2017/10/23 05:01 午後

休み、楽しく働く。

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  • 2014/11/03 10:18 午後
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月曜ですが休出、関は石塗り、西山はGM向けのタチキタ生産品セットアップ、
自分は石塗りを手伝いつつブログを書きつつの1日。

昼食をとりに出た時に気が付いたんですが、今日は祝日だったんですねえ(笑)。
1日作業しっぱなしだったんですが、まあ結構文化的だったんじゃないかなと思います。

思ったより石塗りが進まず現在25分の7。大きな石を塗ってるとは言えなかなか手ごわい。
明日挽回しないと水曜日の休みも消える(笑)!

クオリティと時間のジレンマ。

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  • 2014/11/02 11:59 午後
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引き続き関の石塗装。枯山水のブログを書かねばならないことは承知しつつも、
目の前の石がどうしても優先になってしまい自分もサポート作業。
石の裏面を塗るというきわめて地味な作業でございます(笑)。
あわせて時たまある塗り残し部分へのレタッチなども(結局結構手伝っている)。
今日時点で塗装は全体の5分の1行くかどうか…という所。
直前になれば気も急き、クオリティに問題が出かねない為早いうちにできる限り進行しておきたい。
しかしゲームマーケットに向けてはその他の作業もあるんですよねええ。
私はもちろんブログ書きも(笑)。明日は定休ですが関ともども作業続行の予定です。

応援しにくい作業工程。

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  • 2014/11/01 11:59 午後
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関が石を塗り始めている。1セット25種ずつ完成させていくことも検討してましたが、
関に「終わらせる自信があるなら1種ずつ、300個ずつ塗っていった方が早いけど」というと、
「それで行きましょう」という返答。

塗り自体は十二分な速さが出るものの、実はその前後の塗る準備(持ち手への300個据え付け)
や終わった後のレタッチ(塗り残した窪み部分の塗り足し)などが結構手間を要する。
特に持ち手への据え付けに使う両面テープの品質とコストでひと悶着。
ナイスタックが高すぎて作業終了までに万単位のお金がかかるという結論が出て、
リスクを感じつつ百円ショップの物を使ったらやはり上手くはがれず泥沼。
西山関とギギギギ言いながら失敗の後処理。作業が一回暗礁に乗り上げたんですが、
最終的に西山の見立てで買ってきたナイスタックの半額程度のヘイコー製で行けることが判明、
一同安堵。言葉にすると馬鹿らしいようですが我々は本気です(笑)。
こう、しっかりついてぱりっときれいに剥がせる安価な両面テープが無いとジ・エンドとなる
私たちのゲーム制作の現状、というような話は、
お知らせしても全く枯山水の売り上げに寄与しないだろうなと思うと、残念…ではないか。
そんなもんですな世の中(笑)。
塗りの方が大変ということにしておいた方がキャッチーだと思うので、
そういうことにしておきましょう。

充実の末日。

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  • 2014/10/31 11:59 午後
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10月末日。10月創業のB2Fの9年目も、1か月が経った計算になります。
ゲーム作り一色の1か月で、各人全力を尽くしたんじゃないかと思います。
課題は山積してますが、悔いのない1か月。

枯山水の石が来ました。全て無事。想定していたよりはるかに良い状況。
石膏の石を、それでも送料を削る為、小さく梱包してもらう具体的な指示を工場に出していた。
リスキーさも感じてましたが、向こうの丁寧な梱包基準で運んでもらうと送料が下手すれば10倍を超える。
今までのコスト削減が水泡に帰す公算が高く、戦々恐々としながらも7箱にぎゅうぎゅうに詰めて
まとめてもらった。だからこそ最悪損傷が出る可能性も覚悟せざるを得なかったですが、
結果は無事。よかった。

あとパラノイア日本語版のPDFの予約分発送が概ね無事に行われました。
沢田くん、校正にご協力いただいた皆様、お疲れ様です。


慎重に急ぐ日々。

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  • 2014/10/30 11:59 午後
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枯山水のご紹介で書いてある、たまにやる長いブログが終わってませんが、
そうしている内に1日ずつ過ぎてしまって日々の記録がなくなってしまうので、
覚書的に書いていこうと思います。

この日は別の物のルールの最終入稿に位置づけた日。枯山水の石がこの日来る…、
というので、関が塗装作業に取られることもあり、
最終的なルールの文面を完成させなければいけないと大急ぎで作業。
朝から終電までやって何とか、終わるか、終わらないか…という所で
ルールとさっき入稿したコンポーネントの齟齬が見つかり、
電話で西山と対応協議している間に終電に乗れず結局1時半まで作業。
しかも残り数%作業残し。体調も考えて久しぶりのタクシー帰宅となってしまった(残念)。

ちなみに石は来ず。31日に回ったらしい。

革命的ボードゲーム「クレムリン」日本語版、ゲームマーケットにて緊急発売します。

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  • 2014/10/26 11:59 午後
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http://boardgamegeek.com/boardgame/196/kremlin

いやー。ご期待いただいていた皆様、お待たせいたしました。
2013年春ごろに「2013年冬、クレムリン日本語版発売!」という発表をしましたが…、
2014年秋(というかそろそろ晩秋)になっちゃいましたね(笑)。
晴れて、晴れて、今回のゲームマーケットより「クレムリン」発売致します!
アートワークは当初発表しました通り、速水螺旋人さんに全面的にお願いいたしました!
価格は税込6000円となります。よーし、やぁぁぁっと発表できたー!


いや~、この度、枯山水、パラノイアに加え、クレムリン日本語版も同時に作っていたのでした。
それは修羅場にもなる(笑)。何はともあれ、ご説明させていただきましょう。


クレムリン。1986年にスイス・Fata Morgana社より出版され、
1988年にはアメリカAvalon Hill社より英語版が出版された、
伝説的な…ええ、ありていに言ってしまえば…馬鹿ゲーです!
ソビエト政界の黒幕に扮し、息のかかった政治家を用いて乱痴気騒ぎめいた権力闘争を繰り広げる、
希代の政治ゲームです。

…えー、オールドファンの皆様の「クレムリンは常識だろ!」というお言葉と、
新たな皆様の「なにそれ?」というお声が同時に聞こえてきそうですが。

少なくとも1980年代から1990年代には、特にAvalon Hill版の人気によって
日本国内でもかなりメジャーであった名作中の名作ボードゲーム…だったはずです。
はずです、というのはその時期は自分も小学生くらいだったので、
全く直撃世代ではないからです(笑)。

作者はウルス・ホステトラー。「ティチュー」や「私の世界の見方」といったゲームを作った、
唯一無二のユニークなデザイナーです。

ええ、今回の制作のスタートについて、遡りましょう。
あれは確か2012年の春ごろ、ニューゲームズオーダーが
「ファブフィブ」を出したゲームマーケットの直後だったかと思います。
今後の方針を決める為の話し合いとして、私吉田と沢田での、
「第一回・こんなボードゲームがあったら絶対欲しい朝まで大喜利」
というのが、立川のジョナサンで夜通しで行われたのです。

その時はホントに色々と話しましたし、その時した話には、
2013年~14年のニューゲームズオーダーのリリースタイトルもたくさん登場しました。
(箱小さい「古代ローマの新しいゲーム」とか)

その時に「クレムリンも絶対出したいよねえ」という話になったのです。
ちなみに当時、B2FではFata Morgana版の非常に独特な出来の(まあ言っちゃえば手作りの)
クレムリンを同社から独自に入荷しては売っていたのです。
びっくりする程よく売れていましたし、自分たちは非常にこのゲームが好きでした。

ただ、「絶対欲しい大喜利」ですから、さてどのようにして出しますか、
と二人でああでもないこうでもない、と話していたところ、どちらともなく
「速水螺旋人さんに絵を描いてもらうってのは!」ということに思い至ったのです。
これは名案だあ!となりました。…実現性を無視すれば。

http://park5.wakwak.com/~rasen/

速水螺旋人さんと言えば、ファンの皆様やご存じの皆様には言わずと知れたことですが、
ソビエト・ロシアを愛する漫画家、イラストレーターとして名高い方です。
そればかりか、RPGをはじめアナログゲーム関連のお仕事も多数されていますから、
…ちょっと大それているけど頼んでみたらあるいはどうか!というアイディアでした。
実現したら素晴らしいよなあ。と、その時の沢田と私はえらく盛り上がったのです。

時は流れて2013年春。2012年冬の古代ローマの新しいゲーム等のリリースも終え、
時は来たとばかりに、私が速水先生にイエローサブマリン時代の糸口を頼って
速水先生にご連絡しました。
(私が勤務していたお店で速水先生がサイン会をされたことがあって、ご挨拶したことがありました)
ミーティングをお願いし、立川までご足労いただいて私たちの仕事を説明し、
思いを率直に述べましたところ、「それは光栄ですね。お受けしたいです」とまさかのお返事!
おおお!

…ということで「速水螺旋人クレムリン」、急転直下実現することが決まりました。
善は急げ、2013年冬にはリリースしよう!という発表となったのですが、
その後がたいへんでございました。

速水先生が漫画連載を中心に多忙を極められ、スケジュールを確保できない、という状況に…。
あっという間に2013年が終わりを告げてしまいました。
自分たちも様々なトラブルに見舞われつつたくさんのボードゲームをリリースし、
クレムリンの制作進行に力を割けないまま2014年春。こんなことじゃいかん、
夏には出そう!と再始動し、速水先生に少しずつお時間を取っていただき、原稿をお願いして、
這うように制作を進めてまいりました(勿論この間もご存じの通りいろいろ出しております弊社)。

しかしですねえ。

ここに流星のように現れて来ましたのが「パラノイアRPG:トラブルシューターズ」日本語版計画でした。
クレムリンが西山管轄にて進行していた一方、パラノイアは沢田管轄。
どっちも絶対やりたい級のロマン計画ですから、私としてはおやんなさいおやんなさい、
と焚き付けてきてたんですが、そのリリーススケジュールが完っ全に重なりました。

「普段から複数リリースなんてしてるじゃない、何が問題なのよ」とお思いかもしれませんが。

「クレムリン」と「パラノイア」を相次いで発表するのは、
ちょっと会社としてのイメージ上問題あるんじゃないかなあ…、という判断でした(笑)。
なにぶんどちらも言わば、社会風刺のブラックジョークもの、という内容ですので。
普段「なつのたからもの」等「分かりやすくて面白い」ゲームをスローガンに掲げている
ニューゲームズオーダーとしては、正統派ピッチャーが唐突にナックル連投みたいな感じだろうと。
ここまで少しずつ積み上げてきた皆様の認知。それを損じることは避けたい(笑)。

しかもクレムリン、当初はプレオーダーを集めて資金を募る計画でおったのです。
クレムリンをリリースして、その後パラノイアとなればいいかな…、くらいだったのですが、
どちらもリリース予定は2014年後半、ということで、
ほんっとーに完全に、タイミングがかぶる情勢となってまいりました。

結果として、新規事業で全くリリースの上でどうなるか予測できないパラノイアはプレオーダー、
クレムリンは秋目標で粛々と制作続行、という判断となりました。
しかしそこに持ってきて枯山水の件もあり、うーんいつ言い出そうか、
というか本当に2014年リリース可能なのかうーんうーんとひたすらうなっていましたのです。

が。

この度、(枯山水同様全く予断を許しませんが)ゲームマーケットにて、発売できることになりました。
と言ってしまいましょう。箱裏はこんな感じでーす。



いやー、労作です。構想は2012年春から。2013年リリース失敗組としては、交易王同様労作です。
しかし苦労した分、こちらの出来、自信、ござい、ます!

・クレムリンをうわさに聞いていて一度遊んでみたかったという皆様
・当時遊んで面白かった思い出がある古強者の皆様
・速水螺旋人ファンの皆様
・パラノイア好きな皆様
・ニューゲームズオーダーのゲームで言えば「アイム・ザ・ボス!」が好きな皆様

いずれか該当する方には、絶対お勧めです。衝撃的にくだらないゲームです!


ということで、発表でございました。
こちらのゲーム、枯山水ともども程なくゲームマーケットでのご購入のご予約を承る予定です。
少々お時間いただければ幸いです!

ニューゲームズオーダー、完全新作ボードゲーム「枯山水」の話。一旦最終回。

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  • 2014/10/25 11:59 午後
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さて、前回予告したパッケージ変更の件、お話したいと思います。
この件は、このBlogをご覧の皆様に、今般のゲームマーケットで「枯山水」を発売する、
と発表した後の話ですから、つい先日のお話ということになります。

↓今回本気で長いので全文表示でどうぞ。

ニューゲームズオーダー、完全新作ボードゲーム「枯山水」の話。その5。

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  • 2014/10/24 11:59 午後
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さて前回はコンポーネント、特に石のご紹介をしましたが、
今回はアートワークのお話に入りましょう。

Twitter等での反響を見ても前回の石膏+塗装への反応が大きく、一同嬉しい反面、
それはこの枯山水というゲームの氷山の一角ですよ!という思いも持っています。
その他のコンポーネントも、微に入り細にわたって、自分たちの限界まで
コストダウンとクオリティの両立を追及しています。この追及の上では、
今回アートワークをお願いしたママダユースケさんのお力が極めて大きいものでした。
ボードも、タイルも、カードも、そして何より箱も、
自分がイメージしお願いしたものを美しく現出させていただきました。



14枚収録される名庭園カードの一例、「天授庵」のカードです。美しい…。
ボードやタイルなど、細かな修整が必須となる物品の傍ら、カードはほぼ全て一発OKでした。
これにはほんとうに助かりましたし、社内全員にとって励みになりました。
厳しい状況でも、ママダさんから新たな原稿を送っていただく度にテンションが上がりましたので(笑)。
このゲーム、きっと素晴らしい物になるぞ!と。

ボードゲームのアートワークは、それが「ゲームの一部」であるだけに独特のバランスが求められる、
難しい領域だと思います。絵が上手な方にお願いすればそれで話が済むわけでは全くありません。
作る前に立てたゲーム作りの計画を具体的な製品に落とし込んでいく過程では、
当然ながら物理的・コスト的なイレギュラーが大量に生じます。
そのトラブルの量たるや、本当によりどりみどりです(笑)。
ボードゲーム制作においては、そのイレギュラーにどのように対応するかという選択と、
その実行の質が、最終的にどのような姿のゲームを生み出せるのかを決めるのだと思います。
これにはある種執念深さのようなものが必要で、そこに密接に関係してくるのがアートワークの調整です。

アートワークを担当する方とどれだけ密に意見を交換して、イメージを共有して、
ゲーム上必要なことを確認しても、一発で最終形を描いてもらう、というのは非常に難しいことです。
(勿論より速やかかつ鮮やかに最終形に迫っていただくことが制作の大きな助けになることは言うまでもありません)
加えて同時に生産の検討もより安く、より質高くと進めている以上、
度重なる修整を経てようやく描きあがった、という所で生産のショートカットの方法が発見され、
結果データの大幅な修整ををお願いする…なんてことも日常茶飯事です。
(作ったことのない内容物の生産は、動き出す度に新たな発見と困難があります)
それだけでも発注側として内心申し訳ないんですが、現実には、
実現しそうに思われたコストダウン案が土壇場でやっぱり通らないことが判明し、
従来のデータを結局生かさせてもらったり、最悪だとさらなる修整をお願いしたりします。
データの完成までには、堂々巡りになっているんじゃないかと思うような、
長い長い時間と労力がかかります(その後の生産工程も長いのですが…)。

データ制作も大詰めを迎える程に、トライ&エラーを散々繰り返した関係各人からは
「もう終わりでいいんじゃないか」「十分頑張ったんじゃないか」という雰囲気が、
誰とは無しに立ち上ってきます。私自身だってそういう心境になります。
なにぶん、これで仕上がったかどうか、最終判断を下すのは自分だからです。
自分が「もう十分でしょう、これでいきましょう」と言えば終わるのです。
DTPスタッフも日夜の作業で限界を迎えている。
ママダさんにこれ以上修整をお願いするのは心苦しい。
対処している問題はどんどん繊細な、もしかしたら些細かもしれないような所に収斂されていく。
手出しをするのも簡単ではなくなる。
これ以上改善を図ろうとしても、コンディション的にも時間的にも危険が迫ってくる。
判断を誤ってかえって改悪してしまったり、下手をするとデータに、ゲームを遊べなくなるような、
重大なミスを引き起こしかねない…。

半ばは正しく、熟考すべき思考です。間違ってはいない。変更のリスクを認識するのは大事です。
作業がもたらす改善がどのような効果をゲームに、商業にもたらすのかを見つめるのは大事です。
「変更」が本当に「改善」となるかは、その苦しい状況での仕事の出来次第です。

しかしもう半分。自分たちがもう休みたくなっているだけなのかもしれないと、
自分たちを疑うことです。自分たちを許さないことです。
ゆっくり休みを取って改めて仕上がったものを見たら、「ああ、もっとこうすればよかったな…」
と内心思わないか。でも今さら言うと自分たちの仕事を否定するような気がするから、皆で目をつぶるのか。

それは嫌なのです(笑)。空を飛べなければ行けない場所に辿り着けないのは構わない。
遠くても、歩いて行ける場所に、今日歩き疲れたからといって、足が痛いからといって諦めるのは。


それだけに、諦めの悪く原始的な私たちの制作に粘り強く応じてくださるママダさんのお仕事は、
この枯山水の制作には本当に不可欠でした。私の、ともすれば抽象的な要望を把握する感覚と、
ゲームのプレイアビリティというものについてのご理解と、そしてなにより圧倒的な早さ。
入稿直前でもう待ったなし!という状況で、「明日までに…」とか、
下手をすれば「今日の夕方までに…」というような私たちの厚かましい要望に、
そのデッドラインに必ず、しかも時間的余裕を持って完成させていただき、
その度自分たちは絶望の淵から這い上がれました(笑)。いやーもう、本当に何回もです!


最早ママダさんに足をむけて寝られない我々ですが、一番助けられたのは、
先日も少し触れましたが、入稿直前でのパッケージの変更に関してです。
現在皆様にお見せしたパッケージとは、右に大きく描かれた人物が変更になっています。
その経緯を次回お話しすることにしましょう。


※11月3日現在、内容物の姿が揃いつつあり、アートワークの全容が見えてきています。
心配していた各パーツ(特にママダさん執筆の物と石)のバランスも問題なく、
手前味噌ですが非常に良い物になっていると思います。
ヨーロッパのメジャーメーカーとも堂々と勝負できると。
是非皆様にはお手に取って、遊んでみていただきたいと心より願っております。

ニューゲームズオーダー、完全新作ボードゲーム「枯山水」の話。その4。

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  • 2014/10/23 11:59 午後
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さて本日は、枯山水の内容物の制作についての話をします。
内容物制作といっても、その仕事の中身はアートワークと生産に分かれます。
枯山水はフルサイズのボードゲームですし、そのテーマの難しさ、
そして山田さんのデザインセンスとの刷り合わせという問題もあり、
しかも生産上の様々なコストダウン手法によってかかる調整も生じてくる。
アートワークのことに限ってもお話したいことは山ほどありますが、
(お話する順番が難しいのですが)一旦後に回し、
生産(つまり西山担当パート)の話からしたいと思います。


枯山水の制作を始める時点から、今回の枯山水の生産は、概ね国内、
つまりタチキタ西山管轄で行うことを決めていました。その理由は、

・予定する生産部数が少ない
・日程が厳しい
・管理が難しい物品がある

ということです。

ニューゲームズオーダーでは、高価格帯の製品の1回での生産部数は、
3000円以内のお手頃なゲームの部数より基本少なくしています。
これは単純に低価格帯の製品の方が遥かに売れるスピードが速いこともありますし、
単純に予算の問題もあります。枯山水はがっちりと高価格帯の為、
海外生産に耐える部数の生産はあり得ない、ということです。加えて海外生産は、
今回のような期間がしっかり決められた中で行うにはトラブルのリスクがあります。
そして何より生産難度マックスの「石」。
何らかの方法で質の良い物をリーズナブルに海外生産する道筋が立ったとしても、
その生産を品質を保って時間内にで管理するのはなかなかの冒険です。
国内であれば何かトラブルが起こっても日本語で現場とコミュニケーションできますし、
いざとなれば現地に赴くこともできますが、海外ではそう簡単にはいきません。
小さな工夫を積み重ねてコストダウン、品質向上、さらには新たな生産方法の工夫、
ということをしなければ、とても枯山水を想定コスト内で作ることはできません。

ということで、全体像を把握する為、枯山水を構成する物品について一通りおさらいです。

・箱…タチキタプリントの得意領域の一つ。コストも納期も想定できている。○。
・寺院ボード…メインボード。これも得意。バントゥと同じ仕様で確定。○。
・庭園ボード4枚…A4のボードなので簡単かと思いきや、独特の豪華仕様により難解。△。
・砂紋タイル80枚…タチキタの専門外だが初挑戦。80枚多いなあ、コスト掛かる!△。
・カード23枚…タチキタ専門分野。カードはお値段はりますが生産は見通しあり。○。
・禅僧駒4個…これについては例外的に海外発注。吉田担当。納期が怖いので△。
・円相駒4個…同上。△。
・早見表4枚…ニューゲームズオーダーの領域。たいへんですがいつもの仕事なので○。
・説明書1部…同上。中身の問題はともかく生産は問題なくできる。○。

で、

・石25個…×。どうやって作るのかも見えてなければ納期もコストも滅茶苦茶かかる予感しかない。

ええ、これに加えてシュリンクとかセットアップ工賃とかカートン箱とかはあるのですが、
一応雑費ということで置いておきましょう(馬鹿にならないお金かかるけど)。

内容物、改めて書くと…余りの特盛りぶりに、もうホント溜息しか出ませんな(笑)。
ゲーム3つくらい作れそう。というか、3つ分くらいのコストが余裕でかかります。
西山は完全にお鉢が回されてくることは覚悟してたものの、改めて仕様を確認した時は
怨嗟の声を上げてました(笑)。いや笑い事じゃなく自分も一緒に地獄行きなんですけども。

ともあれ時間は無い。西山も私も、他の仕事と並行しながら具体的な生産の検討、
試作を開始しました。最重要にして最優先の課題はやはり石。
こればかりは10年経っても変わらない、西山の「調査」から始まりました。
この調査フェイズ、西山以外は未だにどうやって調べているのかはわかりません(笑)。

しばらくの間は、さしたる収穫は得られていない、検討したが没だった、
コストが合わない、という報告が繰り返されました。最も目標に接近した条件で
「海外生産、塗装したフィギュア1個あたり70円」というライン。
(先方の製造ラインが繁忙期の為そもそもいっぱいで、前提から無い話として出ただけでした)
1個70円、自分たちが作る程度の個数で言うと何もおかしい金額ではありません。
ただ、70円×25個は?1750円です。売価ベースでない、原価ベースで考えると、
1750円という額は、そのコストだけでニューゲームズオーダーの5000円のゲームの制作費に相当します。

わかってはいた。なかなか絶望的だなあこりゃ、と思いました。


ただ、様々な仕事に忙殺されながらさらに重苦しい時間が経ったころ、
西山から「一応当たりを見つけた」という報告がありました。

国内生産。素材は「石膏」でどうか、ということでした。

コストを聞くと、未だ高くはあるものの70円という基準よりはぐっと低く、
そして海外でなく愛知で生産できる、という好条件でした。
何より石膏と言えば鉱物ですから、石材と言って差支えない。
これ以上の打開案は無い、と思いましたので、それで行こう、と私は即決しました。
西山が生産をお願いする「瀬戸石膏組合(http://www.aiweb.or.jp/kumiai/C053/)」さんの
現地まで伺い、製作物の用途について話し合い、着色は可能か、強度はどうか、
納期はコストは、という打ち合わせを行いました。結果、苦しいが行ける、となりました。
クオリティも質感もありましたが、それ以上にぱっと見のイメージよりはずっと
丈夫なのが大きかった。ご購入のお客様にお試しいただくわけにはいきませんが、
テーブルから床に落としたくらいでは割れないです(勿論落とさない方がいいです(笑))。

ただ、問題は色。石膏は基本的には白です。複数の顔料を混ぜるなどして着色を試みたものの、
やはりそれで石完成とするレベルまでは難しい、という結論でした。

ということで、結果としては…久しぶりに、「ぼくらの火星」と同じ方式が取られることになりました。
つまり、複製した石膏を自分たちで塗る、ということです。行きますよー西山・関の地獄のお家芸!

まず自社で原型を制作し、それを元に10個ほどの先方の型作りの元となる親を作成。



パテとウッドチップを組み合わせているそうです。これを25種。
(本当は山田さんが作ったのを含め50ほどあった原型から見た目・バランスから25種選抜してたり)
これをシリコーン型で10個ほど複製し(つまりこれだけで250個)、工場に納入。
この各10個をさらに複製で増やしてもらうわけです。
マスターの原型からすると孫世代が実際の枯山水の内容物になるということです。
ちなみに250個複製の時点で、工房となったタチキタプリント内はさながらシリコン地獄、
石膏地獄になってました。

次に先方工場での生産です。石膏なので複製の後乾燥(屋外で並べて干す)
などの工程を経て、届いた物を塗装します。



弊社お抱えの塗装職人・関(ホントはDTP担当)が一つ一つ丁寧に塗り上げます。
番号はそれぞれの石の塗り手順をバリエーションを変えて指定しているため、個体識別用です。



色は山田さんの応募作を踏襲して、リアリティとフィクションのバランスを考えてます。
(あと塗る手間を削減しつつバリエーションを出しているという話もあります)
信じられないですが、数時間でこの量(と言っても9セット分ですが)塗っています。



完成です。僅かな差はあると思いますが、このような石膏を塗装した石が枯山水に入ります。
原型は敢えて山田さん作・西山作・関作を混合してます。


石の種明かし、こういうことです。ちなみに散々ネタにしている余談ですが、
この石25個のコスト、塗装前の時点でモダンアート日本語版1個(3000円)のコストを上回ります(笑)。
売価6000円は無理でしたが、西山の血の滲むようなコスト削減バトルにより、
税抜7500円のラインを死守した格好です。というか実際は、発表直前まで売価10000円で9割決めてました。
自分は全然高くないと思ってるんですが、あと山田さんも10000円とか全然いいんじゃないですか、
と仰ってましたが、それでも何とかより多くの人に遊んでいただきたいので最終的に下げました。
(ホントは塗装済み10000円、未塗装7500円にしようと思ってましたが統一しました)

どっちにしてもたくさんの人に買ってもらえないなら、守りに入って、
絶対に買っていただける方々におすがりして10000円の方が、
自分たちの安全はいくばくか計れます。ただそれじゃあつまらないですし、
いつも一番応援していただいている皆様に顔向けできません。
自分たちは最高のボードゲームを作っていると思ってますので、
できるなら多くの皆様に遊んでいただきたいのです。
税抜7500円という値段は、要は切りよくする為(税込8100円になって下二ケタ00になるから)
に過ぎませんが、高価格帯ながら一応一般的なボードゲームの値段になってると思います。

あと一点、「ぼくらの火星」と違うのは、これは売れればちゃんと儲かります。
手塗りが入りますから生産は少しずつしかできないですが、卸でも何とか出せる原価です。
それが4年間での少しの、しかし自分たちには大きい進歩ってことです。

あと重要な話ですが、10月29日現在、塗られている石は写真に写している9セット分で全部です(笑)。
この所の悪天候で工場での乾燥が終わらず、まだ複製物が届いていないのです。
ようやく明日300セット分、7500個届くそうです。

ゲームマーケットまであと2週間余り。関が塗り上げると言ってます。ホントかよ(笑)!
(多分ゲームマーケット前1週間くらいB2F閉めると思います)
今回自分は助手なんでお手伝い頑張ります。関は社内随一のペインターなので、
クオリティ維持の観点から本塗装はほぼ全部関が行う予定です。

うーん、石の話しかしてないのに、既に頭おかしいなあ。困ったもんだっはっはー。
次回は他のコンポーネントの話、あとできればアートワークの話に行きましょう。

ニューゲームズオーダー、完全新作ボードゲーム「枯山水」の話。その3。

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  • 2014/10/22 11:59 午後
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枯山水出版にあたっての、作者である山田さんとのお話し合いは、
勿論様々な目的がありましたが、その中で1つ「製品仕様の大枠を合意の上決める」
ことは最重要課題でした。これは、こちらから一方的に
「予算の問題があるのでこうさせてもらいます」という向きの話ではありません。
そのようにする会社はいくらでもあると思いますし、一つのやり方だとは思いますが、
自分たちのやり方は真逆です。山田さんが「枯山水」を作るにあたって、
何を大事にしていて、何を譲れないと考えているのか。応募されてきた枯山水を遊んで、
自分たちはそれを強く感じ取ったつもりでしたが、その感じたことを、
改めて山田さんご自身の口からお聞きする必要がありました。
そうしなければ、自分たちのあずかり知らない所で、理由が説明できない所で、
ゲームの魅力というのは抜けていってしまうものです。
自分達は山田さんのデザインの「感覚」を買って大賞に選出したのですから、
その山田さんの感覚に背くことは、少なくともリスキーなことですし、
それ以上に今回の制作の主旨に反する。仕事でゲームを作っているからって、
そのゲームがなんで面白いのか、全部わかったつもりになってはいけない。

…改めて書くと、毎度の高楊枝ですが(笑)。特に西山と私は、話し合いに当たる前に、
枯山水の内容物のコストや生産の厄介さについてかなり予測、分析していましたし、
その上で私は、目標とする販売価格を決めていました。

「税込6000円」で作ると。

そこが一つ、予算額を上げつつも、高価格のゲームの販売で勝算を持てる上限であると、
自分は考えていました。

…ええ、発表の通り、結果税抜7500円、税込8100円になってるんですが(笑)。はっはっはー。
その理由は読み進めていただければわかると思いますが、この時は、
(至難であることをびしびしと感じつつも)滅茶苦茶真剣に、6000円で作ろうとしていたのです。

だから、話し合いが仕様の段に至って、自分が山田さんに最初に聞いたのは以下のことでした。

「私はこの枯山水、売価6000円で作りたいと思っています。だからこそ念の為聞きます。
石を、木の駒とか、コストが計算できるアイコン的な内容物にすることは有り得ますか」

ということでした。


このへんで御説明すべき事だと思うのですが、東京ドイツゲーム賞の際、
一次の書類審査を通過し、実際に私達が候補作を遊んで審査する二次審査に至って、
山田さんが送ってきた枯山水のサンプル品は、私達の目を強く引きつける物でした。
ボードは、絵柄こそ歴史文献を複写した物でしたが、こだわりを感じる手作りをされていましたし、
タイルも丁寧な手作りでした。そしてそれ以上に、コンポーネントの中核を成す「石」。
お聞きしたところでは紙粘土で一つずつ作られて塗装されたということでしたが、
これが非常に魅力的でした。リアルとは違うんですが、「こんな石あるのかも」
と信じさせるような形と色合いで、程よくカラフルに、それでいて「それっぽく」塗られていました。

東京ドイツゲーム賞では、「コンポーネントの出来は問わない」という話ではありましたが、
一方で面白いゲームを具現化しようという強い意欲は、違いを感じさせるのに十分でした。
自分のゲームをより魅力的にしたい、その為に手を尽くしたい、その欲が貴重なのです。
しかもその石は、ただ豪華にする為の贅沢品ではなく、ゲームの魅力を大きく増しながらも、
ゲームの遊びやすさを支えている。加えて、サイズ感や視認性も適切でした。

ボードゲームデザイナーと一口に言っても、ゲーム作りに占める活動範囲は人により様々です。
ルールだけに専念して後は全て他のスタッフに任せるタイプの人もいれば、
ゲームが最終的にどのように遊ぶ人たちに受け止められるか、という所まで考える人もいる。
山田さんは後者としての資質の持ち主なのだということを、自分は感じていました。


私の質問に、山田さんは「それは困ります」と即答しました。「だって、それは駄目でしょう」と。
山田さんはさらに説明してくださろうとしてましたが、私には説明は不要でした。
その返答が、完全に予想通り、期待通りだったからです。
やはりこの人は、何となくでこの石を作ったわけではない。
いや、それこそ何となくなのかもしれないけど、それが直観でも、「絶対こうすべき」
という確信を持っている。そしてその確信は正しい。そのセンス素晴らしい。

…ゲームデザイン上は。

商業上は、≒最・悪・です!!商業死んだ!今死んだよ!
なんだーコストとクオリティのバランスってなんだー!うわーマズイ。駄目だ。予算収まるわけない!

頭の中では黒々と、この後の展開の厳しい予測と「いきなり詰んだかもしれん」という
絶望がありましたが、それは覚悟していたことでもありました。私は山田さんの説明を遮って、
「いえ、わかりました。何とか石の方向で行きましょう。行くしかありません」と言いました。
西山の方を見ると、これまた予想通りの激烈な苦笑を浮かべてました。
「はあああああ、地獄コース確定かああああああ…」と西山が深ーい溜息を漏らすのを聞いて、
私は「そうだねえ」と言いました。NGO勢は(散々一緒にゲーム作ってますから)
皆その意味がわかって暗澹たる雰囲気になっていましたが、
山田さんには伝わっていないようで、一人きょとんとしておられました。

素晴らしい、その我関せず感、デザイナーの資質がある(笑)!

と思って笑うしかありませんでした。秋ゲームマーケットまでは僅か5ヶ月、
それまでに石を初めとした問題山積のコンポーネントをコストを抑えてクオリティを持たせて生産し、
魅力的なゲームとして作り上げ、皆様をわくわくさせてたくさん売らなければいけない。
なるほどーわかった、やってやるさ!!


…ということになった後の私達の地獄の行軍の話は、書くと無駄に長く苦しいので、
次回端折って書きます。次回は出来上がり(予定)の内容物、写真とか付きでご紹介しまーす!