2017/06/25 02:20 午後

2016年春ゲームマーケット、前日。

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  • 2016/05/04 07:46 午後
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久しぶりに日記っぽく書こうかなーと思っている本日は、午前中から倉庫で、ゆかいなさかなさんにエスカレーションをお引渡しでした。
黒川さんに遠路はるばる車でおいでいただき、色々ゲームのお話も。ゆかいなさかなさんには6日からご販売いただきます。無事にお渡しできて、よかった。

今は、明日のゲームマーケットの荷物ピックアップのため、22時に手配されている2tトラックの到着を待っています。
本社の荷物を積み込み倉庫に向かい、倉庫で積み込みいったん解散、早朝倉庫集合で動き出し、という算段です。
ニューゲームズオーダーのブースで販売する品目も40種を超え、エスカレーションのステッカーやフードチェーンマグネイトのフライヤー、
お配りする新しいカタログ(これもページ数がたいへんなことになってきました)、一般ブースで広瀬が出すフロストグレイブの展示物、
そして責任重大なタチキタプリントの当日納入品群。毎度ながら、我々が朝やらかしますとゲームマーケットの内容に響いてしまう、
非常にシビれる一両日でございます。万難を排して行っておりますし、特に西山は朝の納入が終わると開始前に7割ゴールしたような感じだと思います。
多分後はカードゲーム台紙のご紹介がしたいくらいじゃないでしょうか(笑)。

http://iamfactory.thebase.in/items/2876703
http://iamfactory.thebase.in/items/2876709
http://togetter.com/li/969315


という自分も他のスタッフも、特にエスカレーションで相当追い込みましたので、無事にスタートできたら、あとは皆さんと、束の間の7時間を楽しみたいと思います。
思えば遠くへ来たもんだ~、という感覚に駆られることも時折ありますが、いいやどこへも行ってないさ、
このゲームが載ってるテーブルの傍にいるさ、とも思います。そのテーブルで、これから遊ばれるゲームが面白くなるように。
そんだけじゃい、ということを再確認するゲームマーケット。エスカレーション新発売、よろしくお願い致します~。

ゆかいなさかなさんとのコラボ第2弾。エスカレーション日本語版をゲームマーケットで発売します、その3。

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  • 2016/04/23 07:10 午後
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2015年のリリースを目指して、長谷川さんがお手すきになったら着手しましょう、とお話したのですが、
ここからお互いの多忙でなかなかタイミングが合いませんでした。、4月着手の予定が5月になり、6月になり、私たちの都合で9月になり…、
15年秋のゲームマーケットに間に合わないことがはっきりとし、「2016年こそは…!」という態勢になりました。

新たなエスカレーションが今回の姿で実像を結ぶことになるまでには、本当に様々な検討があり、周辺の状況の変化があり、
考えたこと感じたこと、様々な要素が時前後してあったのですが、主だったところを、発生順でないですがお話したいと思います。


まず、SPIELEのアートワークでエスカレーションを作ろう、という発想をしたのは私です。
SPIELEのステッカーやiphoneケースや、そういったものを目にした時に自分が率直に感じたのは、
「これはまだボードゲームに触れたことの無い新しい方々にも通じる魅力を備えたビジュアルなのではないだろうか」ということでした。
これが、より多くの方の目に触れるどこかに当てはまったら、別のことが起こるのではないかと。

正式に長谷川さんに依頼する時には既に「SPIELEビジュアルで…」という条件を申し上げていました。

実はのことを言ってしまいますが、自分の腹案は2つあって、今回の案ともう1つせめぎ合っていた案が
(当ては全く無かったですが…)漫☆画太郎先生への依頼を試みる、というものでした。
元の絵を踏襲しながらさらに皆さんに面白く受け取っていただき、センセーショナルなものにするには…、
ということから自分としては大真面目に考えていたのですが、
そもそも難しい以前に自分たちの仕事を考えると発想の方向がずれてるかもしれん、と結果その路線には向かいませんでした。
(こう書くと「そっち挑戦してほしかった!」という感想もいただくかもしれませんが…)


このエスカレーションを預かった者として、これをどうしようと試みるか、というのが、立ち返るべきことなのかなと思ったのです。
自分たちは今、このゲームはどういう物です、という定義をできてしまう立場にあるし、またしなければいけない立場にありますので。
この2016年日本で、エスカレーションをどういうものとするか。


エスカレーションと言うゲームは、「短時間でできる良いゲーム」という認識と「ライナー・クニツィア作品としては取り立てる程のこともない凡作」
という評価が併存するゲームだと思います。造詣の深い、歴の長いゲーマーの中でも「あれは良いゲームだよね!」という認識と、
「あれはなんでもない、子供だましっぽい運ゲーでは…」という認識に分かれているのではないでしょうか。
お互い他のゲームのことでは話があったり敬意があったりする同士ですから、直接互いの不見識を罵り合ったりすることは無いわけですが。
またエスカレーションがそういう向きのタイトルでも無いというのもあると思います。まあカードゲームは好みあるから…と。

自分は立場としては前者に属するわけですが、後者の皆様がそう仰る気持ちもわからないことはありません。
特に、プレイ人数6人までと表示されていますが、5~6人でやると相当引き運任せになり、純然と対戦ゲームとしては3~4人までの方が良いと思っています。
「酔いどれ猫のブルース」あたりでもあった問題で、こっちで勝手に「4人まで」と表示してしまいたい気持ちもあるのですが、
それこそ「それをお前が決めんなや」というところで。ライナー・クニツィアが6人までだと言っている物をこちらの一存で4人までにして(良かれと思ってだとしても)、
「6人で楽しんでるんですけど…」という方々の思いを切り取る権利は無い、のではないかなという判断を今はしています。

そして、5~6人で、という前提に立たなくとも、エスカレーションは、引き運の要素が小さくないゲームであることは確かです。
引き運の良し悪しが、よりしっかりと考えて導いた建設的な選択を上回ることはしばしばあります。
(近年長時間のボードゲームの売り文句で「No luck」という文句が書いてあることが時折ありますね)

そこだと思います。「だからイヤなんだ」という認識と「だから良いんだ」という認識が生まれるのは。自分は「だから良いんだ」と思っています。
ここが本当に難しい。きっとボードゲームに詳しい多くの方が考えているより難しい線引きがあり、その線がどこで引かれるべきなのか、というところでまた別れる。

直接私と話したことがある方ならご存知と思いますが、私自身、エスカレーションと一見似たようなポジションにあるゲームを、しばしば否定します。
エスカレーションの近くに、いかんなあと思う物はよくあります。
これは私個人の意見ではありますが(といってもニューゲームズオーダーの顔役ですからニューゲームズオーダーの意見ということになるでしょうが)
違いはどこにあるのか、というと、「それでも意思決定があるのか」ということです。
言い換えれば「今こうしよう、という選択が、人によって(単純な優劣としてではない)バリエーションを持つのか」ということでしょうか。
「自分ならここでこうするよ」という主体がそのゲームに必要なのかと。
運でしばしばご破算になるとしても、人によって出す正解が変わり得て、それが時に報われたり、罰されたり、運でうやむやにされたりするならば。
「ああいう時、次あったらこうしてみよう」というものならば。
エスカレーションは最善手の解答用紙が作れるような、わかっている人なら誰しも、初めから終わりまで同じ選択を取るようなものではない。
それでいて、「一番わかってる奴」がいつも勝つものでもない。
今はちょっとよくわかってないけど、少し歩みは遅いけど、でもゲームを遊んでみたいという人が、息をつける余地がある。「だから良いんだ」と。
エスカレーションからゆっくり始まるボードゲームが、どこかであるだろうと。


エスカレーションというゲームにどういう役割を与えたいと思ったのか、何故長谷川さんに「SPIELE」ビジュアルでお願いしたかったのか、
自身の心情に気付いたのは後からのことでした。お願いするにあたってまず、長谷川さんに
「SPIELEのイメージをエスカレーションに使う、というのは、長谷川さんにとってどういうご心境なんですか?問題ないでしょうか」
と尋ねた所、「SPIELEバージョンのエスカレーション、単純に夢です。嬉しいです」という有難いご返答をいただきました。
それから、「長谷川さんはどういう着想でSPIELEのステッカーを作られたんですか?」という質問をし、その答えには正直驚きましたし、
「お願いしてよかったな」と感じました。
「ボードゲームがあまりにも好きすぎて、全部欲しいんだけどそれは無理なので、コマの絵を描いて我慢することにしたんです」
と笑いながら仰ったのです。

自分としては長谷川さんに穏やかで、どこか淡々とした方なのかなという印象を持っていたので、あっさりされた、その激しいカミングアウトは衝撃でした。
でも驚いた一方で、「だからお願いしたくなったんだろうなあ…」と、納得もしました。
長谷川さんは「人が作った駒の絵を描いているだけですから」と謙遜されていましたが、普通まずその発想に至らないですよ、と申し上げました。
また描いた駒がどのように選ばれたか、と言うお話で、ステッカーを作る時に周囲のボードゲーマーの皆さんからの「描いてほしい駒」のリクエストを受け付けた、
という話を聞いて、そうだったのかーと。
今回のエスカレーションで作ったものは、確認が取れたものの他、使用が難しいと判断しニューゲームズオーダーのゲームの駒等を新たに書きおろしてもらい、
再構成している部分もあるのですが、いかに元のイメージを大事にしながら作れるか、というのは一つのポイントでした。

自分が長谷川さんの「SPIELE」のお力を借りたかったのは、そのボードゲームへの気持ち、その姿を借りて、
新たな方々にゲームの面白さを届けたい、という願いだったのだな、というのが自分の心持ちでした。
また同時に、これは私自身の矛盾した気持ちの現れかもしれないなとも思います。
新しい方に、外の世界にボードゲームを届けたい。
勿論全員とは思いませんが、まだボードゲームを知らないけれど、こちらから打って出て知らせに行くことで、
喜んでくれる方もいると、それはそう思っています。

しかし一方で、自分は外では無く、中の方を見続けているのだなと。ボードゲームを外に向ける為に、中から目を逸らして、外に目を向けるということは、
自分にはできないってことかもしれないなと。外に打って出るものにする為に、今中にある、テーブルに載っているものを譲ることはできないと。

入稿データが完成して、今回のエスカレーションのデザインを前もって目にしている方々には、「このビジュアルは新しい人たちにも歓迎されるんじゃないですかね!」
と言ってもらえることも多いのですが、私としては、そこへの確信は持っていません。
長谷川さんの描いたSPIELEは、ボードゲームを既に大事に思っている同好の皆さんに向けられたもので、そして好評を博しているものです。
その中に向けたものが、外の方々にとってどうなのかは、正直申し上げてわかりません。
ただ、できる限りで作ったらこうなりました。わからんけど、私たちの全力の結論がこれです。今は晴れ晴れしています。

私はこのエスカレーションで「ウノと勝負したい」と思ってるんですけどね(笑)。このエスカレーションから、ボードゲームを遊んでおくれよと、そう思っております。
中の方みたまんまだけど、このまま後ずさりして、中を大きくしてやるよと。そうエル・カバレロの要領で!(←再版予定の無い昔のゲームで例えるのは良くない)

いつもこんなことを書いてますなあ。
そういうことなんですが、最終的なデザインを検討する中で、エスカレーションを遊びながら考えていて、痛感した所があります。
「遊んでる最中は、マジで数字しか見てない…」ということです(笑)。
正直元のバージョンもパッケージの婆さんばかりが印象に残って他はろくすっぽ印象に残ってなかったです私(こんな絵のカードあったっけ…とホント思った)。
ライナー・クニツィアのゲームにありがちなんですが、ホントはこのゲーム、完全にアブストラクトですよね(笑)。
実の所、「こういうテーマのゲームだからこういうビジュアルが必要」と要求されるゲームより、
「実際はアブストラクトなんでキャッチーな絵なら何でもいいんだけど、何かしらは必要」というゲームの方が、よっぽど厳しいということです。

「なつのたからもの」でもそうだったんですがクニツィアさんのゲームは結構そうなので、
そういう時はゲームの中で行われている最低限の動作から発想を膨らませています。
なつのたからものは「何か良いもの、カラフルなものを集める(何せ10色ある)」というところから、カラフルな良いもの→夏の風景、という所で発想しました。
今回のエスカレーションは、「手元に積むとマイナス点になるもの」…。

…ということでそうなりました~。これをゲームマーケットで発売するというのはどうも煽りになっちゃうようで(笑)!
結局内向きのコンテクスト盛り盛りと言う気もしますがー、まあいくら頑張ってもこれは舞台裏の話で、ゲーム中は数字しか見ないし!
新しい方には「何かカラフルなかわいいもの」にしか見えないと思うし!これで行かせてもらうよ!


あと、これはデザイン面で頑張ったところですがー、その最も大事な「カードの数字」をちょっと印象深いものにするために、
ちょっと新工法で面白いことになっていますので、「元のエスカレーションも持ってるよー」と言う方にも、
そういうアイテムの魅力という所でチェックしていただければ幸いです。
最近私たちそこらへんの加減がわからなくなってやってみましたが、結構良いんじゃないかと思っておりまーす。


ということで、いつも以上にながなーが書きましたが、これは内に向いた話ですのでね(笑)。
エスカレーションは気軽に楽しめるカードゲームなので、こんな文を読まずとも遊んでいただければ!
5月5日のゲームマーケットで発売、1800円、当日は先着順ですがミニステッカーもオマケでついています。
(デザインはお楽しみとして伏せておきますが、良いと思います!)
皆様どうぞ、よろしくお願いしまーす。

ゆかいなさかなさんとのコラボ第2弾。エスカレーション日本語版をゲームマーケットで発売します、その2。

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  • 2016/04/23 11:07 午前
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長谷川登鯉さんと一度お仕事をしてみたい、ということは、その頃自分たちの中で生じていた思いでした。
ゲームマーケットにおいでの皆様ならご存知の方のほうが多いと思いますのでここで説明するのもどうかと思いますが、
当時既に、様々なゲームのアートワークを担当されていて、ゲームマーケットの話題の中心にある方でした。
自分が初めて長谷川さんを認識したのは、I was gameさんの「ヴォーパルス」を遊ばせていただいた時だったと思います(2010年~11年頃ですね)。
「ゲームマーケットでこんなゲームが買えるようになっていくなら、新しくいらっしゃる方々にとってもいいよねえ」と話していたことを覚えていますし、
そう言った理由には当然ながら、ゲーム内容にフィットした長谷川さんのアートワークに対する印象も多分に含まれていました。

ただ私たちと長谷川さんとは長らく直接の接点は無く、その後のお仕事を拝見したりご発言を耳にしたりする中で、
信頼に足るお仕事をされる方だな、という印象を強めていました。
2014年には私たちは、タンサンファブリークさんやママダユースケさんにいくつものゲームのアートワークをお願いし、
お力をいただいて評価をいただける製品を出してくることができました。
タンサンさんとのお仕事、ママダさんとのお仕事は間違いなくこれからも続けていきたいと考えているのですが、
一方で「ニューゲームズオーダーのラインナップに魅力を加える為、新たなマッチングでゲームを作ってみたい」という気持ちがありました。
その折西山がタチキタプリントでの業務をある程度形にし始め、同人ゲーム製造の仕事も受注するようになり、
長谷川さんともご連絡する機会ができていたことが実際のきっかけになり、お声掛けしてみた所(今過去のメールを見た所2014年の終わり頃です)、
「今は複数のゲームの仕事を受けているので難しいのですが、その後ならばお受けできますがいかがですか」というご連絡をいただきました。
何せエスカレーションは既に一回棚上げしており、自分たちにとって難しい案件になっていましたから、
長谷川さんにご担当いただけるならさらに腰を据えてでも、と思い、「お願いします」というご連絡をしました。
2015年に続く、というところでこのブログも(やっぱり的延長ですが)いったん切って後程その3を書きます。

ゆかいなさかなさんとのコラボ第2弾。エスカレーション日本語版をゲームマーケットで発売します、その1。

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  • 2016/04/22 03:05 午後
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※実際のパッケージのタイトルは箔押しになるため画像と少々異なります。

https://sites.google.com/a/newgamesor...escalation

タイトルの通り、ライナー・クニツィア作のカードゲーム、「エスカレーション!」の日本語版を5月5日のゲームマーケットで発売します。
箱サイズはアミーゴサイズ、価格は税込1800円です。

アートワークは新たなものとなっており、イラストは様々なボードゲームのアートワークを手掛けられている、
「長谷川登鯉」さんにご担当いただいています。
こちらのイラストは長谷川さんの代名詞と呼べるものなので、ゲームマーケットにおいでになる皆様なら見覚えがある方、
思い入れをお持ちの方も多いことと存じます。
長谷川さんが過去にステッカー等で展開されている「SPIELE」(ドイツ語の「play」にあたり、ゲームという意味も持つ言葉です)
のアートワークをスピンオフさせて、今回のような姿のエスカレーションを作りました。

http://bodogedama.jimdo.com/

長谷川さんの手による様々なボードゲームのコンポーネントのイラストの魅力は、言うまでもないと思います。
手垢の付いた言い方になってしまいますが、ボードゲームに対する真っ直ぐな思いがを表されていて、私自身好感を持っているものでした。

さて、しかしながらこれらを、何故このように結びつけたのか。毎回ながら、どこからご説明差し上げるべきでしょうか。
エスカレーションは短時間で遊べる手軽なカードゲームですし、過去に私達が何度もリリースしているライナー・クニツィア作品ですから、
第一印象ではある程度安定した力で出せそうなタイトルでした。しかし実際には二転三転し、たいへん難産でした。
それはもう、枯山水に迫るんじゃないかというくらいです(笑)。
私ども、2015年にリリースできず積み残した予定タイトルが2つあったのですが、その1つがこのエスカレーションです。
色々ばたばたと動きました結果、遅れましたがこの度晴れて、皆様にお届けできる運びとなっております。

今回の出版の具体的な発端は、「ペンギンパーティ」に続き、ゆかいなさかな黒川さんからのお声掛けです。
タンサンファブリークさんのお力添えもあり良いペンギンパーティができ、「また次も是非」とお話しいただき、
その時に黒川さんから出していただいた候補の1つがエスカレーションでした。

ペンギンパーティもまさにそれですが、今日ボードゲームメーカーとして仕事をしている中で、
気軽にできるカードゲームをお求めの皆様は、日に日に増えていると実感しています。
ペンギンパーティやコヨーテといったゲームの売れ行きを見ても、どれだけのニーズが眠っているのか、ポテンシャルは本当に未知数です。
その手軽なゲームのジャンルに、手軽なのだけれど遊びがいもあるゲームを供給できるかどうか、
広く遊ばれるゲームの中に自分たちのゲームを含められるのか、ということは、私たちにとり、
(当然商業的にもそうですが文化的な意味でも)非常に大事な課題です。

そういった角度からは、エスカレーションは切り札的なゲームの1つだと思います。
ルールをご覧になりたい方は既にニューゲームズオーダーサイトで公開していますのでご覧ください。
正直ルールを読むと、「ごくごくシンプルなゲーム」と感じると思いますし、「これだけで面白いの?」とも感じるのではないでしょうか。
順にカードを出して、数字を上げていく。出したぶん山札からカードを補充。出せなかったらそこまでに出されたカードを引き取って枚数分失点。
…それだけ(笑)。でも、良いゲームはそれだけのルールで面白さの差を生み出すということに、気づいていただけるのではないかと。
山札の数字の配分の妙と、同時出しのルールとで、引き運は勿論はありながらも存外悩ませる、軽やかなカードゲームです。

実は黒川さんにお声掛けいただく前から、ニューゲームズオーダーは既にエスカレーションの出版企画を腹案として持っていましたが、
ある理由により企画が途中で止まっていました。それが「アートワーク」です。

元々のエスカレーションを持っているよという方、遊んだことがある方なら、皆様そのビジュアルを覚えていると思います。



これですね。元はBeth Trottさんという方が手がけられていたもので、(実際のゲーム内容と関係ないっちゃないんですが)
ご近所のいさかいの激化をテーマとしたゲームになっていました。
特にお婆さんがなんか物騒な大砲を構えているビジュアルが印象深い。
この元のまま、というのは確かにある選択肢でした。古くからのプレイヤーの皆様から定評があるのもわかっていましたが、
自分としては、すごく広まる可能性を持ったこのゲームを、このアートワークとテーマが、
マニア向けのアイテムにしている部分もあるよなあ、というジレンマを感じてもいました。
ちょっとずれる話ではありますが、過去私たちがビッグチーズや、なつのたからもの(ノミのサーカス)や、
ナゲッツでやった手法を取るべきかな…、という迷いを持っていたのです。

ただそれらと違って「これはこれで良いものだよね」という状態でしたから、より悩ましかった。
加えて言うと、「じゃあどう変更するの?」と問われた時、エスカレーションを新たなものにする具体的なアイディアは、
その時の私にはありませんでした。

で、実は結論としては(悩みつつも出版を急ぎたくはありましたので)元のまま出そうという踏ん切りをつけて、
実際にBethさんにコンタクトを試みたのです(これ2014年の前半のことです)。
しかしながら結果は不通。ローカライズの仕事をしていると、こういうことは珍しくないですが、お返事は無く、
また元版メーカーのZ-man Gamesに問い合わせても「連絡先が変わっているか等はちょっとわからない」ということでした。
元のまま出そうか悩んで、でもこれはそうしようと思ってコンタクトを取ろうとしたらかなわず。
さりとてその時は代案も無く、他にリリースを予定し動かしていたタイトルも多かったことから、棚上げとなったのでした。

出版の契約には当然「いついつまでに出さなければ駄目ですよ」とう時限がありますから、黒川さんからのお話は、
エスカレーションの計画を再起動しなければいけない私たちにはまさに渡りに船と言えました。
加えてその時には、新たな要素が生じていました。当時社内で、「一度長谷川登鯉さんにお仕事を依頼してみたいよね」
ということが話し合われていたのです。

…ええ、今回は1回で書こうと思っていたのですが、案の定長いですね!あと1回、後程書きたいと思いますのでよろしくお願い致します。


フードチェーンマグネイト出版、スペースアラート再販。できたら良いと思う、できそうなことをやらないのは。

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  • 2016/04/21 07:56 午後
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5月5日に迫った春ゲームマーケット、さらには2016年後半のリリースタイトルについての仕事も大詰めを迎えていたり始まってしまっていたりで、
心穏やかに居難い状況でございますが、「今」が何より大事ですね。ブログ書いてまいりましょう。
今日フードチェーンマグネイトについてのお話をして、スペースアラート再販とスルー・ジ・エイジズのお話にちょっと触れて、
(スルー・ジ・エイジズの中身についてはリリースが具体的になったら改めてするので大方は後に回します)
その後明日までには、ゲームマーケット発売の新製品のお話をします(少なくとも始めます)。



http://foodchain.newgamesorder.jp/

さて、フードチェーンマグネイト日本語版ですが、Twitter等でお知らせしたとおり、限定生産予定であり、また上記ウェブサイトで5月9日までご予約を承っています。
既に英語版をお持ちの方用にカードのみのセットもご用意していまして、4/21時点で本体約220個、カードのみ約50個のご予約をいただいています。

「フードチェーンマグネイト」ってそもそも何よ、という方は上記サイトをご覧いただければと思いますが、要は昨年10月のエッセンでにわかに注目を集めた、
好事家用のゲーマーズ・ゲームです。元より知る人ぞ知るカルトな人気を誇っていたスプロッター、オランダの、言わばでっかい同人メーカーだった彼らが、
普段を超えて目を引くビジュアルと、ゲーマーを夢中にさせるゲーム内容の本作を出したことで、日本国内の熱心な皆様の間でも一番の話題になりました。
僕たちは、「こんな難しいゲームにこんな注目が集まるなんて、世も末だ…」と半分苦笑交じりで話していましたが、
元々このゲームが話題になるきっかけの1つになったらしいのが、沢田くんがエッセンから買って帰ってきて、
(彼は元からここ数年かなりスプロッターのゲームはチェックしていたようです)B2Fで遊んだ初ゲームのツイートだったということは頭にありました。
加えて国内で販売を開始したテンデイズゲームズさんの入荷が(そもそもスプロッターの1回の生産数がごく少ないこともあり)
まったく需要に追い付いておらず対応に苦慮されているというお話も聞き及び、我々は思わず「ううむ」とうなりました。
いつものごとく、「そんなに人気で、そんなに不足なら、日本語版出せばいいじゃないか」というフレーズが思い浮かんでいたからです。

以前なら「いや、言っても国内のボードゲーム市場の規模は限られてるし、流石に無茶でしょう」という観測や、
「高価格帯のゲームで予算がかかるから、ちょっとできないかな…」という逃げを打つこともできたのですが、今だと「できてはしまう」。
できないことは仕方ないけれど、できることはやろうよ、ということを信条にしてますので、今は逃げ道が無くなっているということです(笑)。
「いやそれなら何の憂いも無くやればいいのでは?」と思われるかもしれませんが、ご存じの通りニューゲームズオーダーもテンデイズさんも、
既に決定しているリリース予定のタイトルで手一杯になっているのも現実です。できるんだけど苦しくはある。
だからフードチェーンマグネイトについては、嬉しくも苦しいところでもあります(笑)。
元々ラインナップとしてはカードゲームから1時間くらいまでの中規模のゲームを充実させて、ヘビーゲームはあくまで例外として…、
と考えていますので。

でもまあ、結局いつだって、好きならやるのが我々なので(笑)。需要が読めないのと回せる予算が無いのでご予約をお願いしていますが、
お陰様で順調に集まっていることもあり、今は、当初予定していた500部製造よりちょっと部数を上げて、
(これは最終的なコストはじいてないので断言はできませんが)可能であればご予約いただいた分の価格は下げる方向で調整したいと思っています。
予約が特別価格になる→より予約集まる→より収益ラインに近づく、となったら…嬉しいなあ。
5月9日までというのは今度のゲームマーケットの現場でもフライヤー等配布して最後のご案内しようと思っているからです。
気になっている皆様におかれましては、1つ前向きにご検討お願いします。
これはスペースアラートとは違って、ほんとーに限定生産になる可能性、高くなっております。




http://www.newgamesorder.jp/games/spacealert

で、スペースアラート再販のお話を軽く。こちらも過去には限定生産だと申してご予約をいただきましたね(笑)。
当時のことを思い返すと、プロジェクトを計画した沢田くんと私の信条は当時ちょっと違ってまして、沢田くんは
(何せ当時からすると予算がなかなか私たちの手には追えませんでしたので)「このサイズのボードゲームが限定生産になるのは止む無し」と、
少なくとも表向きは割り切っていたようでしたが、私としては結構悔しかった覚えがあります。
限定生産である、というよりは、限定生産と言うしかない、という状況でした。何と言ったって面白いし、お求めが多い協力ゲームですし、
当然私たちも大好きなフヴァティルのゲームを初めてニューゲームズオーダーのラインナップに加えられる、ということもありました。
それだけに「でも売りきることができるかわからない」「もう一回作れると約束できない」というのは忸怩たる思いがありました。
今あまり血相を変えることもなく再販のお話ができるのも、当時念じていた「会社の規模を上げられさえすればなあ…」
ということが現実になったからです。
それは、よかった。
振り返ると、5年~10年のスパンで、過去に積み残した課題を(諦め悪く)クリアしている所があります。
2014~15年の枯山水とかも、2010年に作った、話題にはなったけど収益性度外視だった「ぼくらの火星」のリベンジで、
「出来と収益性両立」というところにかろうじて届かせたものでしたし。

続けてきたことで、できなかったことが、できるようになっている。私たちは今できないことを睨み据えてうんうん呻っているので、
全然心境は変わらないのですが(笑)。変わらないどころか「ここまでやっても駄目なのか…」と思うことはより多いです。
でも、今のことにうんうん呻りながらも、一方では過去呻っていたことを実現している。
続けていく上では、それは自分たちに勢いを付けるかなと。
ま、それ以前に、スペースアラートがまた手に入るようになるのは、いいんじゃないかなと、そう思っております。
あと、これは純粋に疑問へのお答えということですが、今スペースアラートの再販というのは、
スルー・ジ・エイジズとあわせて考えると建設的だったというのは勿論あります。
俄かにチェコゲームズエディションとのお仕事が複数生じていますが、どちらも良い物なので、嬉しく思っております。
スペースアラートは、ゲームマーケットはギリギリ間に合会わないですが、5月中旬頃には再出荷できる予定です。
皆様1つ、よろしくお願い致しまーす。

枯山水英語版の自社出版についての心境。

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  • 2016/04/15 11:48 午前
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さーて、さっぱりと書き進めない内に春ゲームマーケットが迫ってきてますな。
そこで出すものの話をしなきゃいけないのに、その前の話が終わらない。
それもこれも忙しいから…とか以前だったらよく書いていましたが、今はそんなこともないので純粋に私の怠慢です(笑)。

…というのは半分は冗談で、最近は周辺に色んな風が吹いていて天気が気まぐれなので、明日の天気予報がしにくくなってるなと感じてます。
この数年ある程度の成果を積み上げてこれたこともあり、明日が晴れでも雨でも対応していくつもりで計画を立てているのですが、
逆にその分「もうこの方向性しかない!」ということが申しあげにくく、「明日が晴れならこうだけど雨ならこう、朝方薄曇りだったらこんくらいの格好で」
という話、これがもう書くのも読むのも多分相当たいへんなのです。だからまあ、ちょっとざっくりしても、できるだけシンプルにお話を。

・枯山水英語版の発売
・スペースアラートの再販
・スルー・ジ・エイジズ新版の日本語版発売
・フードチェーンマグネイト日本語版限定生産、予約受付

のお話でしたねえ。ということで上からバッシバシ行きましょう。

枯山水英語版については、先日のテンデイズTVで大体お話させていただいたんですが、要は自分たちなりの海外展開の最短距離、ということになります。
随分めぐりめぐってはいるんですが、「オリジナルゲームの全面自社製造、自分で海外販売」という構想は、自分が初めて言い出したのは2007年頃でした。
ボードゲームの海外展開となると普通は「海外メーカーと契約してロイヤリティを受け取る」ということになっていると思うんですが、
これは日本国内でオリジナルゲームを出版する主体が多くの場合「=作者」だからなんだと思います。
加えて、ボードゲームのロイヤリティのみを利益と考えると、相当な大ヒットをしないと生計を立てるのが難しい。
ある程度の出版部数での契約となれば結構なロイヤリティがもらえる、という表現もできるにはできますが、
例えばそれが一般的な社会人の年収レベルに達するかと問われれば、それはレアケースでしょうし、そうなった場合でも
「年1回そのレベルのゲームを作って商品化にこぎつけなければいけない」とすると、
シンプルにイメージされるような「専業ゲームデザイナー」という職業は、少なくとも狭き門であると言えると思います。
そのためこれは国内外問わず、作者が自らパブリッシャーとなって出版していく、という形式は一般的です。
メジャーなところで言えば電力会社の2F Spieleとかそうですし、Ystariも特に当初は社長が作ったゲームがラインナップの半分を占めていたと記憶しています。
製造販売の権利から利益を得るだけでなく、その製造販売自体も自らが行って専業で従事する利益を確保する、ということです。
この方法を選ぶと、当然ながら仕事の内容が純然たるゲームルールの制作のみ、とはならなくなりますが、
ボードゲームというものの特性を考えるとそんなに不自然なことでもなく、また望ましくないということも無いのではないかと思います。
広義で取れば、アートワークやコンポーネントについての決定もデザイン、もっと言えば販売の仕方等様々な事柄も、
そのゲームがどのように受け取られるか、遊ばれるかということに影響を与えるという意味で言えばデザインだからです。

とまあ、思わず私達とは直接関係がない方向に話が及んでしまいましたので、枯山水に戻りましょう。
枯山水英語版というのは私達にとって「やってみたくはある」という範囲にある目標でした。
言語の壁や距離の壁(すなわちコストの壁)は果てしなく高く分厚いですから、商業的に言えば国内でより売れる分にはその方が絶対に収益が出易いので、
海外とか言わず国内で頑張るべき、というのが持論なのですが、枯山水については例外的なご好評、そしてチャンスをいただけたので、ということです。
そこで「海外パブリッシャーとの協業」と行かないわけは、「製造コストが高すぎてパートナーを募りにくい」というのも一因です。
長時間ゲームを遊ぶボードゲーマーの方なら想像し易いと思いますが、絡んでおいしいような条件を私たちが海外他社に提示できないというのが大きいです(もう彼我の想定卸価格に歴然たる開きが出るのは明らか。下手すれば$20/unitとか…)。
加えてこれは自分たちにとってもほぼ全くおいしくないやり方になります(手間凄そうな割に…)。簡単なことです、利益を割っているからです。

相乗りを募集するタイプのパブリッシャーは通常、本当に相乗り先を世界中から頑張って集めて部数を結集してコストダウンすると共に、
相乗りパートナーから薄くてもいいから利益もらって成立させる、ということなんだと推測していますが、この方式は枯山水という製品にも、
そして私達ニューゲームズオーダーの性にも合わないのは明白というところです。
コンコルディア等々私たちは相乗りする側に回ることはしばしばありますが、いや~胴元からすればホント歓迎のパートナーだと思います。支払も原稿も遅らさないし。
言われた通り支払も入稿もしているのに他国のパートナーの遅れで出版激遅れ、なんていうのは本当に日常茶飯事、
あれ体験しているとホント相乗りの胴元はやだなあと思ってしまいます。
直近の話で言えば私たちが必死で12月~1月に入稿したスルー・ジ・エイジズは本来春ゲームマーケットで販売できる見込みだった…、
いやもう完全に繰り言になってますけど。

とまあ、そんなことから「枯山水英語版」は自分たちで作って売ってみよう、ということになっています。
足回りの準備が整いつつありまして、(まだ障害が生じる可能性もあるんですが)割合近日中に販売できるようになるのではないかと思っています。
これは日本語版で何ら問題ない日本の皆様には直接関係ない話かと存じますが、ニューゲームズオーダーが海外へもゲームを販売できるようになり、
そこからも収益が取れるようになれば、自然今後の自社製品の品質や価格、ラインナップにもいい形で転化できると思いますので、
まずは見守っていただければ幸いです。

よーし、次回はフードチェーンマグネイトとスルー・ジ・エイジズの話(+スペースアラート再販の話)をしましょう。

2015年を踏まえて、2016年の進め方思案。

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  • 2016/04/01 02:56 午後
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さてさて続きを書かなきゃいけないぞー、でも社内では引き続き色々立て込んでるぞー、とうだうだしている内に書くべきことが増えています(笑)。
第2回東京ドイツゲーム賞の応募締切も昨日でしたし!応募作を整理確認し、おそらくゲームマーケット後から本格的に一時審査になると思います。


さて、4月1日、という区切りの良い日付なので、改めて書いてまいりましょう。既にお話したところでは、

・枯山水英語版の発売
・スペースアラートの再販
・スルー・ジ・エイジズ新版の日本語版発売
・フードチェーンマグネイト日本語版限定生産、予約受付

ということでした。これに加えてゲームマーケットで新発売予定のもの(まだできてない)なんかもありますが、これらは全て、
3月に検討していたニューゲームズオーダーの2016年の進路と関係するものになります。
2015年の制作と販売から感じられたこと、ボードゲームの周辺状況と自分たちのモチベーションを組み合わせながらやっていくことになる。

まず2015年はどうだったかと言いますと、お陰様で枯山水とパラノイア:トラブルシューターズを筆頭に売り上げ規模が上がりました。
それに伴って何が起きたかというと、

・2014年以前に手掛けたものを中心に従来品の在庫切れ続発
・2つの理由で、新規プロジェクトの予算規模が1つ1つ大きくなってきている

ということに。
まず上なんですが、枯山水や都度の新製品なんかの陰で、ロングセラーになってくれた従来品が次々売り切れる、
「嬉しい悲鳴(も悲鳴は悲鳴)」状態になっています。以前の感覚だと」「ファブフィブ」「コヨーテ」「モダンアート」くらいだったんですが、
ここ最近は「交易王」に「ペンギンパーティ」「バルバロッサ」どころか2013年組の「酔いどれ猫のブルース」や「なつのたからもの」なんかもついに売り切れ。
「古代ローマの新しいゲーム」も売り切れ。
実は「フェレータ」「ゲーム紙幣」もそろそろ数少なく、「ウィッチトライアル」も結構数少なくなってきている…、
と言っている間に1月再出荷始めた枯山水が減ってきています。

文字にすると「それって儲かっているんじゃない?」ということなんですが、それもこれも(販売が好調なタイトルについては)
以前の製造数が少なすぎたということで、多くは次回増刷で、一製造あたりの部数を増やしているのです。
上に書いたタイトルは基本全部再製造に動くので…たいへんです(笑)。前も書きましたが、これはきょうび推奨されるやり方ではありません。
ただ、この逆張りが当たっていれば、ニューゲームズオーダーの売り上げ規模はまだ上がる余地があるということ。
「従来品の売れ行きで地力が付く」というのは、眉唾という唯一最大の懸念を乗り越えられるなら、そんな良いことは無いのです。
製造はともかく制作の手間は無い(少なくとも小さい)し、自分たちが名作としてお勧めしたいゲームが新規に売れていっているということなので。
なので表では上のような(割と華々しげな)発表をしつつ、ここのところ日常的には「従来品を売りつつ従来品を作る」という方に向いていました。
3月に「さまよえるオランダ人」でようやく新製品を再起動でき、ここからはより難度の高い皿回しという感じですな(笑)。

あー、これだけ書いてまだ前置き!しかし区切りが良いので一旦続きます。

2016年の大箱群リリースについて、前置き。

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  • 2016/03/27 12:57 午後
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はてさて、先日「新しく出すものの話を3つほどします」と予告しておきながら、「さまよえるオランダ人」のことを書いた後に中断していました。
微妙~に言うタイミングじゃないかもしれない話になったり予定していたことが滞ったり、ということがあったのですが、
そうしている内にテンデイズゲームズさんの「テンデイズTV」に出るお話になり、その場で先に色々と発表させていただきました。
これはニューゲームズオーダーのTwitterでも発表されたことですが、

・枯山水英語版の発売
・スペースアラートの再販
・スルー・ジ・エイジズ新版の日本語版発売

ということです。1つ増えてないかい、という所は、一応スペースアラートは過去に(限定生産とは言え)リリースしていたタイトルなので、
勘定に入れていなかったためです。
あ、あと

・フードチェーンマグネイト日本語版限定生産、予約受付

http://foodchain.newgamesorder.jp/

というのもありました。これはテンデイズゲームズさんとの合同企画が正式に始動した時点(それもつい最近で3月初め)で、
ミーティングで「テンデイズTVで発表しましょうか」という話になったので、これも含めていませんでした。

さて、どこからお話しましょうか、ということなんですが、その前に、このように列記すると、我ながら「いつになく、随分大箱に偏ったなあ…」
という感想が出てしまいます(笑)。勿論重要性と、タイミングというのが大きいのですが。
2016年に挑戦するべきことの「一面」として、これらを位置づけています。ともあれ今度こそ、少しずつ順繰りにお話していきます。

クラウス・トイバー作「さまよえるオランダ人」を3月に発売します。

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  • 2016/02/26 11:30 午後
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ということで、先日お知らせしましたニューゲームズオーダーの新製品、1つめのお話です。
言わずと知れた「カタンの開拓者たち」の作者であるクラウス・トイバーの1992年作品「さまよえるオランダ人」を3月に発売予定です。
箱のサイズは弊社「ラー」と同様のサイズ(モダンアートと同じ底面積で厚みが増したサイズ)で、価格も同じく税込4860円予定です。
アートワークは完全新規で、「枯山水」「曼荼羅」のママダユースケさんにお願いしています。今回は一転して西洋画を描いていただきました。
…私は、今回も凄く良いと思っております!

いやあ。ついにこの領域に歩を進められたなあ、という感慨がございます。
ニューゲームズオーダーとしては「バルバロッサ」に続くトイバー作品となりますが、バルバロッサがあくまでもメジャーな、カジュアルな人気作なのに対し、
本作は現在「知る人ぞ知る」と太字で書かねばならない位置にあるゲームです。
言わば「埋もれてしまった」ゲームってことです。1992年のドイツゲーム賞(人気投票の方の賞)作品なのですが!
遊んだことのある方々からの評価と、最近ボードゲームを始められた方々の知名度に大きなギャップのあるタイトルでもあるでしょう。


…それは、ぼくらが出すべきゲームってことですね(笑)。


トイバーサイドからしても「随分古いゲームのオファーするねえ!」と意外だったようで、契約交渉は少々難航しましたが、結果何とかなりました。
これは嬉しかった!ぼくらにとっては随分昔に遊んで以来、忘れ得ないゲームです。

どういうゲームかと申しますと…ちょっと難しいのですが。トイバーのゲームは、他の作者のゲームより説明が難しい気がします。
言葉が足りない気がするのです。説明してみると、自分が味わったガツンとした面白さが伝えられない感が出る。ともあれ、まずは箱裏の画像をどうぞ。



プレイヤーは交易商となり、各自、自分が株券を持っている色の船が商売で成功することを目指します。
(株券は開始時に配られる3枚を隠し持ち、増えることはありません)
と言っても、どの色の船の株券の価値も、基本的には1ラウンド進むたびに1段階上がっていきます(盤外周の港と船コマで表示されています)。
このゲームで、商売を妨げる唯一の危険は「幽霊船」です。
海には「さまよえるオランダ人」と呼ばれる不幸を呼ぶ幽霊船が徘徊していて、これに出会った商船には破滅が待っています。
具体的に言うと、その船の株券の価値が暴落して0になった上、その時その色の株券を持っていたプレイヤーは全員、
暴落前の株券価値x所持枚数分の罰金、という。辛い!かなり高くなった自分の株券が暴落した時には、ホントに破滅級の衝撃があります(笑)。

独創的なのが、ボード中央のマップを移動するのは幽霊船のみということ。各色の交易船は、幽霊船の移動する「マス」になっているのです。
プレイヤーは「21」「35」のような2ケタの数字や「±1」「±10」などの数字が記された蹄鉄チップ(幸運のお守りなんだそうです)を組み合わせて使い、
「幽霊船をこのラウンドどっちに移動させるか評定」に参加します。
毎ラウンドの頭にダイスで決まる2ケタの「ラッキーナンバー」と同じ数値を蹄鉄チップで出せれば、幽霊船の移動先決定権を得られます。
幽霊船が踏んだマスの色の船の株が暴落しますので、各自隠し持った株券の色のマスを踏ませまいと頑張ることになります。
でもどの色持っているかは極力バレたくない。ラッキーナンバーを複数のプレイヤーが出したら?ここからが本番。交渉です(笑)。

「3金あげるから赤に動かさない?」
「いや~、それは困る。緑に行きたいなあぼくは」
「じゃあ4金あげるから赤行こう」
「やだって(笑)。お前絶対緑持ってるだろ!わかった5金払うから、緑に行かせてくれ!」
「うーん5金魅力だけど!…6金くれたら緑でいいよ!」
「えー6金ムリ!」

…といったような。各ラウンドでプレイヤーが取れる選択肢は、蹄鉄チップを使用しての幽霊船会議参加以外に、
蹄鉄を補充する「鍛冶屋」のアクションと、手持ちの株券を山札と2枚まで交換する「商館」のアクションがあります。
幽霊船を自分の思うように移動する程に蹄鉄が減るので鍛冶屋で補充し、避け切れない幽霊船を避けたり儲かりそうな船に株券乗り換える為商館に行き、
…とかやってると自分の本命の船に幽霊船迫ってくるぐわあああ、という丁々発止の(何故か幽霊船の方を動かすチクタクバンバン的な)駆け引きになります。
誰が何色の株券を持っているという推理から、誰が何を狙っているのか、次あいつが鍛冶屋行くなら自分が幽霊船動かして…、とか、
あいつも俺とおんなじで多分黄色持ってるから俺が頑張んなくてもあいつが幽霊船避けてくれるはず!と言った思惑絡みあう、
そして毎ラウンドのように誰かしらの「暴落したー!」という悲鳴が上がる、これぞボードゲームという一作です。


うーむ。書き殴ってみましたが何かやっぱり伝えきれない(笑)。ただまあ間違いなく言えることは、僕らは滅茶苦茶好きなゲームなのです。
こういった駆け引き満載の1時間ゲーム、というのが、今商業的にどうなのか?と言われたら、…正直半分わからないんですが(笑)。
少なくとも流行っちゃあいないでしょう。でもそれは、「皆さんが好きじゃないからだ、求められてないからだ」とは、私は思っておりません。
「ビックリする程無くなっているから、こういう方向性のゲームをご存じない方が多いんだろう」と思っています。

ボードゲームビジネスの、「凄く短時間で終わるカジュアルゲーム」と「2時間以上かかるヘビーゲーム」への二極化。
しばしば言われてるのですが、私そこは全然信じてません。
そりゃそういうゲームを売るのに比較的目鼻がつけやすいことは、仕事でやっている以上否定はしません。
でも1時間くらいで終わる、ちょっと難しい、でもちょっと遊びやすい、面白さの起承転結が備わったゲームは、(作るのはむしろ一番難しいんだと思いますが)格別面白いよと。
で、本当は「これだ、自分らが求めてたのは!」と思う、新しい人たちが、これだけボードゲームを遊び始める方が増えている今だからこそ、
たくさんいらっしゃるんじゃないかなあと。盤上に見えてる情報ばかり信じてると、最後負けるよ(笑)!それがボードゲームってもの!


ニューゲームズオーダーでボードゲームを作って売る毎日は、日本で今ボードゲームを遊んでいる方々がどんな風に感じて、考えて、楽しんでらっしゃるか、
それを感じ取って、考えて、楽しむ毎日です。枯山水が売れて、曼荼羅が売れた辺りから、私は随分希望を持っています。
ボードゲームを遊んでいただける皆さんが色んなゲームに面白さを感じるほど、面白く遊ぶほど、より幅広く、面白いゲームが生まれるんだと思いますので。
今ボードゲームを楽しんでる皆さんは、ちょっと古くからやってるぼくらが思ってた以上に、色んなゲームを、面白さを求めているんじゃないかと。
だから。埋まったさまよえるオランダ人を掘り出すのに、一丁勝負掛けさせていただくことにしました。






ボード、木製駒、木製ダイス、カード、チップに木製チップ立て6本。
このゲームのコンポーネントだと、ふつう値段は6000円とかになるかなーって所です。
それがなんで4860円にできるかというと、

ぶっちゃけた話今回5000部作ってみたんで(笑)。

これはちょっと古いボードゲーマーの方なら意味の分かる数字と思いますが、
いわゆるヨーロッパの平均的なボードゲームメーカーが初回で作って、でそれだけ売れれば成功、という合格ラインとして、
「5000部」というフレーズがしばしば言われます(最近じゃもっと初版が少ないゲームも多分欧米でもザラですが)。
2016年の日本で1992年作の「さまよえるオランダ人」が5000部売れたら、…楽しいよなあ、と思ってしまったのです。
もうドイツでも、世界のどこでも現行品が無いさまよえるオランダ人が、日本でだけは売れてるよってね。楽しんでるよってね。
それをクラウス・トイバーに言ってみたい、という挑戦。そういう勝負。というか遊びです。

まあそんなん関係無いたくさんの皆様も、頑張って作ってみましたのでー、よろしければ遊んでみてください。
フェレータの時もかなりやれた感は持ったんですが、今回のはよりレベルアップできた気もしています。これが通るなら、随分自由。

あ、あと5000部作った甲斐あって、4860円でも(枯山水とは違って)原価もいつも並みなので、「売れれば」ちゃんと儲かります!
売れなかったら…はっはっは。勝負勝負。ということで毎度長々書きましたが。
ボードゲームが好きな人、「さまよえるオランダ人」お勧めですよ。よろしくお願いしまーす!

2016年度の、ニューゲームズオーダー。

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  • 2016/02/23 07:04 午後
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またしばらく振りにこのBlogを書いております。ニューゲームズオーダーは2月決算なので、もう1週間ほどでニューゲームズオーダーの2015年度が完了と。
えーと、たしか2009年3月からやってますから、7期終了ですか。
この2月も終わりという時期はニューゲームズオーダー、という以上に私吉田にとっては特に大事な時間になります。
一言で申しますと、「戦略フェイズ」ということです。

ご存知の通りニューゲームズオーダーは自社で企画してボードゲーム製品を出していますので、年がら年中ゲーム制作の仕事をしております。

・販売している従来品の出荷
・出来上がった新製品発売のご案内
・製造が完了した製品の輸送(特に海外製造品の輸入)
・製造サンプルのチェック(地味ですが一番シリアスです)
・国内製造の製品の製造進行(主にタチキタ)
・工場に入稿する原稿作成(翻訳、アートワーク、DTP、等全般)
・製造のコスト検討、仕様決定、生産方法の決定
・製品の仕様イメージ(価格と中身のアイデア出しとバランス調整)とアートワーク依頼
・タイトル権利者とのコンタクト、契約
・出版したいタイトルの検討と調査

という状態で複数のゲーム、製品のプロジェクトが(具体的に言うと常時5~10個くらい)並行して進んでいまして、
約5人のニューゲームズオーダー構成員がよってたかって仕事しています。
(普通逆順で書く気もしますが、上の方がリアルに目の前に迫っている仕事なので自分たちの意識的にはこうなります)
でまあ、上の項目では触れてませんがこのサイクルを回すのに不可欠なのは一にも二にも収益性ですので、
「いや、お金足りませんやん」という話になった途端に色々止まってしまいます。
どの場面からでもお金が止まれば支払コストが残っているプロジェクトは全部止まりかねないということですので、
当然ながら、お金が足りなくならないように年がら年中必死で制作を進めることになります。

勿論やっていながらにして「果たして弊社の商業は上手く行っているんだろうか…」ということが気にならないわけはないのですが、
半分には下手な心配しているより作っているゲームが良い物になるように全力を尽くした方が効果的、ということと、
年途中に観測した所で結局全容は掴みきれないので、毎月の売り上げであるとか、制作費の支払が滞りなくできているとか、
そういうことからくる体感ぐらいに留めて進めている、という感じです。

なのですが、年度の最終月2月、も残り1週間くらいになってきて「多分今月の売り上げはこのくらいだなあ」となった今辺りに限って、
「区切り」を作ることができます。「今年どうだったのか」という年単位の数字から状況を判断できるからです。
3月になったらまたすぐにゲーム作って売ることに専念しなければいけなくなりますので、
自分の感覚で言いますと、本当にこの数日間くらいのことなのです。

ということで、売り上げベースで率直に申しますと、ニューゲームズオーダーは成長していると言えます。
2014年度の2倍近い売り上げになっている。新たに人員を増やしたり倉庫を借りたり、と言ったことで支出も増えていますが、
純粋な製造費用で考えれば自社製品の利益率的なものも従来通りです。

じゃあ間違いなく儲かってるんじゃないか!という所なのですが(そうだったら本当に素晴らしいんですが(笑))、…そうでもない!
というのは、ニューゲームズオーダーが(日本のボードゲーム界隈にとって)より贅沢な状況を目指しているからです。

これは最近もブログに書いてますし言わずもがなというところなのですが、一般的な商売の原則としては、
「ニューゲームズオーダーみたいな数のラインナップを供給し続ける(つまり在庫を保つ)」というのはナンセンスなこととされています。
社内的年の瀬ということで、先日の社内ミーティングで試しに
「現状のニューゲームズオーダーのラインナップを仮に全製品満数(想定しているワンショットでの在庫数)持ったらいくら分になるのか」
という数字を出してみた所「原価ベースで約8000万円」という数字が出ました。
原価、つまり製造費用ベースで、ということなので卸値ベースでざっくり1億6000万円、希望小売価格ベースで2億4千万円。全員唖然(笑)。
とりあえず出た感想は「…8000万円、見たことないな~」というものでした。
外からの借金無しなので、自分たちが自腹で出し続けてきたのが結果今8000万円分。
ただまあ「新製品を出し続けながら従来品も供給し続ける」というのはそうなることを意味していたわけで、全っ然不思議な話ではない。
というか「よく自分らでこんなに作って持って、なおかつまだ立ってるなあ」という半ば呆れの感慨もあるわけで。
自分たちのやり方だと、とりあえず在庫の為に8000万円要るんだなあ、「今(2016年2月現在)」。という貴重な情報を得たのですが、
一方では2016年度に出したいゲーム、と、もう出すことになっているゲームはガンガン我々の眼前を飛び交っているので、
この金額はまだまだ、バッシバシ増えていってしまうのだと思います。1年後には上の数字、億乗っちゃうよねこれ。
こんなんで大丈夫なんでしょうかと言われたら、正直ホントわかりません、という気持ちなのですが、
基本的には後々「アレ大丈夫だったわ」と答えられるようになることを目指して、全力を尽くしていくことで社内約5人まとまっています。

ということで、現状は「3年連続で売り上げ倍にしているけど何かめっちゃ真顔」という我々ですが、近日中にこのBlogで「2016年に出すもの」の話を3つ程させていただきます。
どれも社運がかかっております。(←私毎度このフレーズ言っているんですが、その都度のギリの規模に挑戦しちゃうもので、毎度ながら本当です)
「あれがあいつらの致命傷だったな」とならなければいいんですけども(笑)!
ということで、よろしければお楽しみにしてくだーさーい。