2019/07/18 04:30 午前

2013年組の増刷仕事到来。

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  • 2019/07/16 03:37 午後
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先のゲームマーケットから発売したスクエアオンセールがお陰様で良いペースで出荷できておりまして、
さて次のボードゲーム仕事は…、と見渡すと、考えるまでも無くラインナップのいくつかが品切れになっている状況でして。

・古代ローマの新しいゲーム
・フォルムロマヌム
・ビッグチーズ
・ナゲッツ
・ボツワナ
・ゴーストップ

といったタイトルが、実は軒並み品切れもしくは品切れ間近です。
品切れは対応しなければいけない課題なのですけども、上記のゲームが品切れすることには一定の感慨もあります。
これらは2012年から2013年頃に発売を始めたものだからです。
2014年にモダンアート等で日本語版出版を本格化させて、さらに年末に枯山水を出してからニューゲームズオーダーが軌道に乗ってきた、
というのはそうなんですが、2012年~13年の、製造と販売のサイクルを(割と色々無い所から)生み出した時間というのは、
その基礎になっていることは間違いありません。
2012年に出した古代ローマやフォルムといった所は1回で1000部の生産でした。
それに対し2013年のビッグチーズ・ナゲッツは3000部生産。
この3000部がすぐに完売しなくても、継続的に売れていって、いつかは売り切れて、そうしたら増刷して…。
そういうタイトルを同時にたくさん持っていけば、ゲームメーカーはできるようになる、
という(希望的観測を大いに含めだ)仮説が、自分達の方針の根拠でした。

ビッグチーズやナゲッツの3000部生産を決めながら(3000部にしなければ販売価格とコストの面が合いようが無かったんです)、
一方で「本当に全部売れるんかねこれは…」と我ながら思ってましたが、そしてその予想通りそうそう一気に売れてはいきませんでしたが、
リリースから7年目にして各3000部がほぼ売り切れました。
国内でのボードゲームの普及が進んだ後に発売したタイトルは、その勢いを受けて好調に売れたものがいくつもありますが、
まだまだ無風か微風だった頃に出したこれらが売り切れたのは、じんわりと良かったと思っております。

とは言え、これを増刷するのもそれなりに苦労のある一仕事なのですが(笑)。
売り切れて欲しい気持ちもありましたが、売り切れちゃうとしんどいな~なんて一方の本音もあり。
権利関係上ボツワナのリストックは難しく感じているのですが、その他は増刷に着手していきます(あるいは着手しています)。
なお実はフォルムについては、クラマー側との話し合いで次回の増刷でいったんラスト、ということになりそうです。
「その内買おうと思ってた」と言う方は、次回増刷時にご購入いただくのがよろしいかと思います。
(そういいながら増刷分出荷再開時期が未定ですが…)

スクエアオンセールのお話、その3(いったん終わり)。

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  • 2019/06/27 05:57 午後
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さて!随分と間が開いてしまいました(笑)。お陰様でゲームマーケットでスクエアオンセール発売の後、一般出荷も開始できました。
皆様にお楽しみいただけているのかな、という感触はありますので、一つ肩の荷が降りたかなという気分ではあります。

前回の続きの話になりますが、ニューゲームズオーダーでのスクエアオンセール製品化の話については、
橋口さんにお声掛けしたのは2014年…というあたりの話でしたね。発売まで、長らくかかりました。
その理由は…ということなんですが、一口に言うと「出すのがずっと難しかったから」ということになります。

ご存知の通りニューゲームズオーダーでは、2014年に枯山水を出して以降も色々とゲームを出版してきました。
その出版に持っていくまでの判断というのがNGOで自分の最も大きな役割ということになると思います。
自分が何をやっているかと言えば、「このゲームをこういう形で商業出版したら各方面に良いのではないだろうか」
ということを(割と誰に頼まれるわけでもなく)考え出して、何かしらの手がかりが頭の中に生じた所で具体化して、
製品化にこぎつけるという仕事なのですが…、その「これなら製品化、行けるかな?」という感覚が生じたものしか製品化していません。
というかできないんですね。何せゲーム出版、売れればお金増えますが、売れないとお金無くなっちゃいますからね(箱だけが大量に残る)。

ごく簡単に言ってしまえば、買って遊ぶ皆様が「喜んで買える」製品を作ること。
加えてそれが、自分達に収益ももたらし、ボードゲームというジャンルにとっても良いことだと感じられるということ。
買う側と売る側のメリットを併せ持ったものが作れれば製品化できる、仕事になる、ということなんですが、
言うは易しで、えらく難しいんですよね。
「とても良いゲームだけど、今製品化して仕事レベルの収益を上げるのは無理かな…」というゲームは枚挙に暇がありません。

スクエアオンセールについては、「メーカーとなった以上自分達で出版する」という課題については、
それこそ2014年より以前からずっと感じていたんですが、ずっと難しかったですね。難しいゲームです。
内容物が多くてコストがかかるものだし、テーマがあまり具体的でないのでその部分で魅力をアピールする間口を作るのは難しい。
そしてルールが生じさせるゲームも独特なので「どういうゲームですか?」と「一言アピール」を求められると、正直ほんと困る。

きょうび、この「どういうゲームですか?」という質問に体のいい回答のできるゲームが、商業的には優等生、という結論は出ているんですよね。
一言アピールの文句がイイ感じであれば、内容がそこまでメッチャ良くなくても売れる気がします。
その点言うと、スクエアオンセールは問題児でしかない。
一言じゃ説明できないもののやっていただけばわかるかと思います、というゲームなので。

2014年当時、具体的な出版に向けての動きを始めたのは「いい加減着手しなければ…」という思いもありましたし、
橋口さんが(自主的に)デザインしてくれたゴー・ストップを行きがかりで製品化させていただけた勢いを
スクエアオンセールにも転化させたい、という思いもありました。
「+αの力が無ければ、このゲームはずっと出せないんだろうなあ」というのが自分が持っていた感覚でしたので。

ただそこからも随分時間がかかりました。特に弊社側の出版スケジュールの事情もあって制作は断続的になり、
橋口さんにもご迷惑をおかけしました。
どうしても「良いゲームである上に収益が期待できるもの」が常に優先順位が先になり、それさえいつもギリギリでやってきました。
その中では、(常に考えていたものの)スクエアオンセールはずーっと後回しになっていました。
会社存続の上で、これは自分のやる気でどうにかなるような話では無く、どうしても優先順位を上げられる方法が思いつかなかったですね。
「出したけど全然売れないね、やんなきゃ良かったねアハハ」ってわけにはいかなかったですしね(笑)。

そんな感じで、ずっと徐行制作状態だったスクエアオンセールの出版に具体性を持たせてくれたのが、橋口さんにいただいたパッケージの案でした。



これを見た瞬間自分は「やっっと出せるわー!」という感覚を得ました。助かった!というのが率直な感想で。ホント有り難かったです。
ずっと商業的な実像を結ばなかったスクエアオンセールが、ようやく姿を得たというのがこの箱のデザインです。
買う方に「これ、欲しいな」と感じてもらえるスクエアオンセールの箱って、一体どんなんだろうな~、
と暗中模索してきて幾年月という状態だったのですが、橋口さんにこの画像をお送りいただいた時「答え出た」と思いました。

素人目になりますが、このパッケージ、スクエアオンセールの「難しさ」と「楽しさ」の両面を、
最高に上手く表してると思うんですよね。「悩ましいけど楽しい」という以上に、「悩ましいのが楽しい」んだよ、というか。
「ボードゲーマーの頭の中」みたいなものを表しているのに、それでいてパッと見てもらってもカラフルで感じよく…、
ボードゲームを、ああでもないこうでもないと、うんうん言いながら遊ぶことそれ自体を、全面肯定してるような。

他のコンポーネントや、箱のサイズや、価格や、そういったものは、この箱を軸にして決めていった形です。
「この箱に入っているべき中身」というのを考えて作りました。これでめっちゃもうかる!とはやっぱり思いませんけどもね(笑)。
何とか出せる、総合的に判断すればNGOのラインナップに加えられる、そういう所まで、ようやくこぎつけることができました。

日本語版ということに限っても、びっくりする位たくさんのボードゲームが出てくるご時世になりましたけど、
こういうものは正直無いと思います。無くなってしまってるのかなと。
今回書いてきたような、「会社がソロバンはじいた上での通り一遍のボードゲーム出版」というものには、
1個限界来てると思ってまして。
なーんか絶妙につまらなくなりますよね。
(NGOというのはだからこそある意味意図的に、そういうことを頑張らないようにしていますが)
「仕事として考えるとまあこうなっちゃうわけです」という出版からは一層距離を置いていこう、
と思っておりますし、そのことを一つこのスクエアオンセールで示せたんでは無いかなと。
6000円が高いとお感じであれば買わないで良いのだろうと思いますし、
面白いボードゲームが欲しいという方にとってはお財布の中の6000円より明確に価値の高い箱なのではないかと思いますので、
当面売り場の一角に置いておこうと思います(笑)。

ということで一旦以上です。スクエアオンセールね。自分はもう、自分用かなと思うほど面白いと思ってます。
うんうん悩んで馬鹿笑いできるボードゲームです。…お、売り文句浮かんだ(笑)。ということでよろしければどうぞ。

スクエアオンセールの一般販売予定とルールブックの若干の修正につきまして

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  • 2019/06/06 04:09 午後
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ゲームマーケットが終わってからあっという間で、しばらく時間が空きました。
本日は書いていたスクエアオンセールの話の続きではなく連絡事項…ということで、

・スクエアオンセールの一般販売用出荷を6月10日頃開始します
・一般販売にあたり説明書の文言を若干調整した物に差し替えています

という2点になります。
出荷については現在取り扱い店様にご案内していますが、2点目のルールブック修正につきまして。

・5ページ目3行目 ×「1つ選んで置けます」→〇「1つ選んで置きます」
・5ページ目[手番を飛ばしてしまった場合の対応]…上記に伴い文言一部削除
・6ページ目のQ&Aの項目を2個追加

ということになります。ゲームプレイに大きな支障がある修正ではございませんが、一般出荷分からは説明書が差し変わっております。

http://www.newgamesorder.jp/games/squareonsale

上記のウェブサイトにあるPDFも変更したものに更新しております。
ご確認いただければゲームプレイ上の問題はほぼ無いかと思いますが、ゲームマーケットでスクエアオンセールをご購入いただいた方で、
修正後のルールブックをご希望の方はinfo@newgamesorder.jpまで「スクエアオンセール更新説明書希望」の題名でメールをいただき、
お送り先郵便番号・ご住所(建物名部屋番号まで)とお宛名(表札か郵便受けにご記載のもの)をお知らせください。
更新した説明書を郵送させていただきます。
なおこちらの郵送につきましては、2019年7月31日までにいただいたメールまでの対応とさせていただきます。
1か月余りで締切となりますのでよろしくお願い致します。

スクエアオンセールの話、その3。

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  • 2019/05/24 09:20 午後
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さてゲームマーケット前日ですね!社内も出展準備でただ今バタついております。
年を経て用意しなければいけない物品が非常に増えまして、会場への搬入に見落としが無いか~、みたいな話が大方ですね。
この期に及んでスクエアオンセールを持ってかない、みたいなやらかしは流石に無いと思いますが(笑)、忘れちゃいけない物が細かく色々と。
2日開催になってスタッフのスタミナ配分も難しくなりました(1日だけの参加にしたいという本音)(あと年1回の方が良いのではという本音)。

スクエアオンセールの発売発表後、お陰様で結構ご反響いただいております。有難うございます。
昔話以外の話題でいうとタイトルの表記の件、当時は「スクウェアオンセール」だったかと思います。
(「スクウェア・オン・セール」だったかもしれない)
今回橋口さんにパッケージをご作成いただいたものを拝見したら「スクエアオンセール」となっていました。
沢田に「正式名称はスクウェアだっけ?あと中黒は入れるべき?」みたいなことを聞いたら「別にどっちでも良いです」
という大らかな返答があり、結果スクエアオンセールになってます。


さてそれでは、昔話の続きを…ということですが、昨日も書いた通りここからは以前にも皆さんの目に触れてきた部分が多いでしょうかね。
西山に製造を任せ、しかしいったいどうなるものなんだろうと私も沢田も見守っていたわけですが、
仕様の要望や予算、ゲームマーケットの日程から生じる期日、といった課題を設定された後の西山は、
てきぱきと実務を進めていきました。自分としてはミーティングの日程を調整して、その度毎に西山に進捗を報告してもらい、
課題や沢田からの要望(そしてもちろん自分の要望)を出してそれをフィードバックして…、という手順。
話し合いもスムーズに進み、自分としては嬉しい誤算というか、「おお、立ち上がりから結構良いチームワーク」という感想でした。
沢田たちからすると、「この西山さんという人は、自分達が持たない方法論で動ける人なんだな」という信頼感を醸成する時間でした。
なお一言言っておきますと、この時点で「報酬」みたいな概念は全くありませんでした(笑)。
当時のゲームマーケットの状況ではそんなものはあるわけもなく…「ゲームが売れて儲かったら…」みたいな仮定の話がまずありませんでしたし、
西山にこれを依頼して、やってもらったからいくら払って…みたいな、そういう話題自体が無かったし、
全員それで当然だと思っていた気がします。
まあ自分以外全員学生だったというのもありますが、報酬5000円みたいな範囲でギャラ交渉みたいなことしても時間の無駄だし、
とにかくゲーム作って売れてから考えましょうや、という気分でした。
何よりの報酬は「ボードゲームを作る」という冒険への参加と言いますか…。

着手早々チームとしては順調に機能し始め、それは手ごたえはあったんですが、
一方でやろうとしていることの難度ははてしなく、「頑張ってはいるんだけどお話にはならん!」という状況が続きました。
何といっても大ボスは国内で製造できる工場を探した木製駒で…、予算とコストの開きがもう酷かったですね。
とりあえず駒1個あたりにかけられるコストを仮に「10円」と設定し、西山が作ってもらえそうな製造業者を見つけては見積もりをお願いする、
という感じだったんですが、最初の段階で「80円」という返答が来た時の絶望感は忘れられません。8倍(笑)。
かなりしんどい状況だったんですが西山がひたすら探し回った結果「13円」でやってもらえる業者さんを見つけ喜び。
…ただその13円、というのは、向こうの業者さんが納品を躊躇する位、本来入れねばならない工程をすっ飛ばしたもので、
当然ニスもかかっていなく色ムラもあり、加えて乾燥時間が不足していて納品してきた時点でしっとりしている、という有様。

当時西山から預かったサンプルを、新宿に呼び出した沢田に見せた時の沢田の「う~ん…」という反応。忘れられません。
何せ30分「う~ん…」しか言いませんでしたから(笑)。一方にはずたぼろで何とかここまでこぎつけた西山の姿が見えていて。
目の前には「これじゃいかんよなあ…」と思いつつもそれを口に出すことも躊躇われる沢田の姿があって。

「ギリギリのコスト計算で1個10円!」と言って作った駒がどう逆立ちしでも1個13円(三割増し)で、
しかも出来が全然満足に及ばないという現実。自分のボードゲーム作りの出発点はこの風景にあります。
スクエアオンセールという面白いゲームが身内から出て、ここに一個巨大なアドバンテージがあってもなお、これだけ理想と現実の開きがある。
今思い返すと…、スクエアオンセールというゲームは必要な駒の数が非常に多くてですね(笑)。
当時自分は「ボードゲームを生産するってなんて難しいんだ…所詮自分達には無理ってことか」
と悩み苦しむ日々だったんですが、2019年現在コスト計算した感想が「おいこのゲームめっちゃコスト高じゃんか!」という…。
当時の自分達が単純に力不足だったからというだけでなく、元々作るのがしんどい部類の仕様だったんですね、このゲームは。

ただその時は、沢田のOKがはっきりと出ないまま、その13円の駒でのリリースに進みました。
沢田には30分後「自分としては、これで出すから。文句が出たら、吉田の判断だった、吉田の責任だと言ってくれ」と言いました。

不格好でも、現実を受け入れて前に進まなければ。そうしなければ何も起こせない。
このゲームを遊んでみてもらいたいから、力及ばなくても、まず遊べるものとして発売しなければいかんわと。
本気の本気で全力尽くしたら、小規模でもとにかく世に問うて、課題についてはまた次回頑張ろう。
そういうことだなあという確信が、この2005年のスクウェアオンセールを通じて、自分達に刻まれました。
色んなものが足りない中で何とかして良い形のゲームを出そうとしますと、選択の幅ってのはほとんど無いんですよね。
選択肢を増やせる余裕、その力の源というのは、発想であり、スキルであり、チームワークであり、実績、信用、販売力であり。
未来に違いをもたらせるほどの力を、どっかから呼んでこなければいけない。
今自分達の元にその力が無いのであれば、グループとしてその力を求め続けながら、生き残らなければならないし。
終わりが来る前に力を呼ばねばならないし、そうまでしても続けようという動機がある集団でなければならない。
ボードゲーム作り、なかなかたいへんな作業だと思います。


で、何とか2005年のゲームマーケットで販売できる方向に向けて仕事いったり学校行ったりしつつ、暇を見つけては集合し、ガリガリと進めて参りました。
何とか生産した駒は塗料が生乾きでしっとりしていたので、メンバーの一人山根宅の網戸を外して横に渡し、その上に1個1個ビル駒を立てて乾かす、
みたいな作業を延々とやりました。春先で、乾燥を早めようと外に向けて戸が開け放たれ(ざるを得なかっ)た部屋は寒くて、
悲鳴を上げながら駒作業しましたねえ。
そして1セットずつ駒を詰めていく作業中、沢田が「この作業する人の給料は安くちゃだめだよなあ」と言ってたのを思い出します。

そんなさ中のゲームマーケット直前、1週間前位でしたかね。


https://toccobushi.exblog.jp/1774527/

集まった時、「ヒポダイス、大賞取りました!」という沢田からの言葉。嬉しかったですねえ。「まあ、そうだろうなあ!」と言いましたが。
上の通り沢田に「とにかくこれは宣伝はしとこう」と言ってブログに書いてもらい、当日持ってったら即完売しました。
自信はありましたが、驚きましたねえ。開幕直後、右の方からボードゲーマー達が僕らのブース向って全力ダッシュしてくる衝撃の風景、忘れられません。
(多分当時は開幕ダッシュ禁止という概念が無かったのですね…不要でしたから)

https://toccobushi.exblog.jp/1830568/

この後、ドイツ・エッセンで沢田が作って少し売ったり、ということがありましたが、正式に製品化…という話に進むには、長い時間を要しましたね。
2006年に吉田西山でビーツーエフゲームズとして起業し立川で店を始め、
2007年にエレメンツ・くいずですという形で初めてカードゲームの製品を出し、
2009年に問屋としてニューゲームズオーダーを始め、
2010年に「ぼくらの火星」を作ってエッセンでブース出展販売、
2012年の春にファブフィブを発売して問屋からメーカーへの重心移動の試み開始、2012年秋に古代ローマの新しいゲーム発売、
また2012年から2013年にかけ「第1回東京ドイツゲーム賞」を開催、という形で一つ一つ進めていきました。
ちょいちょい言ってることですが、ゲームの公募コンペをやらないかという沢田からの提案を自分が受けたのが東京ドイツゲーム賞で、
もちろんこれは「日本にもそろそろヒッポダイス的なやつあった方が良いだろうねえ」みたいな話から出たものでした。
おいそれと面白いゲームは来んだろうと高をくくっていたら枯山水と曼荼羅が来て嬉しい誤算となり、
メーカー本格化のため契約して準備していたモダンアートや交易王といった現在のNGO主要タイトルのリリースを連発し、
11月末のゲームマーケットで枯山水の発売にこぎつけたのが2014年でした。これももう5年前になってくるわけですね。
ここらへんの話は折に触れこのブログにガッチリ書いてきたので(最近はなかなか更新しませんが当時は勤勉に書いてました)
ご興味ある方は検索して読んでみてください。
ぼくらの火星の話とか、枯山水の話とか、我ながら結構面白い気がします…というか面白く書けるようにゲーム作りを進めてきてます。


で、2014年の流れの中で同じく沢田作の「ゴー・ストップ」を出す流れになったわけですが、そのきっかけをくれたのが橋口貴志さんでした。

http://www.b2fgames.com/article.php?s...2161202194
http://www.b2fgames.com/article.php?s...2180553216
http://www.b2fgames.com/article.php?s...4141942997

という感じで。で、このゴー・ストップをリリースした後、割とすぐに橋口さんに
「実はスクエアオンセールのアートワークもお願いしたいと思ってるんですが、いかがでしょう?」
というお話をしていました。2014年中の話です、なんと(笑)。
時の経つのは早いもので、足掛け6年になってしまい、橋口さんには気長にお付き合いいただき、本当に感謝しております。

と、ゲームマーケット前に書けるのはここまでということになりそうですが、
先刻何とか無事スクエアオンセール在庫が会場に向けて輸送手配された模様です。
とりあえずゲームマーケットにお越しの皆様とは会場でお会いするとしまして、
ゲームマーケット後に続きを書かせていただきます。よろしくお願い致します。

スクエアオンセールの話、その2。

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  • 2019/05/23 02:42 午後
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気付くともう明後日にはゲームマーケット当日!スクエアオンセールの話、続きを書かねばなりませんね(笑)。
私吉田が西山に製造担当の白羽の矢を立てた経緯、その理由…ってことですが。

先日書いた通り、私は新宿のイエローサブマリンの地下1階のウォーハンマー専門フロア、通称「地下サブ」の担当者でした。
その前はMTG等を扱っている標準的な店舗で勤務してたんですが、その店が閉店することになり、
元々私が数年中には会社を辞め起業するつもり、ということを知っていた当時の上司Aさんが、
「普通にカードショップに異動するか、ウォーハンマーのフロアに行くかどっちがいい?」と希望を聞いてくれたんでした。
当時のイエローサブマリンではボードゲームの仕事など無いに等しく(笑)、まだしも新しいゲームジャンルについての見聞を広げたい、
ということで「ウォーハンマーの方でお願いします」と答えたのでした。

ウォーハンマー担当の勤務はどう考えてもイエローサブマリンの平均的な店舗業務とは異なるもので、言わば
「ゲームズワークショップ流」の対面接客を取り入れて、いらっしゃるプレイヤーの皆さんとコミュニケーションを深めつつ販売する、
という「街の模型屋の親父」的なやり方で取り組む仕事でした。
元々しゃべるのは全く苦手ではないので、ここに自分流のやり方をミックスさせながら働くことができ、
ウォーハンマーのプレイヤーの皆さんと顔見知りになっていきながら取り組んでいったいきました。

西山は、その店のお客さんのなかでも最年少といっていい一人でした。
多分初めてしっかりと存在を認識したのは自分が24、彼が19の頃だったかと思います。
当時彼はウォーハンマーの大きなゲームサークルのサブリーダーをやっていたようなんですが(本当に詳しくは把握してなかったですが)、
サークル内のイベント開催やら様々な調整の役割でにっちもさっちもいかん、みたいな感じになってまして…。
周りの年長のプレイヤーからはしばしば「西くんがやるって言ったこといつまで立ってもやってくれなくてうんぬんかんぬん」
みたいなクレームめいた話を小耳に挟み、彼が来店した時に「●●さんたちからこんな話がありましたよ」と知らせたり。
思い返すと当時の彼は、今と変わらず色々な頼まれごとに忙殺されていて疲れ切ってる風でした。
三つ子の魂というか、彼の現在のタチキタプリントの仕事ぶりと根本は同じというか(笑)。
何かと「良いですよ、俺がやりますから」と厄介ごとを(自分のキャパ以上に)しょいこむ性分で、
なまじっか小器用に(彼が当時自分を指して「小器用」「器用貧乏」とよく言っていた)できてしまうものだから、
周りの調子のいい人たちは色々なことをどんどん彼に押し付ける形になっていたりもし(笑)、
でも結果やり切れなくて空手形となりモメる、みたいなあまり心躍らない渦中にいました。
「あんまり色々安請け合いし過ぎない方が良いんじゃないですかね…」という自分の忠告を、彼は楽しくなさそうに聞いてたものです。

聞いていると西山は「自分としては製作系の専門学校に行っているので将来的に卓上ゲームとかホビー関連の仕事がしたい、とは思ってるんですけど…、全く口が見当たらない。自分絵も下手だし劣等生なんで」
と言っていた。
イラスト等の授業も学校ではあるけど、自分はクラスで一番下手な部類だという。
どんな感じなんですか、と見せてもらうと…まあ…、「確かに」と思ってしまう感じでした。
少なくとも、明らか才能があるようには見えなかった。

「デザインとかイラストとかでは勝負できないんで、造形のことを勉強したり製造関連の知識を入れたり、細かく動いてはいるんですけど…(溜息)」

といった、出口が見えない相談を聞いたりしていたのでした。
まず、西山に特別際立つ才能があるようには、(本人が繰り返しそう言ってましたが)見えなかった。
あと性格的にも相当悲観的と言うか、エンターテインメントに従事するにはちとネガティブ発言多すぎないか(笑)、
という印象も自分にはありました。
まず彼の専門学校卒業後の仕事の口が見えない、という話自体無理もない話で、そもそもその当時、
製作系専門学校を出てホビーゲーム製作の職場に入る、という「前例」自体が無いと言って良かったと思います。
人材としてのニーズが具体化していない。誰かにそういう仕事をしてほしい、という発想を持っている人自体がぱっとみ見当たらなかった。
仕事に就くというより、仕事を創造するというレベルの話で…「普通に考えて無理っぽくないか?」と。
彼はそんな中、手がかりを探し方々を当てもなく歩き回っている、というような状態でした。


スクエアオンセールの話が始まった時、自分は西山のことを思い出したのでした。
「儲からなさそうなボードゲーム」と「儲からなさそうな就活生」を掛け合わせて、何かを始めることはできるだろうか?

西山を知る(そして自分のボードゲームメーカー設立の意向を知る)他のお客さんたちにこのアイデアを話すと、
大方は「うーん、西くんで大丈夫なの、吉田くん的には?ちょっと心配になるけど…」という反応でした。
自分としても、わからなくはなかった。人のことを言える立場じゃないですが、なかなかとんがった若者だし、すぐ自暴自棄な発言するし…。
自分としても、躊躇われるところはあったんですが、ただ自分が「いや、やっぱり西山さんと組むしかないな!」と思う絶対的な点が一つありました。
それは、自分が最も大切で、強みに感じた、西さんと自分の共通項でした。


それは、彼が「悔しさをごまかさない、悔しさを噛みしめている人間」」だったということでした。
彼は「自分はうだつが上がらない人間だ」といったことをいつも言っていた。「だから人の何倍もやるしかない」と。
「ウサギとカメで言えば自分はカメ」みたいなことを口にする人はよくいますが、西山を見る限りにおいて、本当のカメはそうそういない。
そういうことをいう人は大抵「足が遅いだけのウサギ」だなと。
彼のように、本当に何倍もやってウサギに追いつこうとするカメを見たことは無かった。
そのカメが全速力でのろのろ走るときの形相を、他に見たことが無い。
「そのスピードじゃ、何倍やったって追い付けやしないよ」という、世の中全体から聞こえてくるような声に、一向に耳を貸さない。

「うるさい、今に見ていろ!死ぬまでやってやる、死んでもやってやる、やれる限りをやってやる!」

それだけで動いていた。

彼のことを良く知るにつけ、「珍しい若者だ」と自分は思いました。「そこだけが、自分に決定的に似てる」と。
イエローサブマリンの売り場の中で、ほぼオマケで置かれているかのような、利益をほとんど期待されてない存在の、ボードゲーム。
社内で「ボードゲームの扱いってもう少し大きくなっていかないんですか」と聞いても、
先輩たちの答えは「ボードゲームで店出来る程の利益出すのは無理だね」という断定的なものでした。
そしてその当時の自分には、それに反論できるような根拠のあるものは、何一つ無かった。
それが悔しかった。自分はボードゲームの面白さを、価値を可能性を、知っている。確信している。
ただそれを現出させる手立てが無い。糸口も見えない。そんなさなかでした。
根拠なんて無かったわけですが。
「必ずやってみせる。やってみせる!自分の命を薪にくべてでもやってやる!!」その時の自分は、その思いだけで生きていました。


「ボードゲームは絶対面白いのに全然広がってない、商売にならない。それを変えたいんです」
と言う構想、理想を本気で語った時、西山の反応は強いものがありました。
基本的に「このままじゃ我慢ならんからひっくり返してやりたい」という論法になるんですね、我々は(笑)。
自分の仲間の沢田が作ったスクエアオンセールというゲームがあって、これを99部作って売りたい。
このゲームには今までの状況を変えるかもしれない力があると、自分は感じている。
今まで以上のパワーをかけたいと思っているが、製造のノウハウがある担当者がいない。
今は仕事なんてレベルじゃないが、将来的には仕事にしていけないかと思って取り組んでいく。
仕事にするには、商品の価格と売れる数、その両方を何倍にもしていかなきゃいけない。
だから今回のスクエアオンセールは木製駒を自分達で製造手配して箱入りにして4000円にする。
西山さん製造やってくれませんか。今はウォーハンマーの、いわば遊びの活動をやめて、
仕事に繋がるかもしれないことに全力を投じるべき時間じゃないか…。

西山の答えは「…やってみましょうか(溜息)」でした。


この1、2年でニューゲームズオーダーを知った人達からすると、自分達がこんな感じの泥臭い
(というか泥そのもののような)成り行きで組んで現在に至ったということ、経緯自体知らない人もいたかもしれません。
元々自分達はゲームマーケットの小型ブースに居たんです。
というか小型ブースの島が形成されていった、とっかかり辺りの集団です。
小型ブース界隈で、一番目の色違った集団だったんじゃないかなと。
「上手く転がったら仕事になったりして…」なんて前提では無く、いつでも「仕事にするための逆算」をしていた。
仕事が欲しいという話じゃなく(仕事がしたいだけならボードゲームの仕事をしなきゃいけないわけではないですから)、
この界隈に仕事になりそうな規模と品質を多少なりと持ち込もうとしなければ、ボードゲーム専任の様々な係をフルタイムで置けない。
「大人がフルタイムで働いていられるレベルの収益性に向かわなければならない。理想のゲームを作ることをあきらめない限りにおいて、最短距離で」
これは自分の結論であったし、西山の望む未来というのは、この構想にフィットするものだった。
利害が一致したのです。

自分は西山と沢田たちサークルのメンバーを引き合わせ、「西山さんです。彼に製造やってもらいます」と言いました。
沢田は「はい。よろしくお願いします」という返答。西山「よろしくお願いします」
親交を暖めるような時間も持たれず、一同2005年のゲームマーケット出展に向け、スクエアオンセールの製造に着手したのでした。
この集団の社交辞令とか無駄が無い感じは、今にしても自分は好きですね(笑)。


というところで今日は切りましょう。
この後の2005年スクエアオンセール(あの時は「スクウェアオンセール」でしたか)の顛末については、
多分当時の沢田の記述なんかを掘り返せば出てくる気がしますが、それ以前の話を大体話しました。
いや~。こっからたいへんだったんですよね、ホントに!ちょっと次回書くまでに当時の記録探して次回リンクでも貼ろうかと思いますが、
ゲームマーケット後になるかもしれません。ともあれ我々の15年に渡る執念の総決算であるボードゲーム、
スクエアオンセール(こんな小奇麗になっちゃって、という沢田の言が先日ありました)、是非よろしくお願い致します。
うん、つまり全員買って!

ボードゲーム「スクエアオンセール」をゲームマーケットで発売します。

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  • 2019/05/18 04:13 午後
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http://www.newgamesorder.jp/games/squareonsale

ということで表題の通り、ニューゲームズオーダーの一員である沢田大樹が作ったボードゲーム、
古い人ならよくご存じだったりもする「スクエアオンセール」を製品版として発売します。
お待たせしました(笑)。2005年のゲームマーケットで初めて売ってから、14年経ちましたね。
バーコードが付いているスクエアオンセールをやっとようやく出せることになりました。
アートワークは、同じく沢田作のカードゲームであるゴー・ストップ以来のご縁でun&co.の橋口貴志さんにお願いしています。
箱のサイズは曼荼羅と同じです。

ゲームマーケットで販売開始し、会場価格は6000円を予定しています。
今回初版生産数は1000部だけでして…現状会場には500部ほど持っていく予定です(ブースに置ける数量の都合)。
検討はしたんですが(会場の電波状況等の関係上)今回ご予約は受け付けないことにしました。
当日のスクエアオンセールご購入は原則お一人様1点のみとさせていただく予定です。

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さて。…毎度ながら説明の切り出しに悩みますが、今回は特にそうですねえ。
このゲームをご存知ない方はさしあたり上のリンクに説明書のPDFダウンロードもありますので、
よろしければそちらもご覧ください。

話すと長くなるので最初にざっくりと言ってしまうと、作者の沢田は私吉田の中高の同級生でして、長らくのゲーム仲間でした。
今年私40ですから、25年以上ゲーム仲間ということになります。中3の時分、私たちはTRPGから卓上ゲームを盛んに遊び始めまして。
私がある日同級生のうち「これは」という四人を選抜して学校の図書室に呼び集め、「今後この五人でゲーム遊ぶから」
と言い放ってサークルを結成するという、なかなか電撃的なムーブをかましたのがきっかけですが(笑)。
そのうち一人が沢田で、少し後に「ドイツのボードゲームを遊んでみたい」ということで、
トライソフト版の「カタンの開拓者たち」を買ってきたのも彼だったと思います。
動機は当時のTRPG誌の一つ「電撃アドベンチャーズ」に連載されていて自分達の中で圧倒的話題だった
「榊涼介&林正之のマルチプレイ三昧」というボードゲーム紹介の記事でした。
(今思い返すと、自分達の求めていたゲームプレイの感覚とあの記事の良い意味でのふざけ方は絶妙にリンクしてるかもしれません)

その直前には「何か面白いらしい」ということで英語版が入ってきて間もないころのM:TG、
マジック・ザ・ギャザリングをなけなしのお小遣いで新所沢のポストホビーで買ってわけもわからず遊んでみたりもしてましたが、
「これは面白いけどめっちゃお金がかかる、中学生には無理」という理由で早々にピリオドを打ち、そのしばらく後でドイツボードゲームを始めたのでした。
マジックについては止めるにあたり「こんなカードが臭いゲーム、自分ら位しかやらんだろ~(笑)」とネタにしてたんですが、
(当時のカードはインク由来なのか独特な匂いがしてたんです)
半年か一年くらい経ったら学校で大ブームになっていて、何が起きたのかとめちゃくちゃびっくりした記憶があります。
後で「アイスエイジから日本語版になるらしい」と聞かされた時も「まさかぁ!」とみんなで爆笑してた記憶があります…って思いっきり脱線してますが(笑)。

カタン、さらにはその後遊んだモダンアートに衝撃を受け、高校時代以降自分達はTRPGからボードゲームに重心を移していきました。
単に面白かったというだけでなく、大学受験もあり、集まる予定を合わせるのも難しくなってきた自分達には、
準備に手間がかかるTRPG以上にボードゲームの便利さが上手くはまったというのもありました。
その間にも沢田がどうしても遊びたいというので持ち込んできたパラノイアRPGで盛り上がったりもしてましたが(笑)。

仲間うちでもボードゲームに特に熱心だったのは沢田で、自分はいつも沢田が聞きつけては手に入れてくる傑作ゲームを遊ばせてもらう側でした。
その当時から自分は「こういうゲームを広める仕事を将来する」と豪語してましたから、自分も勿論ずいぶん本気だったんですが。

互い別々の大学に進学して休日集まってた時でしたか、沢田に唐突に聞かされてびっくりしたことがあって、それが
「自分でボードゲームを作って、それをドイツのコンペティション『ヒッポダイス賞』に応募してる」という話でした。
それが沢田がバルバロッサにインスパイアされて作った「造形家倶楽部」、後でB2Fでディフェンダーズオブクレイアートとして出したゲームでした。

http://www.b2fgames.com/article.php?s...cobushiEra

初めて聞かされた時、加えて「そこそこ審査通過してるんだよね」という事後報告を受けてひっくり返ったものでした(笑)。
自分でゲーム作るばかりか、それをドイツのコンテストに応募しちゃおうというこの行動力。
「ドイツ語できるの?」と聞いて、「いや英語で応募できるのよ」「ああ…いや英語でもしんどいわ」と話した覚えがあります。
その時の結果は佳作ということだったんですが、それでも凄いな、仲間うちにボードゲーム作って海外に出ようって人がいるよと感心しきりでしたし、
その沢田の動きに刺激を受けたことが、「よっしゃ、これは自分も本気で頑張らねば」という気持ちを固めた大きなきっかけでした。

そして、その次に沢田が繰り出してきたのが「スクエアオンセール」でした。これをまたヒッポダイスに出していると。
そして、忘れられないんですが、初めてこれを自分達に見せてきた時に沢田が言った言葉がありました。
「今回は結構上手くできた」と。

ずっと一緒にゲームをやっていて、遊んだゲームについて皆でああでも無いこうでも無い、と日夜語り合っていましたから、
沢田の人となりはよくわかっていました。自分達は「何でもかんでも気軽に『面白い』と言っちゃいけないな」と考えました。
面白いゲームは、本当に面白い。語彙が限られるから思わず「面白い」言っちゃうんですが、本当に面白いゲームを面白く遊べたときの感動のことを思えば、
「まあこれはこれで良いんじゃないの」くらいのニュアンスで「面白い」って言っちゃうのは良くないな、と。
一人一人「面白さ」の定義、感覚には重なる面も異なる面もありましたが、その言葉を大切にしようということは自分達の絶対的なコンセンサスでした。

特にそこへのこだわりが強かった沢田が、自分が作ってきたゲームを指して「上手くできた」という。
つまり面白いゲームになってるんじゃないかという手ごたえを持っているということで…。
そのフレーズに自分は「何か重大なことが起きてる、これは」と思いましたし、その場にいた全員そんな感じでした。
自分が「…やってみよう」と答えて、一同初めて、スクエアオンセールを遊びました。

遊び終えて…、第一声自分が言ったのは、「…これは大賞だと思う。大賞だよ」という言葉でした。
「これをライナー・クニツィアが作った、と言われたら信じるよ」とも言った。
それ程、このゲームは自分達にとり、圧倒的に面白かった。自分のゲーム仲間が、めちゃくちゃ面白いボードゲームを作った!
それはもう、衝撃でしたし…、どうしたら良いんだこれは、という急き立てられる気持ちも、湧き上がってきました。
この日本のボードゲーム状況でこの沢田、このスクエアオンセールという、圧倒的な「宝の持ち腐れ」、どうするんだと。
ボードゲームの良し悪しについての話がほぼ普及浸透してないこの日本で、自分は一体何ができるんだ、どうしたら良いんだと。
この明白たる価値と、その価値に対する世の無関心、この断絶を、どうしたら解消できるのか?

沢田が言ったのは「とりあえずゲームマーケットで売ろうとは思うんだよね。99個」と。
ヒッポダイスの応募規定で、100個以上流通させたものは発表済みと見なし対象外となるとのことで、
だったら99個ならいいってことだね、という。
具体的にどうしようかと話している中で、自分は「せっかくだから、木の駒とか自分達で製造して、本格的に作ってみない?」
と切り出しました。

沢田初め一同「それはもちろん興味深いし出来るなら是非やりたいけど、製品作りのノウハウとか全然無いのはどうするんですか」という反応でした。
当時イエローサブマリンの新宿店でウォーハンマーの販売を担当していた自分には、ごく薄っすらとでしたが、心当たりがありました。
「店の客で、西山さんという、製作系の専門学校行ってる若者がいるんだけども…」と。


ええ、今回はざっくり書いて一回で終えるつもりだったんですが、やっぱり長いので(毎度ながら)1回切ります(笑)。
スクエアオンセールというゲームが自分達にとって色々ターニングポイントとなったゲームだったわけですが、
「このゲームの発表きっかけで西山昭憲、タチキタプリントの西山が加入した」ということは、その最大のポイントでした。
ということで、ニューゲームズオーダーのエピソード1的なお話、続きをお待ち下さい(笑)。

ゲームマーケット19春に向けて。

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  • 2019/05/17 06:38 午後
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すっかりお久しぶりの更新になってしまいました(笑)。
こちらのブログ、自分にとって非常に重要なものだとは思っているんですが、
ボードゲームですとか卓上ゲームを取り巻いている現状を踏まえて、自分が何をどう文章で発信しようかな、
と考えますと、なかなか一つ文をアップしようという気持ちにも至らず。
立川にご来店の方なんかとは、以前と変わらず十割の出力でお話してるんですけどね(笑)。
目の前にいるお一人に向けて、その人の状況に照らして、その人と自分の関係性を踏まえてであれば、
いくらでもお話はできるんですが。
不特定の人にどーん、というのは、ぱっと見でも界隈にいらっしゃる人が増えた分ちょいと重いですね。
まあ増えてるからこそ、誰かしらにそれを貫くようなことを言って欲しくなるものだから、
やっぱり思ったことは言ってった方がいいかなとも思いますが(笑)。

前回の東京ゲムマでは…「もっとホイップを!」を発売したんでしたね。
お陰様でご好評をいただき、売れ行きも好調です。
シンプルで遊びやすい面白ゲームですが、一方で駆け引きの難しさはそのまんま、
という物ですので、このゲームを今受け入れていただけたのは、すごく嬉しいです。
本格的に取り組みだしても20年とか、続けてきて良かったですわ~。
自分達が好きな面白いゲームを出版して売って、それで収益を上げて続けていけるというのはね。
理想的です…もちろんホイップほど三拍子そろったものを作り続けられてきたわけでは全くないですが(笑)。

さて、もうそろそろ次のゲームマーケット…ということで、一応新製品を用意しておりました。
毎度ながらのカツカツ進行で出せるかどうか社内では危ぶまれておりましたが(笑)、ようやく何とかなる気がしてきたので、
そろそろ発表したいと思います。
前回はゲームマーケットのカタログが発売されるタイミングで発表せざるを得ずくたびれたので、今回はカットにも書きませんでした(笑)。
他でもしばしば言われているとは思いますが、ボードゲーム出版の現状がゲームマーケット合わせのリリースにこだわる重要性は後退しています。
ですがまあそれはそれ、ゲームマーケットでリリースできるのは10年経っても15年経っても嬉しい所でもある…、
というところで、今回出すゲームが2019年のボードゲーマーの皆さんに新たに楽しんでいただけたら、すごく嬉しいです。
ということで、次のエントリで発表しま~す。

実は10年NGO。

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  • 2019/02/24 07:24 午後
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2月も終わり…ってことで、ニューゲームズオーダーは2009年の3月に立ち上がってるので、
今月終わりで満10年やってきたことになります…確か(笑)。
やっぱり特に何も催す予定もなく、粛々と各種の出版プロジェクトにあたっておりますけれども。

立ち上げ当初のことを大まかに振り返ってみますと。
自分達が価値があると思っているボードゲームを始めとした卓上ゲーム普及、状況好転に、
いっちょ大きなインパクトを与えるような動きがしたいよね…息してるうちに、と思い、
その当時できる中では最大限規模の問屋営業から始めました。
メディチとか魚河岸物語とか、ケット・ザ・レーザーゲームとかですね(笑)。
当時全然日本の売り場に無かったティチューやトーレスなんかも扱っていた中、
現在ニューゲームズオーダーの発注リストに唯一残っているのがマタゴー社のクロノスという(笑)。
当時の在庫が未だにいるわけですが、今思ってもクロノスは良いゲームだと思うし、
昨今出版されている長時間ボードゲームの何らかの画一化を思うと、「すごく良いゲーム」と言っても良い気がしています。

で、今では契約が終了して取り扱えない状況になっておりますが、ロール・スルー・ジ・エイジズの日本語版の出版を1期目からやって。
税込3600円という価格設定、今思っても初っ端からなかなかいい仕事してたな過去の自分達と思いますが、
確か当時は今よりはるかに円高だったんですよね。1ドル90円近辺とか。
こと自分達に限って言えば、この円高のお陰でボードゲームのローカライズが始められた感はありました。
ロール・スルー・ジ・エイジズ、1000部製造で3600円、でも、当時の自分達にはホントに大勝負だったですから。会社の有り金はたいてやっていた。

…って、振り返り出すと長くなりそうなので今日はこのへんにしておきましょうか(笑)。
気が向いたら続きを書きます。ともあれ10年、出たとこ勝負が上手く転がって今みたいになっております有難うございます、
と言うお話でした。

ワンフェスNGOブースにて「サタコマ3D」試験販売します。

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  • 2019/02/01 08:47 午後
  • 投稿者:


https://twitter.com/higetoboin/status...2188340224
https://twitter.com/higetoboin/status...5771625472
https://twitter.com/higetoboin/status...1229405184

さて本日は、西山や広瀬の担当となっている、ニューゲームズオーダーの立体方面のお話をさせていただきましょう。
きたる2月10日のワンフェス・ニューゲームズオーダーブース(4-2-3)で、なんと!
冒険企画局さんのTRPG「サタスペ」のキャラクターを3Dプリンタで立体出力したミニチュアを、6体セットで試験販売させていただきます。
名付けて「サタコマ3D」。



さらりと言っちゃってますが、結構なニュースですね(笑)。ミニチュアゲームも好き、TRPGも好きと言う方なら飛び上がりそう。
この情報、作者の河嶋陶一朗さんのTwitterでは既に載せていただいています。こちらについて、以下に経緯をご説明差し上げます。

今回の話の発端というのは、ご存知の方も多いと思いますが、
西山が最近ニューゲームズオーダーに何台も導入しては試験運転を繰り返している「3Dプリンタ」です。
西山はキャット・シット・ワンのメタルフィギュアなどもそうですが、本人の手による造形物作りに仕事の傍ら取り組んできているわけですが…、
本業の製造仕事に多くの時間をとられ、なかなか造形作業に時間を割けないこともあり、
「自分が本業に取り組んでる横で作業を勝手に進めてくれる3Dプリンタは実に良い!」
と天啓を得たらしく(笑)、ここ数年はずっと、使い方や使い道をあれこれと研究していました。

最近はタチキタプリントのTwitterでも小出しにしている通り、「おお、こんなものが自動で?結構すごいぞ」
というレベルの物が比較的安定して刷り出せるようになってきているんですが、
一方でこの分野、次の段階に引き上げるには大きな課題があるね、と言う話が私と西山の間で生じてきました。つまり、

「どうやって使うのか」はわかってきたが、では「何に使うのか」?

3Dプリンタでの、ミニチュアゲームの情景モデルの刷り出し等については一定の見込みが立ってきましたし、これについては継続してやっていく予定です。
ただ、3Dプリンタを「活用する」というレベルでものを考えた時、これだけではいささか物足りないよなあ、と思っていたのも事実でした。
自前でミニチュアゲームの情景モデルをじゃかじゃか製造できるようになっているのは正直眼にすると隔世の感があるというかホント凄いんですが。

「立体が3Dプリンタで何とか出せるようになった今、『何を生産する』のが皆にとって嬉しいんだろうか、というのが最大の課題だと思うんだよね」
という問いを、私は西山にぶつけました。西山もそこは大きく課題に思っていたようでした。


それじゃあどんな物が良いだろう?と二人で考えてみた結果、自分達としては、

・卓上ゲームに関係する何か(自分達がその周辺にベースを持っているため)
・サイズ的にある程度小さい物(主に機材による大きさ上限の問題)
・魅力的なラインナップが想定できるもの(シリーズに対し継続的なニーズがあるもの)

と言った要素を押さえたいよね、という話になりました。
「メリット」と「実現性」を両立する点を自分達が見出そうとすると、自然この周辺となるということです。

そう考えていくと「3Dプリンタをいち早く活用、ということを優先して考えたら、プリントの対象物をゼロから作るより、
既に求心力として存在している何らかの卓上ゲーム作品の何らかのラインナップ」を考えてみた方が良いんじゃないか?

という発想に至ったわけでございます…ここらへんまさに、「人を喜ばせるのに、必ずしも全部自前で用意する必要はない」
という、ニューゲームズオーダーの考え方そのものですが(笑)。

で、さて具体的にどこらへんを?という話に移った時、私たちが「冒険企画局さんの『サタスペ』や『迷宮キングダム』、良いな…」
という発想に至るにはそう時間がかかりませんでした。

ディフォルメされたモブキャラがゴチャっと居る風景が魅力になっているということ、
作者である河嶋さんがミニチュアゲームへのご興味の深い方であること、
そして以前よりいくつかの案件で近藤さんとお話させていただいた経緯があること…。
クレムリンで速水螺旋人さんにイラストをご担当いただいたこともあります。
何より冒険企画局さんが「新しい企画にたいして常に前向きにお考えいただけること」というのが大きい。
「魅力的な作品の権利を持っている」主体となると、大方は我々のような者が外野からお話を持って行っても門前払いですので(笑)。
その点冒険企画局さんはオープンマインドでお話を聞いて下さるのみならず、こちらの企画意図についてカカっとご把握いただけ…、
トライアルということではございますが、今回の販売が実現する、予定ということです。
予定と今いったのは、今なお目の前で3Dデータの改良作業をやっている西山を目の当たりにしているからですが(笑)。
ディフォルメフィギュアのデータ改良、なかなか天竺でございまして…。

とまあ、ボードゲーム制作にほぼ専念しつつ横から口だけ出している私吉田からこんな感じです。
私としても、技術革新がTRPGやミニチュアゲームの遊ばれる風景に大きな影響をもたらして、
ゲームの楽しみ方に新しい可能性が生じるとしたら、そんなのは万々歳ですので。大いに期待しているところです。
今回の試験販売、ニューゲームズオーダーの3Dプリンタ、現状の進捗こんな感じっすよ!
というレポートの性格が強いので、「そんなん俺によこしなさい」という新しモノ好きの卓上ゲーマーの皆さんは是非チェックしていただけると嬉しいです。
あ、あと6体セットで予価5000円と発表されてましたが、価格のほう何か検討中らしいっす!

2019年の抱負…というわけではないですけども。

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  • 2019/01/05 05:54 午後
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明けましておめでとうございます…ってもう5日ですが。
2月末にはニューゲームズオーダーの期末、9月にはB2Fの期末もありますし、春秋のゲームマーケットでもひと段落感あるので、
年中区切ってる気もするんですが(笑)、平成も最後ということで一応ブログ更新。

2018年は(もっとホイップをの生産トラブル等ありつつも)2006年にB2Fを起業して以来(まる12年になります)、
最も落ち着いて仕事ができた年だったかなと感じています。
欧風ボードゲームを中心に、国内の卓上ゲーム商業はどういった展開を見せていくかな…ということは日々イメージしていますが、
2018年は年初に予想していたことが概ね的を射ていたようで、常に一歩先に踏めているかなという余裕はありました。
まあ予想していた全体の流れ自体に懸念も少なからずあるので、楽々~とは行かないわけですが。
どうあっても譲れませんよという勘所では厳然と周囲の流れに逆らう場面もあるかもしれませんが、
総体としては上手く折り合いをつけていくというか、良い距離感を取るというか、
そういったバランス感覚が引き続き課題になる気がしています。
「他所のことはちょっとわからないけど、ウチは意味のある仕事、ちょっと皆が嬉しい仕事、ツボ付いた仕事、するかんね!」
というのは変わらない目標です。
出来る限りは満場一致で褒められたいものですね(笑)。
「全員に喜ばれるのは無理だから~」みたいなことをすぐ言う方いらっしゃいますが、
「すっごい上手くやれば、全員喜ばせられることもあり得るんじゃないかな~」
とか楽観的な気持ちで仕事してた方が、結果として喜ぶ人数が増える気がしてます。

5年も前であれば、ボードゲームの出版、日本語版の出版自体が快挙として受け入れられていたのがウソのような現状ですね(笑)。
ボードゲーム出す、ってだけなら、出るようになった。なってしまった、と言いたくなる所もある。
ただそうなってるだけに、数年前にはあった、ボードゲーム一つ作って皆さんにお届けした時の
「おおっ!」という皆様からのリアクションを引き出すのは、むしろ難しくなってるな~と思っているんでございます。
アイテムとしてはもちろん50以上も作ってきていますから、確立している仕事のやり方も当然あるんですが、それでも。
あのフレッシュな「おおっ!」というのを引き出したいんですよね。より大きな歓声を、より多くの方々から。
それを引き出すのに大切なことは、わかってるつもりでいるんです。
それは、何よりまず自分が何かしら「おおっ!」って思える物を作ることです。

一プレイヤーだった時分から、仕事にしてからはなお一層、たくさんのボードゲームを見てきたし、遊んできましたので、
そうそうは心が沸かないんですよね。「あ~なるほどね」「そういう感じですか~」「それはどうかな~」
みたいな、冷静な感想に留まるものが大多数。
でも結局めっちゃ面白いものというのは、そういう大多数とは明らかな断絶があって、「おおっ、凄いな!」
という「やられた感」みたいのが何かしらあります。総合力勝負のものでも、一点突破みたいなものでも。

だから自分が手掛けるものでも、自分にそういう感覚が生じるまでは「出来上がらないなあ…」と思って、
何らか着想待ち、みたいな感じになります。通り一遍ゲーム用具揃えるだけじゃダメな気がしてます。
自分の中で「これは皆沸いてくれるんじゃないかな」という予感が来るまでは、割とたたずむ時間が多いです、最近は。
ホイップについても、自分の気持ち的にピンと来るまでは「う~ん…」って言っている時間は結構長かったです。
ママダさんにラフを描いていただいて、意見交換をする中で「これだわ!」となったのが、
最終的に皆さんにお届けしてものになっているわけです。
出したものについては、誰より自分が「来たわ!」って思ってる気がします(笑)。

だから自分が制作した物については(もちろん作者ではないからだと思いますが)あまり謙遜しないというか、
基本自分が一番好きだと思います(笑)。「これめっちゃ良くない?良いよね?」という心持ちでいます。
もちろん盛り込み切れない要素、選べなかった方の方向性、様々あるんですが、
それは「ベストを尽くして出来上がったのがこれだからな~」って気分なので、大抵あまり未練が無いです。
何かしらあればそれは次の製品作りに生かすか、そのゲームを大人気に持ってって、
大幅にアップグレードするチャンスを勝ち取れた時にまた考えれば良いさ、と思ってます。

こういう気持ちで制作をやってて思いますが、多分この性格はボードゲーム制作に向いてるんだと思います。
これからのパートについては妥協無くやりますが終わって確定したパートについてはくよくよしない(笑)。
だから仕事してて楽しいです。お陰様で喜んでいただけることが多いですし。

というわけですので、今年もボードゲーム楽しいよ、って方々に喜んでいただける仕事ができるように、NGOの存在するメリットを最大化する方向へと真っすぐに、頑張ってまいりまーす、よろしくお願い致します。
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