認識しましたが、たくさんゲーム作りましたね、今年。

実は春ゲムマの会場で山田さんとお話あいしたかったのですが、蓋を開けてみれば
ご来場の皆様に一日中全力でゴー・ストップをご紹介する流れになり、
それ自体は素晴らしかったものの、山田さんとは話し合いはおろかご挨拶もできず。
閉場の17時ごろになって何とかコンタクトを、と電話したものの繋がらず、
この日枯山水については結局空振りに終わってしまいました。


こりゃあいかん。


ということで、何とか一度膝を詰めてしっかりとお話合いし、
今期中の枯山水リリースを何としても実現しようと、後日山田さんに京都から東京、
立川にご足労いただき、2日間にわたってのミーティングを行わせていただきました。

実際のところ山田さんとゆっくりとお話をするのはこれが初めてのことでした。
ただ、タチキタ西山が「江戸職人物語」のボードの製造などの発注を受けていましたし、
自分も「ポストマンレース」「こびとのくつや」等、山田さんがゲームマーケットで発表した
ゲームは遊んでいたので、そのゲーム作りへの独特のこだわり、
姿勢といったものについては、ある程度事前に把握しているつもりでした。

…ただ!実際にお会いした山田さんはー、予想を遥かに超えてー、
独特の感覚をお持ちでした(笑)。いやあ、誠に。
自分たちもかなり変り種の集団だと思うんですが、全く退かない感じで独特。
昔沢田とゲームを作っていた時、
「ほんとうに面白いゲームって、どっかぶっ飛んでないと作れないのかなあ…」
と散々思ったものですが、久しぶりにその感覚を思い出しました。…良い意味でね!

とまあ、茶化しでなく、山田さんと会って、お話してすぐに、
枯山水が特別なゲームになったことへの、納得がいきました。
特別な人が作ったからこそ特別になりえたと。

集中力と言っても執着力と言ってもいいかもしれませんが、
自分の感覚に対する異常な程のこだわりと、決然たる自信をお持ちの方だと。
非常に礼儀正しい方なんですが、一方でそれは、山田さんのあらゆる言動から感じ取れました。
そのこだわりと自信は、ゲームを作るなら仮に勘違いでも持ってた方が良いですし、
山田さんの場合、少なくとも枯山水では、それが大袈裟に言えば奇跡的な程うまくはまったんだな、
とわかりました。

「ああ。デザイナーが来た」と思いました。

こりゃ大変なことになるなあ。と私が覚悟した所で、本日は一旦終わりに致します。
なんでかって?これから他のゲームの入稿前のボード最終チェックがあるからです、タチキタで!
気持ちとしては、明日続きを書きます!

ところで、今日の内容ってまだ前置きのような…。

ニューゲームズオーダー、完全新作ボードゲーム「枯山水」の話、の長い長い前置き。

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  • 2014/10/19 06:55 午後
  • 投稿者:
http://www.newgamesorder.jp/games/stone-garden

明日から枯山水のことを書きます!…と言ってましたが、今これを書いているのは10月23日です。
いやー。この制作の差し迫った状況で、私に続きを書く余裕があるわけはございませんでした(笑)。

ニューゲームズオーダー一同、ゲームマーケットに向け、うなりを上げながら全力疾走中です。
枯山水をゲームマーケットで出します!という明言を先日したのは、本当に出せるのか…、
という不透明な現状の中で、割合ぎりぎりの判断でした。
ルールの文面ができたら発表しよう、という話をしていましたので、自分たちがここまでは辿り着けた、
その区切りとして、という思いもありました。発表した当日まで、
作者の山田さんとカード効果の最終調整・変更を協議したりしてましたので、舞台裏ばったばたです(笑)。

そして実の所、製品版は発表している内容から2つ変更点が出るということがほぼ決まっています。
まずパッケージですが、急転直下、発表しているものとはビジュアルが変更されます。
具体的に言うと、右側に大きく描かれている人物が変更になる予定です。
そして残念ですが、内容物の名庭園カードが1枚減ることが決定しております。
ええ、なんでそんなことになるかというと、話が長ーーくなりますので、後々お話ししたいと思います。
あと発表しているルールは(名庭園カード1枚減以外)変更ございません。

今回の「枯山水」の制作は、話を始めると、本当に内容が多すぎて、絡まりあっていて、
よくわからないことになりそうな気もしています。
古くから私たちをご愛顧いただいている皆様にお話しすると「全部知ってるよ。何回も聞いたし」
と言われそうな話ですが、しかし省略してしまうと、ご存じない方にはよくわからないことになりそう。
このBlogを最初から読むとと全部書いてあるんですが(何せ2006年から書いていますから)、
今回ざっくりと振り返りつつ次回以降枯山水の制作の内容に移ろうと思います。
自分としては本当にざっくりなんですが、何分この10年の私たちの活動のあらすじです。
だから滅茶苦茶長いのですが、…ご勘弁ください!

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「枯山水」というゲームが現れる経緯から言うと、東京ドイツゲーム賞の説明のお話に至ります。
何故東京ドイツゲーム賞をやったかというと、自分がゲームメーカーを作ろうとした話に遡ります。
それはつまり何故ニューゲームズオーダーを始めたのか、という話に遡ります。
現在のニューゲームズオーダーの、モダンアートや交易王を出している業務内容の話にも繋がります。
ニューゲームズオーダーが始まった経緯は、私が西山(現タチキタプリント)と「ゲームメーカーをやりたい」
と言って2006年に始めたB2Fゲームズの話に遡ります。そのきっかけになったのは自分たちがサークル時代、
2005年のゲームマーケットで出した沢田作の「スクエア・オン・セール」というゲームでした。
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2003年のゲームマーケットで「古代ローマの新しいゲーム」の日本語書籍を200部ほど売り、
さて次どうしようか、と一息ついていた自分たちが着手したのが、沢田の作ったスクエア・オン・セールの
製作・販売でした。
(確かこれは2回目。1回目はパイロット版を沢田が手作りしていたと思います。ダイヤブロックを駒にして…)

しかし内容物の多いゲームだしどう作ろうかー、と立ち往生していた所、たまたま白羽の矢が立ったのが、
私のイエローサブマリン新宿ゲームショップ店員時代の馴染みの客で、私の前で
「ゲームの制作とかやってみたい」と口走った西山だった、ということです。
それなら試しに一緒にやってみようかと自分が即断し、サークルのメンバーと西山を引き合わせ、
2005年のゲームマーケットを目標に制作を開始した2004年。
私が25で西山はまだ20か21、学生の頃でした。

制作は大いに難航し、一同ボードゲーム作りの大変さを思い知り(今思うと全然序の口でしたが)、
西山が探し当てた工場に発注した、苦労して塗装した木のコマを大量にぶち込んだ結果、
当時の小規模なゲームマーケットでは破格の4000円という高い売価で99部、
という無茶な備えで当日を迎えたんですが、沢田が並行してスクエア・オン・セールを応募していた
ヒポダイス・オーサーズ・コンテストという本場ドイツのゲームルールの新人賞
(かなり由緒正しく名デザイナーを輩出している賞だそうです)でまさかの大賞受賞、
した結果予想外に開幕の行列(その時自分はゲームマーケットで初めて行列を見ました)、
瞬く間に完売し一同「裏ドラ乗ったー!」と喜びました(懐かしい)。

自分は当時、近い将来の独立起業(つまりB2Fゲームズ)を計画しており、
このスクエア・オン・セールが上手くいったことで、西山に一緒に会社やらないか?
と誘って、2006年B2Fゲームズ始動となりました。
とは言え西山は勿論私も現実は見えているタイプなので、いきなりゲームメーカー一本で
勝負できるという判断をするはずもなく、私のイエローサブマリン時代の仕事を延長した形で、
ミニチュアゲームとボードゲームの店をやりつつゲームを出していくことにし、
西山も他に本業を持ちながら手伝うというスタイルで始めました。
(ここからの8年の西山の職歴が現在のタチキタ/NGO制作部の基礎になっているわけです)

B2Fゲームズでは、ミニチュアゲームを売ったり、中古ボードゲームを売ったり、
エッセンの最新作を売ったりしながらいくつかゲームを出しましたが、
このスピードではいつまで経っても状況を変えられない、やりたいことに届かないということで、
一念発起し着手したのが、2009年に始めたニューゲームズオーダーです。
当時ゲーマー向けの輸入新作を取り扱うボードゲーム店が多すぎるのではないか、
今後過当競争になるのではないか、という観測もあり、そこに一線を画そうと旧作・名作の輸入・
国内供給に着手し、さらに絶版を復刻するという自社製品づくりに取り組んでいきました。

こちらのBlogをご覧の方の多くがご存知であろう通り、絶版復刻の仕事には全力を尽くしています。
大きな意義を感じながら日々取り組んでいます。今月にはモダンアートを出せたばかりか、
お陰様で売れ行きも好調です。それなりに長い時間がかかりましたが、
少しずつ思い描いたことが形になりつつあり、これは非常に嬉しいことです。

ただ一方、B2Fゲームズを始めたときに自分が思い描いていたのは、「オリジナル新作の出版も行う」
メーカーでした。そのことに一旦区切りをつけ、ニューゲームズオーダーの仕事に専念する契機に
なったのが、2010年に制作し、エッセンで自社ブースを出して販売した
「ぼくらの火星(Mars is Ours!)」でした。

「新しくて面白いゲーム」を作りたい、という目標を持ってやってきた自分ですが、
そもそも自分たちには、新たに面白いゲームを作れるのか?という問いがありました。
商業として、仕事としてやっていくと、様々な外的要因により自分たちの総力を試す機会はなかなか訪れません。
プロフェッションとしての適切な判断、行動を求められます(それも難しく楽しいことではありますが)。
しかし打席があったら打てるのか?打席が無いのを良いことに、「打席があれば打てるのに」
と自分に言い聞かせているだけではないのか?

一回自分たちの全力を、試してみたかった。それがぼくらの火星でした。
新しく面白いことがしたい、ということでエッセンに自社ブースを出すことにし、
インパクトで勝るために一度だけの「採算度外視」という手法を取りました。
距離的ハンデ、言語的ハンデを埋めるため、原価率とかは無視して、
最高に魅力的なものを作ることだけに挑戦してみようと。

結果的にはぼくらの火星は行列になり飛ぶように完売しました。
面白いものを作れたという手ごたえも大いにありました。
だからこそ、これで一回吹っ切れました。新作作りは一回置いて、全力で再版メーカーをやろう、と。

商業という領域では、「ゲームを作る」ためには、「販路を作る」のが不可欠なのだと、
この頃自分は気づきました。言葉にすれば当たり前の事なのかもしれませんが、
本当に身をもって痛感したのはこの時でした。
一口に販路と言っても、短期的に売りさばければいい、お金になればいいというものではありません。
売れた上、関係各方面、全体が上がっていくこと。そして道が広がっていくこと。
自分たちが出すものは期待できるんじゃないか、面白いゲームなんじゃないかと、
皆さんに可能性を感じてもらわなければいけない。
そのためには、1つ1つ全力で作っていくことだと。
買って遊ぶ人たちにとって良いもの。売るお店の人にとって儲かるもの。
そしてそれが自分たちの利益になれば、次の活動に繋げられて、より良いこと、
大規模なことができるようになっていく。

新しいゲームは、出すとしても、ある程度それができた後にしようと。
今度新しいゲームを作るときは、プレイヤーの皆さんが楽しめて、満足できて、販売店が儲かって、
自分たちの収益も上がるもの。そうできる勝算が、いくばくかでも生じたときに挑戦しようと。

2012年の東京ドイツゲーム賞の開催は、沢田との話し合いから生まれたことでした。
自分としては、店をやりつつ、さらにハイペースで復刻の仕事をやりつつなので過酷な話でしたが、
新作ゲームのコンテストをする、しかも日本国内から発掘する、という試みは、
確実に日本国内のボードゲームの状況が向上しつつあった2012年当時、非常に意義深く、
また必要なことだと思いました。

ただ、東京ドイツゲーム賞に「傑作」というレベルの応募作が寄せられることには、半信半疑、
というより、おそらく無いであろうという予測もしていました。
何故かと言えば、それは単純に割合の問題です。
今日驚くべき量のゲームが世界中からリリースされていますが、「傑作」というゲームは、
当然ながらほんの一握りだからです(勿論普通に楽しめる、位のゲームはたくさんあります)。

しかしニューゲームズオーダーは、絶版の「傑作」だ、と思うものを選抜してリリースしています。
商業的なことだけを言うと、評価が確立している絶版の傑作の価値は、
「結構面白い」位の新作を明確に上回ります。新たな傑作が来たところで、初めて
「絶版のリリース一旦止めて、新作勝負してみようかな…(でも多分あんまり儲からない)」
というレベルです。
東京ドイツゲーム賞の審査を、「仕事として」「仕事の時間に」やっていいものか、
というのは、自分にとっては結構重い決断でした。


それだけに、…枯山水を初めて遊んだ時は、嬉しかったです。感激で、こみ上げるものがありました。
本当の傑作来たから。東京ドイツゲーム賞、やってよかったと。

ただ、出せば儲かるゲームかと言えば、勿論話は別なのです(笑)。
非常に厄介な傑作との、格闘の日々が始まりました。
東京ドイツゲーム賞をやったことで、この自分たちしか遊んでいない真の傑作を世に出すという
使命が生じました。生じてしまいましたーーー!幸せ!でも辛い!
またしても、またしても私ども、社運がかかっております。


という所で前置き終わりです。相変わらず、本気で書き出すと急に長くてスミマセン。
次回以降、制作の経緯、内容物と価格、ゲーム内容(ネタバレ的ですので読みたい人だけどうぞ)の話を、
します!

ゲームマーケット2014秋にて、オリジナル新作ボードゲーム「枯山水」を発売します。

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  • 2014/10/18 11:49 午後
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ゲームマーケット2014秋、ニューゲームズオーダーは、オリジナルの新作ボードゲーム、「枯山水(英語タイトル/Stone Garden)」を発売します。

今作は、ニューゲームズオーダーがテンデイズゲームズさんと共催にて2012~2013年に開催した公募のゲーム賞、「東京ドイツゲーム賞」第一回の大賞受賞作品です。2人から4人用、プレイ時間は60-90分です。

http://www.newgamesorder.jp/tokyogermangamescompetition

作者は山田空太さんです。ゲームマーケットを中心に、imagine GAMESの名義でいくつかのゲームを発表されていますが、この「枯山水」は山田さんが最初に作ったゲームとなります。

http://blog.goo.ne.jp/imaginegames

アートワークに関しては、弊社自社製品「ティンダハン」「なつのたからもの」をご担当いただいたママダユースケさんに全面的にお願いしています。

http://www.geocities.jp/mamada_yusuke/illust.html


価格につきましては、税抜7500円(税込8100円)を予定しております。当日ご用意する数については、最大300個を予定しています。大きめの箱サイズのゲームのため持込み数を測りたく、近日中にご予約を取らせていただく予定です。

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さて。さて!東京ドイツゲーム賞「枯山水」、ようやくリリースさせていただきます。
長らくお待たせいたしました。


いやー。どこからお話ししましょうか。
現在今作の制作締切の真っただ中でございまして時間的余裕があまりない私、そしてニューゲームズオーダー一同ではございますが(ゲームマーケットでの発売が本気でぎりぎりです)、この話を始めると長くなりそうです。頑張って手短に、ざっくり書きたいと思います。元を正せば、まあ、2005年くらいまで遡ります(←遡りすぎですな(笑))。だから、明日から書きます(多分)!


モダンアート日本語版、入荷しました。

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  • 2014/10/16 05:36 午後
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11月16日に迫ったゲームマーケットで発売の自社製品制作に向け昼夜を問わぬ行軍を続けていますが、
一方で交易王の売れ行きも好調、そして本日はモダンアートが入荷しました。Yes,てんやわんや!

さて出来はどうか…と1個開封しましたが、納得できるレンジに入っている。良かった。
早速たくさん送り出しましたので、明日から全国のお店でお求めいただけるようになると思います。
頑張って税込3000円です、よろしくお願いいたします。



ふと思い立ってニューゲームズオーダーで出しているライナー・クニツィア作品をB2F店頭で並べてみました。
うーん。なかなかの数。そしてこれだけ出してもまだ出したい、
出さねばならないゲームがあるんだから、改めて偉大なデザイナーだなあと思います。

コンコルディアに関する発表をさらりと。

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  • 2014/10/05 11:59 午前
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ルール1ページの訳とは言え1日での入稿を唐突に依頼され、叫び声をあげつつも何とか対応し、
入稿を終えました…はずです。

これはまあもうすぐ発覚する(というと悪い事みたいですが)かもしれないし、とっとと吐いてしまいますと、
今年のエッセンから発売されるであろうコンコルディアの拡張マップ「ブリタニア/ゲルマニア」の訳です。
仕入れるつもりはあるぞ、とPD出版に打診していたところ生返事であまりリアクション無かったのですが、
エッセンも直前になって唐突に「製品に日本語ルール入れるけど?」というようなご連絡。
ほんとか(笑)。Ludofactの担当者の人、また困るんじゃないの…と思いつつも、
まあ入るならその方が、ということで対応したわけです。

エッセンのPDブースに並ぶ拡張マップに私達が訳したルールが入っているのかは
(入稿した後さっぱり音沙汰無いので)わからないですが、
スケジュールはともかく拡張マップはニューゲームズオーダーで入荷予定です。
あと品切れしてしまっているコンコルディア日本語版」本体も、2015年になりますが増刷はします。
PD出版の社長さんは12月に増刷に入ると言っていますが、
私のここまでのPD社との経験を踏まて予測すると、…多分入荷できるのは春以降です。
お待ちいただいている方にはさらにお待たせいたしますが、よろしくお願いいたします。